死の聖女譚:アラン・ミクリと亡霊の王国
アラン・ミクリは、かつて“白銀の聖騎士”と讃えられた。
貴族の娘に生まれながら女というだけで後継ぎを外され、男装して軍へ―― その才と信念だけで騎士団長へ駆け上がった高潔の英雄である。
白銀の甲冑は正義の光を映し、死者の声を感じ取る稀有な体質は、弱き魂に寄り添う慈悲を彼女に授けた。
永き戦いの果て、世界に暗雲を垂れ込めさせた魔王 〈ディスフィルギア〉 は、彼女の祖国 〈エルディア王国〉 に交渉を持ちかける。
「生者と死者の世界を分かとう。死者の国は勇者アランに統治させるがよい」
――“死者を救済し得る王”という甘言。
国はそれを、世界支配への好機と見誤り、アランを担ぎ出して契約を結ばせた。
その瞬間、聖なる光は断たれる。
聖騎士は《死者の王ロード・オブ・デス》へと変貌し、かつての聖剣アストレイアは《邪聖剣ネクロマンサー》と変化した。
従う騎士たちもまた亡霊騎士と化し、光の王国は一夜で闇に呑み込まれた。
ロード・オブ・デスはエルディア王国の地に死者の王国を打ち立てる。
死霊軍団は各地を蹂躙し、村も国も次々と霧のたちこめる亡霊の地へと変え、世界に“死”を蔓延させていく。
その前に立ちはだかったのが、新たに選ばれし勇者たち、リク一行である。
決戦の果て、アラン・ミクリはリクの剣に討たれ、ニブルヘイムは滅ぼされた。