新しい世界
〈光の中から、6人の男達が現れた〉
地野「ここが新しい星か」
火野「暖かくて住みやすそうな星だな!」
水野「湿度もいいね。この様子なら時々雨が降りそうだし、環境には恵まれてるんじゃないかな」
凍野「探せば食料も手に入りそうだな」
雷野「やっと落ち着けるんだ……良かった……」
地野「安心するのはまだ早い。まずは周囲を探索して、寝るのに適した場所を見つけるんだ。それと、食べられそうな物や薪を集めておこう。危険な生き物がいたら駆除しておいた方がいい」
〈6人の男達は、散らばって探索しようとしたが、すぐに異変に気付いた〉
水野「なんだい、この揺れは……?」
凍野「地震……? いや、この音は……足音か!?」
〈身構える6人の前に、四足歩行の巨大生物が現われた〉
雷野「うわ! 猛獣だ!!」
火野「大丈夫だ! オレに任せろ!」
地野「おい、待て!」
火野「炎よ!」
〈火野の手から炎がほとばしり、突進してきた猛獣の巨体を焼き尽くした。その火力はすさまじく、周囲の草一面までもがメラメラと燃えていく〉
雷野「うわー! おれ達まで燃えちまう!」
地野「ちゃんと手加減しろよ、馬鹿!」
水野「ボクに任せて」
地野「あ、こら!」
水野「水よ」
〈水野の手から大量の水が溢れ、炎が消えていく。辺りは大洪水になる〉
地野「だから、手加減しろって! くそ、俺が地面に吸わせてみる。大地よ!」
〈洪水の勢いが少し弱まる。が、まだ大量の水が残る〉
雷野「うわー!」
地野「駄目か! こんなとき、草野がいれば……」
凍野「草野は火野に草を燃やされすぎて、この前ケンカ別れしたじゃないか」
地野「分かってる!」
凍野「仕方ない。じゃあ僕が。凍りつけ!」
〈凍野の手から放たれた冷気が、全ての水を一瞬で凍らせた〉
火野「寒い!」
水野「……ボク達の足まで凍っているようだけれど?」
凍野「こうするしかなかったんだ」
地野「元はと言えば、水野が水を出しすぎたんだろ」
水野「それを言うなら、火野が火を出しすぎたんじゃないかい?」
火野「スマン、皆」
雷野「ああ、もう嫌だ! 砕けろ!」
〈あちこちで雷が落ち、氷が砕けていく〉
火野「おい、落ち着け!」
地野「やりすぎだ!」
雷野「うわー!!」
〈特大の雷が落ちて、地面が大きく裂ける。その奥から、マグマのような赤い液体が上がってくる〉
火野「ヤバい!」
〈ずっと黙っていた6人目の男が、ふう、と溜め息をついた〉
光野「この星ももう駄目か……。光よ!」
〈辺りが光に包まれ、6人の男達の姿が消えた〉
〈そして新しい星。光の中から、6人の男達が現れた〉