学園の卒業パーティーで王子が婚約破棄を突きつけた!
「フィオナ・エレ・ロンディーナ! 王家の名においてそなたの婚約を破棄する!」
あまりにもよく通る声。それを聞き間違える者などきっとこの場にはいなかったでしょう。
この国の王子にして次期国王でもあるユリウス王子の声。その声がした方へ視線を向ければそこには確かに王子がいました。
本日は貴族院の卒業式。先程それらは恙なく終え、そうして今はパーティーの真っ最中でした。
今日で学生は終わり、これからは一人前の大人としてこの国を支えていかなければなりません。今は同じ学友でも今後は派閥などで敵対する事もあり得る家などがある以上、今がなんのしがらみも無く語り合える機会でもあります。
だからこそ、皆が思い思いに友人たちと語らっていたわけなのですが……
「まさかの婚約破棄……」
「卒業パーティーでしでかすとか、王子大胆……!」
私の呟きに隣にいた友人のソフィアがきゃあ、と小さな悲鳴を上げる。悲鳴、というが多分その前に黄色い、ってつけた方がいいかもしれない。
フィオナ様は王子の言葉を黙って聞いているだけだった。
表情にも特に変化がない。
あ、ちなみに私はしがない男爵令嬢です。ただの傍観者。
周囲がかすかに騒めくものの、そこまでの騒ぎにはなっていない。
そりゃぁ、まぁ、その反応はそうでしょうね……と思わないでもない。
何せ卒業パーティーでの婚約破棄なんて、市井に出回ってる恋愛小説の中ではよくあるけれど実際にやらかすような人、いるはずないと思っていたわけだし。
けれどもそこで「王子!? 一体何を!?」と問い詰めるような事を言い出す人はいない。
いない、というかできない、が正しいかもしれないわね。
この後一体どうなっちゃうんだろう……と思いながら王子とフィオナ様を見ていれば、
「そうですか。では、わたくしはどうなるのでしょう?」
こくりと小さく頷いて、そんなことを言い出した。
フィオナ様は公爵令嬢。
ユリウス王子とは一応従姉弟の関係になるんだったかしら……
「そなたにはクラガヴァン伯爵家へ行ってもらう。そこの当主と結婚し、家を支えよ」
「……拝命、致しました……」
押し殺したような声。
反論一つくらいはしても許されるんじゃないの!? と思ったけれどフィオナ様がそんなみっともない真似をするはずがない、いや、でも、クラガヴァン伯爵家って落ち目になりつつあって没落寸前だったはずなんだけど……えっ、そこに嫁げと!? 支えろって、資金援助って事!?
ここ最近あまり名を聞くことのなかった家。だから王子がそう言ってもすぐにピンとはこなかった。
当主も確か、そこそこいい年のおじさんだったと思うんだけど……あれ? 私の情報が古いのかしら?
