第4話 1回戦の決着、そして涼子の本気
全国市区町村カードバトル!
第4話 1回戦の決着、そして涼子の本気
1回戦の全テーブルが終了し、会場は少しの休憩ムードに包まれていた。
誠一はテーブルAから立ち上がり、足元のキャリーバッグから飲み物を取り出した。「ふう……なんとか勝ち抜けたよ」観客席から祐奈と琴美が駆け寄ってきた。「お兄ちゃん、すごかったよー! 最後同エリアでポイント取ってかっこいい!」琴美が飛びついてくる。誠一は笑顔で頭を撫でた。「……まあ、ギリギリだったけどね。章大の運も怖かったし、神与の策略も読めなかったし」祐奈は少し離れたところで腕を組んでいたが、小声で言った。「……悪くなかったわよ。次も、負けないでよね」頰がわずかに赤い。誠一はいつものように気づかず「ありがとう!」と返す。その横で、勝ち抜け同士の涼子が髪をかき上げて近づいてきた。「ふふ、誠一くん。1回戦は一緒に勝ち上がれてよかったわ。これで私たちの名前がスクリーンに並ぶんだから、注目度アップね」「そうだな。2回戦もよろしく、涼子」涼子は少し目を細めて笑ったが、その奥に負けん気の炎がちらついていた。一方、敗退した神与は静かに誠一の前で立ち止まった。「誠一さん……おめでとうございます。次も、絶対に勝ってくださいね。私、ずっと見守っていますから♡」少し重い視線に誠一は「う、うん、ありがとう!」と少し後ずさり。章大は肩を落として去りながら呟く。「くそー、賞金50万が遠のいた……でも涼子ちゃんのプレイ姿は最高だったぜ……」誰も相手にしない。
巨大スクリーンには1回戦の結果と勝者が表示され始めた。
「みんな結構勝ち上がってるな……祐奈も、瀬奈も、綾斗も」誠一がスクリーンを見上げていると、アナウンスが流れた。『休憩終了! まもなく2回戦抽選を行います! 勝ち抜け選手は指定エリアへ集合してください!』誠一は飲み物をキャリーバッグに戻し、祐奈たちに手を振って集合場所へ向かった。抽選会場ではすでに多くの勝ち抜け選手が集まっていた。
クールな綾斗、元気な俊也、男勝りな瀬奈、お嬢様の雛乃、関西弁姉妹の香理と亜沙、風紀委員の響子、そして――「誠一くん、また一緒ね」涼子が隣に立っていた。
新たに対戦するメンバーの名前がスクリーンに表示される。
【2回戦 テーブルK】 誠一 涼子 亜沙 侑
「亜沙と侑か……」亜沙は関西弁のボケ妹で可愛いがソフト毒舌。姉の香理がツッコミ役のコンビで有名だ。侑は誠一の友人で、従姉妹の綾葉に女装させられて慣れてしまった悲運の男の娘。見た目は完全に美少女。休憩中に先生が誠一の肩を叩いた。「誠一くん、1回戦はナイスファイトだったわ! 涼子ちゃんは見た目より実力ある子よ。油断しないようにね」「はい、ありがとうございます!」先生はニコニコしながら去っていった。休憩が終わり、2回戦開始の時間が近づく。誠一は再びカメラを首に下げ、キャリーバッグを肩にかけた。「1回戦は運と知識でなんとか勝てたけど……2回戦はもっと強い相手だ」祐奈が観客席から手を振っているのが見えた。「……誠一、負けないでよ」小声のエールに、誠一は気づかずとも、心の中で力をもらった。会場全体の照明が落ち、スポットライトがテーブルを照らす。1回戦の激闘を終え、誠一と涼子は同じテーブルで再び相まみえることになった。涼子は誠一に小さく微笑んだ。「今度は本気でいくわよ、誠一くん。私、目立つのが好きなんだから」その言葉に、誠一は少し緊張しながらも笑顔で答えた。「俺も本気だよ。全国1位、目指すから!」5ラウンドの短い戦いが、また始まろうとしていた。――次回、2回戦! 誠一vs涼子vs亜沙vs侑 新たな火花が散る!
(第4話 終わり)




