5つめ
僕はすぐに花屋に行った。
5つめ
ふふ
笑みが絶えなかった。
ああ。マリアさん。
あなたはすばらしい人だ。数々の男や女までも虜した。
少なからず僕まで。そして、僕の絵にふさわしい人だ!
あなたをモデルにした絵は人気がある。
僕のために…僕が成功するのを手伝ってもらおう。
そのためにどれだけの苦労をしたのやら。
赤いカーネーションを買い、店を後にした。
途中、雨が降ってきたので走った。だんだん、雨の量が増えていく。
僕を邪魔するのか。でも最大の敵はもういない。雨がなんだ。
家に着くとびしょ濡れになっていた。
体をふき、着替え、マリアさんの部屋に向かった。
コンコン
ノックをしたが返事はない。
入りますよ
ドアを開け、入った。カーネーションを見せないように。
どうしたんですか?
マリアさんはベットに座りながらうつむいている。
え?ああ、ごめんなさい。…なにか…用ですか?
実はその…大事な話があるんですが…聞いてもらえますか?
なんでしょうか?立ったままではしんどいのでお座りになったら?
いえ、その……僕と結婚してください
花をさしだしながら言った。
…………
沈黙がはしる。前にも言ったでしょ?みたいな目をこちらに向けてくる。でも。
リュアンにはもう許可をもらったんです
え!?
驚愕した。初めてみるかもしれない顔だった。
僕が彼にマリアさんをもらっていいか?と聞いたら何も言いませんでした。それはもう…あなたをあきらめているということじゃないのですか?
そんな…
小声で言った。聞こえないように言ったつもりだと思うがはっきりと聞こえた。
別に急いで返事をもらおうとは思っていません。ただ、それをふまえてまた真剣に考えてもらっていいですか?
はい…
カーネーションをわたして部屋を出た。
たしか、花言葉は熱愛だったはず。僕の気持ちもこれでわかってくれるだろう。
自分の部屋に入り作りかけの絵に筆を置いた。
気分がいい。筆がすらすらと動く。
少し調子に乗ってしまい夜遅くになってしまった。部屋をでると真っ暗…と思っていたが、マリアさんの部屋はまだ光がもれていた。
次の日の朝。
ルマールさん。昨日の話なんですが…
考えてくれたんですね
ええ。おそくまで
それじゃあ…
その…もう少し待ってくれませんか?
意外だった。すぐにOKすると思っていたのに。
いつまで……ですか?
私の誕生日、12月27日まで…
…わかりました
あともうひとつ、私の絵を描くときは白いチュ―リップを持たせてください
なぜ…なんですか?
いえ…とにかくお願いします
…はい
なぜそんなまわりくどいことをするんだ?どうせOKするなら今でもいいのに。それとも誕生日のほうがなにかいいことがあるのか?
疑問が募る。
まぁいい。あと少しで僕のものになる。マリアさん。それにリュアン。僕のすばらしい絵を、近いうちに見せてあげるよ。
朝ごはんを食べたあと、マリアさんは白いチューリップを買いに行った。
~続く~