「お待ちくださいユリウス王子、流石にそれはあんまりではございませんか?」
私が記憶の片隅から忘れかけてたあれこれを引っ張り出そうとしているその間にも、事態は進んでいく。
王子とフィオナ様の近くまでやってきたのは、ゴルディーノ侯爵家のエンリケだった。
正直私はこの男が嫌いである。
なんというか女を見る目がいやらしい。一応多少隠してはいるつもりだけど、しかし時折隠し切れていないようで、そんな時の彼をうっかり見てしまうとその視線が自分に向いてなくてもなんかこう……鳥肌が立つのだ。なんというか油でコーティングされてるかのような不快感に見舞われる。
黒い噂の絶えない人で、けれども明確な証拠は出てきていないのであくまでも噂だけがある状態。
いくら身分と財産があろうとも、お近づきになりたいとは思えない相手でもあった。
その黒い噂がたっぷりなエンリケが――身分的には向こうが上だけど様とか内心でもつけたくない――まるでフィオナ様を庇うように王子の前に立つ。私がいる場所からはエンリケの横顔が見える。ついでに王子の横顔も。ある意味でそれなりにいいポジションにいるのね……と思いながらも私は行く末を見守った。
「いくら最近ロンディーナ家に悪い噂が流れているとはいえ、その程度で婚約を破棄しあまつさえクラガヴァン伯爵家へ、などと、それは流石に憐れが過ぎるというものです。
それに王子……貴方、果たして婚約破棄を宣言するような立場でしょうかね?」
本人的には不敵な笑みのつもりかもしれないが、しかし私から見ればエンリケの笑みはそれはもう悪役か? と聞きたくなるくらいににやりとしていた。不敵というより個人的にはただただ不愉快。
多分、だけど。
エンリケはきっと王子の足を引っ張る機会がやってきた、とか思ってるのかしら。そりゃそうよね、こんな時に婚約破棄を周囲に知らせるように宣言しているのだから、市井に出回ってる小説だったらこの後王子はそれはもう見事な転落っぷりを披露したっておかしくはない。とはいえ、それは王子が悪役である立場の場合、でしょうけれど。
でも現実に悪役も何もあったものじゃない。
次期国王の立場にある王子ですけれど、王位継承権を持つ者は他にもいる。仮に王子が失脚すれば、その次の王位継承権を持つ者は第一王女のレティシア様。諸事情でレティシア様にはまだ婚約者がいないから、もし、もしもよ? 仮にエンリケがその座を狙っているとしたら、まさに今王子がしでかした事は絶好の機会……!
って思ってるんでしょうねぇ……
この時点で私は思い出していた。
そういやクラガヴァン伯爵家、最近当主が変わったのよね。本当にたった今思い出したのだけれど。
先代当主にフィオナ様が嫁ぐような事になっていたら、なんて仕打ちを! と言いたくなるけれどそうではない。
多分エンリケは王子を引きずり落とせそうなこの機会に色々とすっぽ抜けてしまったのね、肝心の情報とか。そしてそれに気付いているのは私だけではなくて、他の――それこそこの場にいる貴族たちもそうらしい。
ちょっと前までは突然の宣言に驚いたりしていたけれど、でもちょっと落ち着いて色々思い返せば王子が失脚する事なんてあるはずがない。
だって王子は確かに婚約破棄を言い渡したけれど、それは何も問題のない宣言だったもの。
「……立場も何も、先程も言ったが王家の名において、と言ったであろう。ロンディーナ家のフィオナ嬢とゴルディーノ侯爵家のエンリケとの婚約は、今この時を持って王家が婚約破棄とした。そしてフィオナ嬢には新たな婚約を王命で結んだにすぎない。この場に王直々に訪れるのは問題があるとして、代理で私がそれを伝えただけだが」
――そう。
そうなのだ。
王子は別に自分との婚約を破棄するなんて一言も言っていないのである。
市井に出回ってる恋愛小説の中には王子が自らの婚約者を蔑ろにし身分の低い令嬢と恋に落ちた結果、婚約者が令嬢に嫉妬し嫌がらせを、なんて展開からの婚約破棄を宣言して嫌がらせをしていた婚約者を断罪する、なんていう展開もあった。その後のパターンはいくつかあるが、大抵は王子の婚約なんて王命での政略結婚だと思っていい。国の駒として生きるような立場の者が自由恋愛とか、よっぽどじゃないとできないものね。
