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老人、願う

初めての投稿です。

暗い山の中で、




「はっ・・!はっ・・・!はっ・・・・!」




老人の辛そうな声が聞こえてくる。




零時を過ぎたころだろうか、もう周囲は完全に夜の闇に飲まれていた。


その中で老人は残り僅かの寿命の中で必死に木刀を持ち素振りを続けていた。



「ふっ・・!ふっ・・・!ふっ・・・


     

カランカラン!!



木刀の落ちる乾いた音が辺りの夜の闇を切り裂いた。



(儂はもうここまで・・か)



だが老人は最後の力を振り絞り薄暗い小さな山小屋の中へと入っていった。


ろうそくがゆらゆらと燃えている.その部屋の中には布団と囲炉裏そして


簡素な山小屋の中の部屋の奥にポツンと不釣り合いな真っ青な刀身の刀があった。


そして老人はつぶやく




「名刀・・青龍」




かつて刀鍛冶が最も栄えた時代にその時の史上最高の刀鍛冶が打った最高の一振りで


その刀はどんな硬いものを切っても刃こぼれ一つせず、さびすらもつかない。


そんな一言でいうと国宝級のものが老人の手の中にあった。


そして老人は、おもむろに立ち上がると、山小屋を出てきて夜の冷たい風が吹く中、


構えをとった。


老人が言葉を紡ぐ。



「絶心流・・・壱番【羅刹】」



刀が横薙ぎに振るわれる。そのあまりの速さに蒼い刀身は蒼い光の筋となって


山へと向かっていく。



キン!



金属が出すような音に近い音が静かに響く。


それは老人が刀をしまった音だった。そして次の瞬間、


ズズズズズズズズッ!!


なんと山が斜めにずれていったいったではないか。


しかも・・・


四つも・・・


「はぁ・・・儂は結局ここまでしかできんかったのか」


老人は何故かため息をつきながら、ごろんと冷たい地面に寝転がった。


暗い空には満点の星が煌めいている。



(つまらなくも楽しい人生じゃったな)


老人は心の中でそう思った。今までのことが全て思い出される。


生まれて五歳で刀で熊を狩ったことや海外で武者修行と言って色々な相手を


ボコボコにしたりと色々なことがあったなとつい苦笑いを浮かべる。


「もし、もしも次の人生があるのならばもっと!もっと!!強くなりたい!」



老人がそう願った次の瞬間、、、



(いいでしょう。その願い叶えてあげます。)



そう聞こえるとあたり一帯が神々しい光に包まれた。




段々と光が収まってきた。


だが、老人のいた場所にはもう何も無かった。

どうでしたか?

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