6つめ
あれから数日がたち、マリアの誕生日が近付いてきた。
6つめ
結局私はなにもできずじまい。ただ時をすごしていた。
さすがにお金がないと生きていけないので働いてはいる。同時に絵も描いているのだが……うまくいかない。モデルもいないし……
ある日、マネが訪ねてきた。
よ、リュアン
相変わらずワンパターンな登場だな
うるせぇよ
というあいさつを済ませ、マネは本題に入った。
なぁ、マリアさんは?
…………見てのとおりさ
まだ仲直りしてないのか?
これはもう仲直りの段階じゃないんだ
……なにをへこたれてるんだよ。らしくねぇな
へこたれてなど……いない
そうかいそうかい
ああ
ならいい。でもルマールには気をつけろよ
なぜ?
やつは良い噂を聴かない。ちょっとやばいやつだぞ
どういうことだ?
自分の絵を完璧にするためにはどんな手もいとわないらしく、女癖がわるいのだ
つまり?
マリアさんは道具にしか使われてないかもしれないってこと
驚愕だった。
あれほど大事にすると言ったルマールが?
実際は知らない。でもその可能性が高いってことだ
そう…か…。わざわざすまない
いいってことよ。親友だろ?
そうだな。親友だから言わせてもらうが、名前とキャラが全然合ってないぞ
今その発言いるか?
という一連のボケとツッコミをしてマネは去っていった。
マネはあんなことを言っているが私は結局、無力だと思い知っただけだった。
今私がマリアに何を告げようが愛想をつかされ、怒っている彼女には届きはしないだろう。
ルマールに返せと言えどもすんなり返すわけではないだろう。
なんて惨めなんだ。私は。
次の日、驚くべき人物がやってきた。いや2回目だ。
…………そう、ルマールが。
なにくわぬ顔で家に入り、前と同じ口調で語りかけてきた。
ひさしぶりだね。元気かい?
…………
無言を貫く。
少し瘦せたんじゃないか?
…………
何も発してくれないんだね。いいさ。実はね、新しい絵ができたんだ。それを見せようと思ってね
脇に抱えた布でぐるぐる巻きした絵を私に手渡ししてきた。
布を解き見る。
これは……
そうさ。マリアさんがモデルの絵だ。どうだろうか?
前回見せてもらったものよりクオリティが格段に上がっている。でも…
今も昔も変わらないな
何がだい?
お前の絵は足りないものがある
っ!?
自分でも分かっていたようだ。
ああ。僕の絵には足りないものがある。それが…わからない。何だ?何が足りない? 美しいモデルも居て、最高の筆、絵具も用意したのに……
それが解らない以上は人を感動させるなんて無理だろう
ふふ、そうだな。でもそんなものいずれ見つかる。今日は伝えることがある
なんだ?
12月28日、マリアさんと結婚する。君にも来てほしい。場所はミラッセ教会だ
……そうか
それともうひとつ。マリアさんは絵を描くとき、必ず白いチューリップを持たせてくれと言った。
どんなメッセ―ジを秘めているかは知らないが、これは君宛てじゃないのか?
…………
とりあえずそれだけだ。また今度会おう
帰った。言いたいことだけを言い。
28日って明後日じゃないか。
外は昼間なのに暗く、分厚い雲が被っていた。
~続く~