で、その王命に自ら背いたのであれば王子もその後転落人生を歩みそりゃもう悲惨な事になったりするのだけれど、今回の王子が宣言した婚約破棄は王家の名において、と言っている。王子の名においてではない。王家の名においてだ。
小説の中の王子はそこら辺混同してまだその権利を使えないのにやらかす、なんてこともあるけれどユリウス王子はそれをわかっていないなんてはずがない。
というか、自分の名において婚約破棄だ! なんて言うのって、この場合王子がフィオナ様とどうしても結婚したいから強権発動するね、とかいう無茶をしでかした場合だ。
……いや、流石にそれはないでしょう……
ユリウス王子には既に将来を約束した婚約者がいるわけですし。しかもその関係は良好。あえてその人間関係に亀裂を入れる必要がどこにもない。
幼い頃に婚約者候補としてフィオナ様の名が、なんて事になってて、そこで自分の婚約者はフィオナなんだ、なんて勘違いをする事もなかった。聞いた話そもそも最初から婚約者候補にすらなっていないし。むしろそれでもなお勘違いしていたらそっちの方がビックリだわ。
「それからもう一つ。王家の名においてゴルディーノ侯爵家はとり潰しが決まった。ここで全ての罪状を述べるにはいささか数が多すぎるのでそれに関しては後日発表する事になる。だが、証拠は揃っている。言い逃れできると思わない事だ」
あまりにも淡々と言われて、最初何を言っているのか瞬時に理解できた人は果たしてこの場にどれだけいたでしょうか。正直私はすぐに理解できなかった。
けれど、当事者であるエンリケは理解すべきだったのだ。
「な、にを言っているのですか王子。我が侯爵家がとり潰し? 冗談にしては度が過ぎているのではありませんか? いかな王家といえどもお戯れが過ぎますぞ」
その言葉が、果たしてエンリケが言葉の意味を理解しているのかそうでないのか、すぐに判断する事はできなかった。少なくとも、私から見たエンリケの態度は半々……意味を理解しなくてはいけないけれど、したくない、というように見えた。
まだ言い逃れができるのではないか、そう、思っているようにも。
「戯れ? それはそちらだろう。今までよくもまぁあれだけの事を隠し通してきたものだ。だが今度ばかりは下手をうったな。そちらの家で仕出かした事の一部をロンディーナ家へ擦り付けようとし、実際途中までは上手くいっていたようだが……残念だったな、フィオナが誰の従姉なのかくらいは知っていただろう。彼女は貴殿が思う程劣った存在ではないのだよ」
「フィオナ!? まさか……裏切ったとでもいうのか!?」
ぐ、ぬぬ、みたいな呻き声のあと、弾かれたようにエンリケはフィオナ様へと顔ごと視線を移動させた。
怒りか何かで顔を真っ赤にさせているエンリケに対し、しかしフィオナ様は何を言われているのかわからない、とばかりに小首を傾げてみせた。一瞬そのあどけない様子が幼子のようにも見えたのだけれど、しかしフィオナ様の目はそんなあどけないものではない。完全に敵を見る目でありました。
「裏切るもなにも。何故、そちらの家でやらかした事が我が家でした事になるのですか。おかしいでしょう。政略で結ばれた婚約だからこそ、ゴルディーノ侯爵令息様と歩み寄る努力はいたしました。けれど、犯罪の肩代わりをする事がそうだというのであれば、流石にそれは遠慮させていただきますわ。
我が家がそちらの家のかわりに没落するかもしれない、なんて事までは流石に……ねぇ?」
まぁそうでしょうね。
例えばとんでもなく大恩があるとかならともかく、そうでもないのに自分の家が傾く覚悟でとか土台無理な話ですもの。
何の話をしているのか正確な内容はわからない今であっても、周囲で聞いてる私たちだってフィオナ様の言ってる事の方が正しいと思えてしまう。こういうのを見ていると、日頃の行いって大事って思うわ。
もしフィオナ様がもっと嫌な女であったなら、もしエンリケがもっと好青年で素敵な方だったなら、こんな風に思わなかったかもしれないもの。
