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第72話 帰宅

少しずつルミナスの街の門が見えてきた。

以前フィリアと一緒に馬車に乗った場所だ。

ここから冒険は始まったんだよな…



「やっと帰って来ましたね…」



「あぁ…やっと我が家に着くな…」



まさか母上と一緒に帰れるなんて…

考えてみると旅に出てから四ヶ月くらいしか経過していない…

でも過去に遡った分長く感じる。



そして門をくぐりルミナスの城下町を歩く。

俺は周りの景色を見て目を奪われた。



「す、凄い…」



町中に沢山のエルフが歩いている。

一般市民として生活しており店員として店にも立っている。



「これは、お前が守った景色だ…」



母上が更に説明を続けていく。

十年前、ルミナスにエルフを避難させて王の判断の元、サリーの奴隷術を解除。

そしてエルフと交渉の後、ルミナスへの移住を受け入れた。



「母上…エルフ達を救えたんですね…」



「それから私とユーリは世界を周り、

 エルフ達を助けているってわけさ」



母上とユーリが積み重ねた歴史が目の前に広がる…

俺はこの光景に目を奪われた…

街中にエルフが溢れ笑顔で笑っている。



「あ、あねご!

 私、そろそろ限界…」



「…もう少し我慢しなさい…」



ユーリがソワソワしだした…

落ち着かない様子だ。



「ユーリ、どうしたんだ?」



「あの…お腹空いた…」



ユーリは、頬を赤らめながら言っていた…

俺はそれを見てつい笑ってしまう…

笑われて恥ずかしかったのかユーリは顔を真っ赤にしている。



「く、クリス、酷いよ〜」



「ご、ごめんごめん…くく」



母上は仕方ないなと言わんばかりの表情で串焼きを買ってきた。


「ほら、全員分あるぞ」



「おお!クレア、太っ腹だな」



カートが腹を前に突き出し冗談で太っ腹を表現する。



「いっぺん死ぬか?カート…」



「すいませんでした…」



カートさん、速攻で謝ったな…

引き際は肝心だね…



「じゃあ、ユーリと二人で

 先に家に帰っていてくれ…」



「え?母上は?」



「そういえば言ってなかったな…

 師匠を連れて王のところに行ってくる」



同行している賢者様を連れて王と謁見だ。

今後についてを相談するらしい。



「母上も気をつけてくださいね」



「あぁ、まあ私を襲う輩なんていたら、

 塵にしてやるがな」



俺は苦笑しながら母上、他のみんなと別れた…

するとユーリが壁に貼ってあるポスターに気づく。



「あ!そういえば来月になるのか!」



「ん?」



「ルミナス魔宝祭!」



俺は一瞬何のことだか分からず固まってしまう。

今まで生きてきてルミナスに祭はなかったはずだ。



「あぁ、エルフが移住したから、

 気づいたら毎年やるようになったんだ」



「へーなるほどね!」



確かに永続的にルミナスに住み続けるなら異文化交流も兼ねて良い試みだなと思う。

十年前の魔宝祭を見てエルフの祭への入れ込み具合に感心していた。



「エルフは、お祭り好きだよね…」



「そうね…毎年気合い入ってるみたい…」



ユーリは、少し顔を赤らめながら俺に頼み事をしてくる。



「あの…私、あねごと一緒に出張続きで、

 お祭り行ったことないから…」



「ん?」



髪の毛を触りながら気恥ずかしそうにユーリは言葉を続けていく。



「私と一緒に、

 お祭り周ってもらっても良い?」



「お祭り?

 良いけど…」



「やったーー!」



ユーリは、子供のようにはしゃいでいる。

その笑顔に一瞬、目を奪われてしまった…



「ん?どうしたの?

 クリス?」



「い、いや、何でもないよ」



俺は慌てて普段通りの自分を演じる。

見惚れてましたなんて言えない…



「ふふふ、じゃあ約束だからね!」



「わ、分かったよ〜」



そう言いつつも俺たちはレガードの屋敷へ向かっていく…



「や、やっと我が家に着いた…」



「ふふふ、クリスにとっては

 ニ年ぶりくらいだもんね…」



そしてレガードの屋敷の前に着き、

久しぶりのドアを開けようとした。

すると物凄い勢いで後方から走ってくる音が聞こえる。



「あ〜〜〜〜!!!!」



「はい?」



「お、お兄様!!」



勢いよくダッシュして抱きついてきた…

もう離さないと言わんばかりに力強く捕まえられている。



「いたたた、アリス…

 急に飛び込んでくるな…」



「もう、逃がしません…

 あああああああお兄様…」



なんか背筋がゾッとしてきたので、

アリスの頭をチョップしてしまった。



「あ〜いたい…

 半年近くも待ったのですから、

 もっと嗅がせてくれても良いじゃないですか…」



「き、気持ち悪いわ!」



そこに白狼族のベルが挨拶してきた…

やはり落ち着いた印象は変わらない。



「お帰りなさいませ。

 クリス様…」



「ただいま、ベル…」



隣にもう一人、驚くほどの美女が立っていた。

赤い髪をしたスレンダーな美人。

髪はストレートの長髪だ。



「おかえりなさい…」



「え?

 もしかしてサリー?」



「ふふふ、そうね…

 あなたの方は久しぶりなのね…」



忘れていたが母上がサリーを保護、監視することになっていた…

ユーリと同じように成長して大人になっている…



「サリーおばちゃーん、待って〜」



突如だが七歳くらいの女の子の声が聞こえてきた…

そして俺の顔を見た途端に目をキラキラさせている。



「え?誰?」



すると女の子は少しずつ笑顔から表情を変えていく…



「うぇーーーーーーん…

 クリスお兄しゃまが…

 お兄しゃまが………

 …ひっく……うぅ…」



「お兄様…

 流石にリリスが可哀想ですわ…」



アリスは呆れ果てた顔で俺を睨む。

サリーも俺をジト目で見ている…



「え?もしかして俺の妹?」



もしかしたらの可能性を考えた。

母上が生きているなら子供を作っても不思議ではない…



「あ、当たり前じゃないですか!

 クリス様!」



そう言って現れたのはリーナだ…

久しぶりに会ったが変わっていない。



「リーナ…

 久しぶりに会えて嬉しいよ…」



「私もです…

 でも本当は一言、声をかけてから、

 出かけて欲しかったのですが…」



そういえば王からの命令があったな。

秘密で賢者を訪ねるよう言われていた…



「申し訳ないと思ってるよ…」



「本当ですよ〜」



リーナは呆れた目で俺を見てくる…

俺は苦笑するしかない…



「さぁ中に入りますよ…

 そろそろ夕飯ですから…」



リーナの夕飯という言葉に、ユーリの身体が反応したのを見逃さなかった。




「中に入るぞ、ユーリ…」




そして俺たちはレガードの屋敷に入って行く。

今日は驚いたことが沢山あった。

特に妹が産まれていたなんて思いもしない。

俺の知らないところで他にも何かが変わっているのかもしれない…

いつもお読み頂き心から感謝致します(T . T)

皆様のおかげで何とか毎日更新継続できております…

明日も10時更新を目指します。


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今後とも宜しくお願い致しますm(_ _)m

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