高校2年生の修学旅行
11月16日、高校の修学旅行3日目の宿。
そこで、心霊現象が発生した。
女子部屋の閉めたはずの部屋の鍵が開いていたり、他の男子部屋では、誰も使っていないはずのドライヤーの音が鳴り響いていたというもの。この手の話が苦手な者も多く、涙を流しながらロビーに逃げて来ていた者も見かけた。
しかし、今上げた現象全ての正体は簡単に暴かれた。
「女子部屋の閉めたはずの部屋の鍵が開いている」というのは、しっかり押し込まなければオートロックが機能しないから。
「誰も使っていないはずのドライヤーの音が鳴り響いていた」というのは、隣の部屋でドライヤーを使っていたから。
――というのが、事の真相。つまり、心霊現象ではなかったのだ。私の目の当たりにした現象を除いて……。
夕食後、誰よりも早く食べ終わった私は、他の友人よりも早く和室の部屋に戻った。
明日の午前は観光地を巡り、午後には帰る。それだけで、3泊4日の修学旅行は終わりを迎える。
夕食の会場から出て行く際に貰った、翌日巡る観光地のパンフレット。それを部屋の窓際机に放りだし、近くにあった椅子に座ってスマホをいじる。
今時の高校生なら、普通の行動のはずだ。その普通の行動の最中、説明の成されなかった現象は起きた。
パンフレットが机から、畳へと飛んで行ったのだ。
季節は冬。寒さもあることから、窓は開けていない。だから当然扇風機などの風を起こすようなものは、部屋には存在しなかった。