「ちなみに、他にも関わっていただろうゴルディーノ家所縁の者たちも同様だ。今頃は既に捕縛されているだろうな」
「な……ッ……!?」
怒りのあまり顔を赤くしていたエンリケであったが、その言葉に更に顔色を変えて今ではどす黒いというか赤黒いというべきかな色合いに変化している。凄い、人間の顔ってあんな風な色にもなるのね。
「衛兵、早くこの男を連れていけ」
エンリケが何かを言うよりも先に、王子は淡々と指示を出す。いつその指示が出るかと待機していただろう衛兵がすっとやってきてエンリケが抵抗するよりも先にその動きを封じる。あまりにも無駄のない動きすぎて、むしろ衛兵は最初からエンリケを捕縛していたのでは? とすら思えてしまった。
エンリケが何やら自己弁護なのか擁護なのかわからないけれど、とにかく言葉を紡ごうとしたもののそれすら察知されていたのかもう一人の衛兵がエンリケの口を手早く塞ぐ。猿轡をかまされて、エンリケの口から出る声は最早言葉ではなくただの雑音でした。
「さて、少々騒がせてしまったが、引き続き今日の宴を楽しんでくれ。今回の一件については後日、正式な発表をする。それまで無駄な憶測などで噂を広めるような真似は避けるように」
王子の言葉が終わるより前に、王子はすっと手を上げて何やら合図をする。
それを見た音楽隊が軽やかな楽曲を奏で始めた。確かに、王子が婚約破棄なんて宣言しなければ今頃は思い思いにダンスをしたりしていたはずだ。
えっ、こんな状況で何事もなかったように戻って踊れって……コト!? とは思ったし他の皆も同じ心境だったようだけど、いつまでも呆然としていたって仕方がない。今日が終われば、もうこのパーティーに参加する事なんてあるはずがないのだから。他のパーティーに参加する事はあっても、卒業パーティーは今日だけ。
もうこうなったら開き直って折角だから踊ってやろうじゃない!
そう思ったのは私だけじゃなかったらしく、それぞれが思い思いに動き始めて、あらかじめ約束していたパートナーと踊り始める人たちや、一緒に踊ってもらえませんか? と手を差しだしダンスに誘う者、その誘いに乗る者と、実に大勢が半ば自棄だったのもあるかもしれないけれど動いた事で。
卒業パーティーは実に大盛況のまま終わりを迎えたのでありました。
さて、後日。
そんな事もありましたね、と昔話を懐かしむような気持ちで語るにはあれからまだ日が浅くはあるけれど。
王子の言葉通り、ゴルディーノ侯爵家の行っていた悪事が赤裸々に暴かれる事となりました。
その日はたまたま友人と茶会をしていたのもあって、話題はもっぱらその一件。というか友人たちも同じく卒業パーティーにいたので、妙な方向に盛り上がったものです。
まぁ出るわ出るわ。この程度ならまぁ、やってる家もあるんじゃない? と思える小さな悪事ばかりがずらりと並んでいたならいっそ微笑ましく思えたでしょうけれど、そんな可愛らしいものではありませんでした。
むしろどうして今の今までこれらの悪事が暴かれなかったのか……罪を擦り付けられ没落する事になった家もありました。
エンリケだけではなく、ゴルディーノ侯爵家と所縁のある家の人たちも悪事に一枚噛んでるようで、一人だけなら無理だろう悪事もそりゃあこれだけ大勢の人が関わっていたのなら……とおかしな方向に納得もしてしまいました。
中にはちらっと、そう、私だってふとした瞬間これやったらとんでもない事になるんじゃない? なんて想像した悪事はあります。けれど、もしやって上手くいったとしてもいつまでも隠し通せるはずもないとわかっているし、だからこそやろうなんて思うはずもなかった悪事にまで手を染めていたのだから。
驚きと呆れと、妙な方向に感心すらしてしまいました。
小さな悪事を山のように、というのであればまだ、どうにかなったかもしれません。
しかしかなり悪質な事もしていたようなのです。これは……とり潰されるのも当たり前としか言いようがありませんわ……エンリケのせいで家が没落して、挙句死んでしまった人たちもいたらしいしそういった人たちは侯爵家が潰されたとしてもかえってくるわけがありませんもの。
むしろ連座で処刑、なんて事になっていてもおかしくはないのに家を潰すだけで済むなんて……とは思いません。
