始まり
あなたは自分が大切に思う人がいますか?
ちょっとした愛の話
・・・・・・・・・
私は画家である。
今、マリアをモデルに新しい絵の下書きをしている。
彼女はひまをもてあましたのか、しゃべりだした。
どこまでできたの?
まだ見せられない。少し待て
わかった。・・・ねぇ、この町の伝説、知ってる?
・・・・・・・・
私は黙った。
知らない。
なんかね、互いに愛し合ってる2人は冬の神様が奇跡を起こしてくれるんだって
どんな?
知らない。雪でも降らせるんじゃない
そうか
別に真剣に聞いてない。書くことに集中していた。
ちらっと彼女を見ると寂しそうな顔をしていた。
もっといい返事が私にはできなかった。
できた
どんなの?見せて
おい、まだ動くな。表情ができてない
・・・ごめんなさい
夜7時までかかった。
うわぁ。うまいね
おだてるのはいいから晩飯の用意をしてくれ
・・・はい
20分後。向かい合って座り、食べ始めた。
最近リュアンさん、冷たくない?
どういうことだ?
私を妻として見るのじゃなくて道具としてみてない?
どういうことだ?
だから、私を絵のモデルとしてしか見てないでしょ?
口調がこわばる。
そんなことないさ
本当に?
もちろんさ
そう。ありがとう
食べ終わる。俺は居間へ。マリアは洗いものを始めた。
ピンポーン
お、来たようだ。
ルマールが
やぁ。いつもすまないね
大きな荷物を抱えてる。
彼は毎日のように家にきて、私やマリアと絵の話をする。
いわゆる画家友達だ。
3人で楽しく話をした。
そこでさっきまで描いていた絵のことがでた。
見せてくれないか?
ああ、いいよ
私は自分の部屋に取りに行った。2人を残して。
そして戻ってきた。
マリアさん俺のところにこないか?
ルマールの声。
そんな、私にはリュアンさんがいるのに。ダメですよ
あなた言ってたじゃないですか?・・・・・
聞こえない。
え、でも・・・
私は部屋に入った。
おまたせ
待ってたよ
にこやかにルマールは笑う。
マリアはうつろな顔。
うまいね
ありがとう
実は俺も持ってきたんだ
さっきの荷物から取り出した。
モデルはマリア。
正直、私のよりうまいかもしれない。
毎日ここにきてると頭の中に浮かぶんだ。君の表情が
ありがとうね
それから3人で良い点、悪い点を言い合い・・彼は帰った。
私は・・私はくやしくなり絵を下にたたきつけた。
負けている。彼に。
その姿を見たマリアは言った。
何してるの?せっかく描いた絵なんだから大事にしてよ
うるさい
そしてついカッとなり、言ってしまった。
こんな絵を描くからくやしくなるんだ
私じゃあ足りないってこと?
あやまちに今、気がついた。
いや、ちがうんだ
こんなにつくしてきたのに・・・私は用済みだったのね
なにも耳に通ってないのだろうか。
もう・・知らない
出て行った。
私は追いかけなかった。
しばらくして、ふと思った。
もしかしたら玄関の前にいるんじゃないか?と。
扉を開ける。
誰もいない。
寒いな
そのあとすぐに寝た。
・・・・・・・・・
朝、窓から漏れる日光に照らされおきた。
あいかわらずよく晴れてる。
マリア、朝ご・・・そうか
いなかったんだ。
そのうち帰ってくるだろう。
自分でパンを焼き、食べ、マリアの部屋に向かった。




