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コレは俺の真実の物語だッ  作者: 鴉野 兄貴
ふたつめ

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12/35

乞食 もしくは 貪欲に

 「『おとこ』?!!!!!!!! 」

『伝説の魔物』の名前を聞いて驚愕に目を開くスバルに頷くハルカナル


 「ほら、ちゃんとついてる」「ぎゃ?!!!!!!!! 」

いきなり俺の袴を解くハルカナル

同じく顔を赤らめて悲鳴を上げるスバル。お、お袋にも最近見せてないのにっ?!

ハルカナルはとりあえず殴っておいたが、やつは笑いを止められないらしい。

スバル? なんかもう少女みたいな反応だぞ。というか、コイツから見れば俺たち、『キマイラ』を討った『魔物』だし。


 あれだ。生娘が無理やり枷に嵌められて死ぬまで犯される寸前の恐怖を味わった挙句、

それを助けてくれたやつが実はそれ以上の魔物でしたとか。……確かに怖いか。



 闘技場を観戦する魔物達や『奴隷』たちは凶悪な魔物、『キマイラ』を討った『魔物』に大混乱。

「捕らえてメインイベントに使えッ!!! 」「いやだぁあああああああああああああああっ?!! 」


なんか別の意味で混乱してるぞ。上。


 「下っ端っていつでも大変だな」「ああ」

魔物でも同情する。マジで。俺とハルカナルは肩をすくめてみせた。


 「と、いうわけだ。王族さんよ。おれたちゃ実は『人』じゃないんだ」

相応の待遇を頼むぜ。ハルカナルはそういって彼女にウインク。

要するに、『奴隷』ではないという意味だ。

そして。魔物の力を借りずに子供を作れる者。それは『王族』を指す。


 「みっ??! 認められるかっ?! 貴様らが伝説の『男』だなんてっ?! 」

ブチキレた王族さんはこうつづけた。「小さいじゃないかっ?! 形も違うぞっ?! 」


 その言葉を聞いて。

俺の心はミノタウルスの大斧の一撃を受けたように砕けた。

魔物と一緒にするな。あいつらでかすぎ。


 「ぶはあああああああっっ はははははっはっ??! 」

笑うな。笑うな。笑うな。笑うな。笑うな。笑うな。笑うな。笑うな。笑うな。わらうなぁあああっ?!

短小包茎とか言うなよこらぁあああああああっ?!


 「と、言うわけででかくなる薬があるぜ」「100ゴールドで買う」

どっからそんな薬出してきた。貴様。あと変わり身早すぎ。

「交渉成立だ」そういってヤツは俺の手を握る。


 「立てるか」

下半身丸出しのスバル。正直目の毒だ。いや、全裸の女を最近見慣れた所為で、逆に。ねぇ?


 「ひっ? ひぃぃぃ 」

「脅えているぞ」「スバルを味方に組み込むのは織り込み済みだ」

そのスバル。めっちゃ脅えている。先ほどまでの自信満々で傲慢そうな様子がまるでない。

こうしてみると可愛いかもしれんが。


 「時間が無い」

ハルカナルは脅える彼女の顎を軽くひっつかむ。おい。


……。


 「立てるか」「はい」

なぜ、そこで濃厚なキスをしなければならんのだ。貴様。

「不味いぞ。囲まれてるって」「困ったなぁ」


血だまりを乗り越えて魔物の兵隊がうじゃうじゃと闘技場に乗り込んでくる。

肩をすくめてみせるハルカナルはさほどこまったように見えない。


 一斉に長柄槍が俺たちを貫く。筈だった。

「なめないでね」スバルはそういうと、軽々と長柄槍を踏みつけ、槍兵を蹴り飛ばす。

俺もまた槍をかいくぐり、スパスパと切り刻む。本日は剣のバーゲンセールだ。

「やるじゃないか」「伝説の魔物ほどじゃないわ」

スバルとハルカナルは初対面とは思えないコンビネーションで闘う。

スバルが長柄槍をぶん回し、ハルカナルが次々と魔物の頭に上って首の骨を折っていく。

「おまえら危ない。俺が槍に当たる」俺の剣だって負けていない。


 「お~~~~~~いっ?! シンッ マコトッ 」

大混乱の闘技場の縁から脱出用の網はしごを下ろすシズルが見える。


 「走る」

次々と兵士の頭を踏みつけて走るハルカナル。マジ人間かよ。

「私たちはっ?! 」スバルが叫ぶが、心配は要らない。


今頃調理場で焼き鳥の串やらなにやらをふるって、俺たちが篭絡した剣闘士達が大暴れしているころだからだ。

そして、俺たち『伝説の魔物』と剣闘士奴隷たちに挟まれた兵士たちの心理的負担は激しかった。

特に『キマイラ』を俺たちが倒した事実は大きい。これも織り込み済み。


 「ヤツはヤツの仕事があるからなっ?! 」

俺たち二人の仕事はこの魔物兵士たちをひきつけることだ。たった二人で。


 「アレ。あれはなんだ」

剣を防ぎ、奪い取った盾で敵をぶん殴りながらスバルは聞いてきた。

「あれってなんだよ」「口が。触れて。舌が入ってきた」戦闘中に何話しているんだ。莫迦。


 「なぜか、手足がへなへなと萎えていくのに、嬉しく感じた」

クソッタレのハルカナルッ 何人目だッ?!


 「不思議だ。あの時は力が抜けていったのに。今はいくらでもわいてくる」

俺の援護を受け、彼女の突進と大盾の一撃がまた魔物を吹き飛ばす。


 「これが魔物の、力なのかっ?! 」「知るかっ?! 莫迦ッ! 」

俺たちは悪態をつきあいながら、背後からやってきた剣闘士の仲間たちに手を振ってみせる。


「あの、『男』は何と言う名だったか」「ハルカナル。俺の親友」


 『王族』は捕らえ、闘技場は制圧した。

歓声を上げる『仲間』たちを見る俺の目の前でスバルはハルカナルに抱きついた。


 「もう一回頼む」

おいっ?!!!!!!!!

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