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7つめ

少しゆっくり、想像しながら読んでいただけると幸いです。

今日はマリアの誕生日。でも外は暗い。大きな雲に包まれていた。






7つめ






私は普通の朝を迎えていた。どうしょうか。

……誕生日だ。誕生日は祝福される日なんだ。祝ってやろう。



私はフラワーショップに向かった。



途中、雪が降り始めた。



めずらしいなぁ



この地域はめったに雪が降らない。


天に祝福されているんだな。マリアは。




笑みがこぼれた。




こんにちわ




店に入る。相変わらずいいにおいだ。




あら、リュアンさん。こんにちわ。マリアさんは?




え、いやまぁ……




……今日は何を買いに来たのですか?




ああ、え…と……




散々悩んだけど。




白いエリカを




ふふ、いつものですね。かしこまりました




手際良く15本ほど包んでくれた。




おまたせしました




ありがとう




お金を払い、店を出ようとした。すると…。




リュアン! はぁはぁ




息を切らしながらマネがやって来た。




どうした? というかなぜここがわかったんだ?




はぁ……いや、家にいなくて仕事場にいなかったらここにいるかなと思って




そうか




うん。いや、そうじゃなくて。たいへんなんだリュアン




なにが?




マリアさんが……マリアさんが…




え? なんだ!? マリアがどうしたっていうんだ!?




私は声を張り上げて聞いていた。




薄着で……




その一言でだいだいわかった。


私は画家だ。美しいものはなんでも絵にしたいものだ。だから……ルマールは…




マリアはどこにいるんだ?




噴水広場だ




遠いな。




わかった。ありがとう。そしてこれを頼む




白いエリカを預けた。




おう、がんばれよ




私は駈け出した。


マリアはおそらく長時間座らされるだろう。いや、もう結構時間が経ってるかもしれない。


長時間寒いところに居れば凍死する。そんな命の危機にさらすなんて……。




いったい何をしてるんだ




マリアを大事にするって言ったのではないのか?




マリアが死ぬ? そんなの……そんなのいやだ。いやだ、いやだ、いやだ。




たとえ…たとえ向こうがどう思ってなくても……私はマリアのいない世界などに生きたくない。


なぜ、今まで気がつかなかったんだ?


つまらない意地は張り、愛する妻をなくす。馬鹿みたいだ。




……いや、まだ死んだと決めつけるのは早すぎる。




はぁはぁ




画家とはいえたまには外でなにかやらないとな。


自分の私生活の悪さを恨みながらひたすら走り続ける。




中央通り。このつきあたりに噴水広場があるはずだ。


さすがに人が多いな。それに寒い。雪が積りつつあるようだ。




はぁはぁ……っ




誰かの肩がぶつかる。派手に転んでしまう。




痛ってぇな




誰かの罵声。




すまない




すまないで済むか。おら、立て




ふらふらと立つと。




バキッ




殴られた。また転んでしまう。


やばい。鼻の骨が折れたかもしれない。でも鼻血は……うん。出てない。


変だな。まぁいい。




痛ててて




大丈夫ですか?




青年が優しく問いかける。




ああ、大丈夫だ。すまない




また立ち、走り出した。




つまらない時間を喰ってしまった。急がないと。




はぁはぁ……うっ




心臓が痛い。




また少し走ると広場に着いた。




どこだ…………いた。




ル、ルマール!




ほとんどかすれている。




ん? リュアンじゃないか。どうしたんだい?




マリアは? マリアはどこだ!?




あそこだ




人指し指をマリアに向ける。


私は駆け寄った。




マリア!




……リュアン…さん




震える唇で私の名を言う。




寒い……




私は上着をマリアに着せた。こんなに降るとは思ってなかった。


これじゃあ寒さを防げない。


だから、私は……。




…………




マリアを抱きしめた。




……温かい




体の冷たさ。そして心が伝わってくる。


すまない。すまない、すまない、すまない。


私は涙を流しながら。




すまない。うぐっ




私こそごめんなさい。つまらない意地を張って……




マリアも涙を流す。


なんだよ……おんなじこと考えていたのか?




私ね……リュアンさんがね…むかえに来てくれたらね……ぐす




もうしゃべるな。と言えない。なぜか……言えない。




これ。渡そうと思ったんだ




抱きしめていた私の腕をほどき、白いチューリップを胸にあてた。




花言葉は……ずっと待ってました。なんだって



さらに涙があふれた。


マリアは私をずっと信じてくれたのか。なのに、なのに私は……



また、強く抱きしめた。



…………え?



反応がない。



マリア? マリア!?



何度呼んでも応答してくれない。


美しく、凛々(りり)しい顔立ちをした彼女を気持ちよさそうに目をつむっている。



なぁ、嘘だろ?



優しく問いかける。


なぁ、なぁ。



返事してくれよ……



涙声の呼びかけもむなしく、暗い空に消えていく。



いつしか、疲労困憊ひろうこんぱいの私は気を失っていた。



少し、眠たい


           ~続く~

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