いっそ処刑されていた方が一瞬で終わったはずなので、そちらの方が余程温情だったでしょうに……
エンリケの悪事に手を貸した親類縁者の方は罪の度合いにもよるでしょうけれど、エンリケ本人はきっと生きてこの国から逃げられるかどうか……
むしろ処刑されなかった事で今まで彼に色々とやられていた家の人たちが手ぐすね引いて待ち構えているんじゃないかしら。
すぐに殺してしまっては他の方の溜飲が下がらないでしょうし、きっとじわじわと追い詰められていくんでしょうね……とはいえ、可哀そう、とは思いませんが。
だって自業自得ですもの。
功績を横取りして代わりに悪評を擦り付けられたエンリケによる被害者の中には、クラガヴァン伯爵家もありました。そう、フィオナ様の新たな婚約者となった御方です。
先代当主であるクラガヴァン伯爵が新たな当主となった息子を庇いどうにか持ちこたえていたようですが、一歩間違っていたらあの家も潰れていたはずです。
新当主でもあるルチアーノ様は一見するとあまり冴えない風貌ではありますが、それでも人の好さがにじみ出ていると思える御方で。
頼りなく見えますが、しかし陰でひっそりと行われていたエンリケの嫌がらせをどうにか躱し続けていたようでした。
そしてなんと、幼い頃にフィオナ様と将来の約束をしていた仲なのだとか。
とはいえ、幼少時の戯れに近しい言葉。大人からすれば本気に受け取られるはずもないそれ。
けれど、フィオナ様は家の事もありながら、それでもその言葉を信じていたようでしたし、ルチアーノ様もフィオナ様と共に在れるように、と努力をし続けていたようです。
エンリケが余計な事をしなければ、ルチアーノ様とフィオナ様は婚約できていたはずだったらしいのです。手柄横取りして婚約者まで奪うとか、本当にあの男ロクでもありませんね……
正直あの男の目的って何だったんでしょう?
お茶を飲んでいた友人にそんな疑問を投げかければ、野心第一でとにかく上を目指していたなら王位の簒奪じゃないかしら、なんてとんでもない返事がくる始末。しかしそんな突拍子もない答えであっても、笑い飛ばす事はできませんでした。やりそう。今はもうできないけれど、あのままあの男の思う通りの展開になってたら、最終的にそうなってそう。
「結局のところ、あのパーティーで王子が婚約を破棄する! なんて宣言していたけれど、実際は市井に出回ってる話のようにはなりませんでしたわね」
「まぁ、所詮お話はお話ですもの。現実とは違いますわ」
「それもそうですわね」
友人たちはそんな風にきゃらきゃらと笑っている。
裏で色々暗躍していたエンリケの悪事が暴かれて、権力だとかで結んだだろうフィオナ様との婚約を破棄されて。
どちらかといえば、市井の小説の中ならエンリケの方が余程王子の立場に近しい。
実際の王子がやったのは悪を裁いた事と、幼い頃の約束だったとはいえ本来結ばれるはずだった二人の婚約を改めて認めた事だ。
普通にいい人ですわね。いえ、悪役をやってほしいわけじゃないのですけれども。
むしろ王子が悪役をやったなら、間違いなくエンリケ以上に恐ろしい存在になっていたのではないかしら?
お話の中の女に目が眩んで現実が見えなくなった状態の王子と違って、ユリウス王子は現実を見据えていらっしゃるもの。悪事の証拠だって一つや二つ程度しかなかったのなら、他はきっと侯爵家が上手く隠したでしょうけれど、そうさせないために時間をかけて罪の一つも取りこぼしがないようにしていたに違いありませんわ。そのせいでこうなるまでに時間がかかったとしても、中途半端にゴルディーノ侯爵家が生き残るような事になるよりは……きっと他の家もそう思っているのではないかしら。
お話の中の王子が婚約破棄を宣言したら、大抵のお話ではその後王子が不幸な目に遭いますけれど、やはりあれはお話の中だけの展開ですわね。
実際の王子が婚約破棄を告げたら、告げられた令嬢は想い人とくっついたし、悪は滅びたのですから。心なしか窓から見える外の景色もいつも以上に輝かしく見えますし。
何はともあれハッピーエンドというやつでございましょう。