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第47話 決心

いつもご覧いただき、本当にありがとうございます。

初投稿から1ヶ月、たくさんの方にお読みいただき感謝ですm(_ _)m

仕事が死ぬほど忙しい日もあったのですが、毎日続けることができたのも皆様の応援のおかげです(T ^ T)

今後とも頑張りますので宜しくお願い致します。

麓の村の食事処にクリス達は到着する。

リサーチしてきたユーリの情報に従って、

店を選んでいる…

なんと言ってもタダ飯ほど美味いものはない。

ユーリのテンションは、いつも以上に高い…



4人でテーブルに座っていると、

ウェイトレスが注文を確認する…



「お前ら、遠慮せずにたくさん食えよ…」



男の甲斐性を見せるカート…

しかし、この局面でそんなことを言って良いのかと冷や汗を流すクレア。


「遠慮せずにたくさん食えよ」


このフレーズにユーリは目を輝かせる。

だが、一応初めて連れてきてもらった人に奢ってもらうのだ。

一応クレアに聞いてみることにした…



「あ、あねご…

 が、我慢しなくても良いの?」



「カートが良いと言ってるんだ…

 が、我慢しなくて……いいぞ…」



クレアは迷いに迷ったが魔女狩りの件もあったため、

カートよりもユーリの笑顔を取った。



すまん、カート…

お前のボーナスは、今日で消え去るだろう…



クリスは一応初対面なわけで、

自然体でいくことにしている。

そのためクリスの方針としては、

今日のユーリは野放しだ。



つまり、この状況のユーリは、

野に放たれた野獣である。



「わーい!

 カートさん、大好き!」



ユーリはここ一番で会心の一撃を与えてしまう。

男にとって、可愛い女の子からの好意は素直に嬉しいものである。

だが、直球で「大好き」なんて言われる機会は人生でも数えるほどだろう…




カートの頭にはユーリからの言葉が離れない。


「カートさん、大好き」


魔法でもかけられたかのようにカートの頭には、

ユーリのフレーズで一杯になる。

自然と鼻の下を伸ばしてしまう…



「うおおお!

 店員さん、これもこれも追加!!」



「きゃははは」



こんなに腹を抱えて笑うユーリを見ていると、

これで良いのかもと思ってしまうクリス。

ふとクレアを見ると、クレアも頷いている…

やっぱりこれで良いのだ…



「おい、クリスも食えよ!」



「た、食べてますよ〜」



「そうだもぐもぐ、くりすも…くえ!」



「食べながら話すな、ユーリ」



ユーリは口いっぱいに頬張っている。

まるでリスのようだ…



「誰も取らないぞ…」



俺は笑いながらユーリに話しかける…

ひとまずユーリは食べる事に集中するようだ。



気を取り直したカートが、

クレアに話しかける…



「ところでお前達はどこに向かうんだ?」



「ひとまずはエルフの里だ…」



するとカートの表情が曇る…

エルフの里に何かあるのだろうか…



「実はな、王都からの指示でエルフの里を探るように言われてるんだ…」



「何かあるのか?」



「ああ、最近変な果実が流通しててな…」



エルフの里で流通する謎の果実。

それを調査するためにカートは派遣されたのだ…



「その果実はどんな効果があるんだ?」



「めちゃくちゃ美味いらしい…

 それが気持ち良いというか、

 脱力感も多少あるって話だ?」



脱力感のある果実…

しかし、鎖国している状態なのに、

外来種の果実を入れるのかと疑問に思うクリス。



「エルフって鎖国してるんですよね?

 それなのによく果実を入れようと思いましたね…」



「え?エルフは鎖国してないぞ?

 普通に一般人でも中に入れるしな」



「え?」



何を言ってるんだ…

それでは危険じゃないか…



「あの……エルフは力が弱く侵入されると、

 攫われませんか?」



「クリス…何言ってるんだ?

 エルフは屈強な戦士達ばかりだ。

 クレアには敵わないだろうが、

 腕利きばかりだぞ…」




「は?」




この時代のエルフの事実に驚きを隠せない。

現代ではエルフに有能なスキルは現れなくなっている…

一体ここから現代に向けて何が起きていたのか。



「エルフって、物凄く強いんですね…」



「当たり前だろう…

 長寿種族だからな…

 練度も違う…」



それ程までに強い種族が10年も経てば落ちぶれるのか。何か陰謀があるのか?

持ち込まれている果実が原因なのだろうか。



クリスはエルフの里で蠢く陰謀を気にかける…

そんな話をクレア、カートと話しているうちに、

一同はすっかりユーリを忘れてしまっていた。



気づけばテーブルの上は空の皿で溢れていたのだ…

ちなみに何段も積み重ねられている。



「お、お前…

 これは何だ…」



尋常ではない皿の量に唖然とするカート。

更に少しずつ顔を青くしていく…



「美味しかった〜

 カートさん、たくさんありがとう」



今までで見たことのない程の満面の笑みをカートに向ける。

カートもそんな純粋な笑顔を向けられて、

何も言い返せなくなる。



「おぉ…」



見てられなくなったクレアは、この場を出ようと試みる。



「カート、そろそろ失礼する…

 今日はご馳走様…

 明日から同行、宜しくな…」



そして、そそくさとクリスとユーリを連れて店を出てしまう…



「お、おい、クレア…」



一瞬の出来事だった…

気づけば店内にはカートしか居ない…



「お客さん…お会計…」



悪魔の呼ぶ声がする…

店主の出す伝票を受け取り、

その金額を見て更に青ざめるカート。

賞与を諦めて会計を終えたのだった…





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





すっかりと夜も更けた…

俺はカートさんにお礼を言えず、店を出てしまい後悔していた…



「うーん、まだ起きてそうだし行ってみようかな…」



カートの泊まる部屋に行ってみることにした。

クリスが泊まる部屋からは少し離れている。

外を見渡してみると、路地のベンチに座って酒を飲むカートを見つけた…



「カートさん、お酒ですか?」



「あぁ、クリスか…

 ちょっと眠れなくてな…」



「俺もです…」



クリスはカートが好きだ…

しかし、それには大きな理由がある。

クレアを亡くした時にカートが現場にいた。

守れなかった責任を感じ、それ以来親身に接してくれたのだ。

当初はカートが母親代わりになると言い出した時もあった…

正直どうなることかと思ったが、

そんなカートが大好きだったのだ…



「クリス…お前悩みでもあるのか?」



「え?」



「いや…何故なのか、

 お前見てると悩んでるかどうか、

 分かる気がするんだよ…」




カートさん……




「……………

 もし、カートさんは…

 大切な人が死ぬと分かっていたら、

 どうしますか?」




「それは病気か?」




「いえ、違います…」




カートは呑んでいた酒を一旦止めて、

笑みを浮かべながら口を開く。





「俺なら…

 足掻き続けるだろうな…」





「え?」





「お前が俺に聞くって事は、

 助けられる可能性が無いわけではないのだろう?」





そういえば…前にカートさんが、

俺に教えてくれた言葉だ…

俺自身が凄く好きだったのに忘れてた。





「なら、最後の最後まで足掻き続けろ」





カートの一番好きな言葉を聞くことができて、

クリスは改めて迷いを捨てる覚悟が出来た…




「そうするしか、この先の未来を掴めないなら、

 全力でやるしか無いんだよ…」




カートさん…

やっぱり貴方に出会えて本当に良かった…

俺は貴方が大好きで仕方がない。




「ありがとう…

 カートおじさん…」




「お、おい

 やめろ!俺はまだ20代だ…」




「ふふふ、あはははは」




クリスは気づいたら涙を流しながら笑っていた。

過去に遡ってもカートは変わらず、

クリスの好きなカートだったのだ。

そしてまた自分に大切な事を教えてくれた…




間違いなく、母上とユーリに何かが起きる…

でも、未来は誰にも分からない。

必ず死ぬとは決まっていない。



この日俺は一大決心した…




母上とユーリを救ってみせる。

そして未来を変えてやる!




叶えられるまで…

俺は、最後の最後まで足掻き続ける…

いつも応援頂き、心から感謝申し上げます。

毎日更新、10時更新を今後も続けられるように精一杯頑張ります…

休日は17時にもう1話公開する日もあるかもしれません。

今後も精一杯頑張りますので、宜しければいいね、ブックマークの登録をして下さると励みになります。

今後とも宜しくお願い致しますm(_ _)m

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