第47話 決心
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麓の村の食事処にクリス達は到着する。
リサーチしてきたユーリの情報に従って、
店を選んでいる…
なんと言ってもタダ飯ほど美味いものはない。
ユーリのテンションは、いつも以上に高い…
4人でテーブルに座っていると、
ウェイトレスが注文を確認する…
「お前ら、遠慮せずにたくさん食えよ…」
男の甲斐性を見せるカート…
しかし、この局面でそんなことを言って良いのかと冷や汗を流すクレア。
「遠慮せずにたくさん食えよ」
このフレーズにユーリは目を輝かせる。
だが、一応初めて連れてきてもらった人に奢ってもらうのだ。
一応クレアに聞いてみることにした…
「あ、あねご…
が、我慢しなくても良いの?」
「カートが良いと言ってるんだ…
が、我慢しなくて……いいぞ…」
クレアは迷いに迷ったが魔女狩りの件もあったため、
カートよりもユーリの笑顔を取った。
すまん、カート…
お前のボーナスは、今日で消え去るだろう…
クリスは一応初対面なわけで、
自然体でいくことにしている。
そのためクリスの方針としては、
今日のユーリは野放しだ。
つまり、この状況のユーリは、
野に放たれた野獣である。
「わーい!
カートさん、大好き!」
ユーリはここ一番で会心の一撃を与えてしまう。
男にとって、可愛い女の子からの好意は素直に嬉しいものである。
だが、直球で「大好き」なんて言われる機会は人生でも数えるほどだろう…
カートの頭にはユーリからの言葉が離れない。
「カートさん、大好き」
魔法でもかけられたかのようにカートの頭には、
ユーリのフレーズで一杯になる。
自然と鼻の下を伸ばしてしまう…
「うおおお!
店員さん、これもこれも追加!!」
「きゃははは」
こんなに腹を抱えて笑うユーリを見ていると、
これで良いのかもと思ってしまうクリス。
ふとクレアを見ると、クレアも頷いている…
やっぱりこれで良いのだ…
「おい、クリスも食えよ!」
「た、食べてますよ〜」
「そうだもぐもぐ、くりすも…くえ!」
「食べながら話すな、ユーリ」
ユーリは口いっぱいに頬張っている。
まるでリスのようだ…
「誰も取らないぞ…」
俺は笑いながらユーリに話しかける…
ひとまずユーリは食べる事に集中するようだ。
気を取り直したカートが、
クレアに話しかける…
「ところでお前達はどこに向かうんだ?」
「ひとまずはエルフの里だ…」
するとカートの表情が曇る…
エルフの里に何かあるのだろうか…
「実はな、王都からの指示でエルフの里を探るように言われてるんだ…」
「何かあるのか?」
「ああ、最近変な果実が流通しててな…」
エルフの里で流通する謎の果実。
それを調査するためにカートは派遣されたのだ…
「その果実はどんな効果があるんだ?」
「めちゃくちゃ美味いらしい…
それが気持ち良いというか、
脱力感も多少あるって話だ?」
脱力感のある果実…
しかし、鎖国している状態なのに、
外来種の果実を入れるのかと疑問に思うクリス。
「エルフって鎖国してるんですよね?
それなのによく果実を入れようと思いましたね…」
「え?エルフは鎖国してないぞ?
普通に一般人でも中に入れるしな」
「え?」
何を言ってるんだ…
それでは危険じゃないか…
「あの……エルフは力が弱く侵入されると、
攫われませんか?」
「クリス…何言ってるんだ?
エルフは屈強な戦士達ばかりだ。
クレアには敵わないだろうが、
腕利きばかりだぞ…」
「は?」
この時代のエルフの事実に驚きを隠せない。
現代ではエルフに有能なスキルは現れなくなっている…
一体ここから現代に向けて何が起きていたのか。
「エルフって、物凄く強いんですね…」
「当たり前だろう…
長寿種族だからな…
練度も違う…」
それ程までに強い種族が10年も経てば落ちぶれるのか。何か陰謀があるのか?
持ち込まれている果実が原因なのだろうか。
クリスはエルフの里で蠢く陰謀を気にかける…
そんな話をクレア、カートと話しているうちに、
一同はすっかりユーリを忘れてしまっていた。
気づけばテーブルの上は空の皿で溢れていたのだ…
ちなみに何段も積み重ねられている。
「お、お前…
これは何だ…」
尋常ではない皿の量に唖然とするカート。
更に少しずつ顔を青くしていく…
「美味しかった〜
カートさん、たくさんありがとう」
今までで見たことのない程の満面の笑みをカートに向ける。
カートもそんな純粋な笑顔を向けられて、
何も言い返せなくなる。
「おぉ…」
見てられなくなったクレアは、この場を出ようと試みる。
「カート、そろそろ失礼する…
今日はご馳走様…
明日から同行、宜しくな…」
そして、そそくさとクリスとユーリを連れて店を出てしまう…
「お、おい、クレア…」
一瞬の出来事だった…
気づけば店内にはカートしか居ない…
「お客さん…お会計…」
悪魔の呼ぶ声がする…
店主の出す伝票を受け取り、
その金額を見て更に青ざめるカート。
賞与を諦めて会計を終えたのだった…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
すっかりと夜も更けた…
俺はカートさんにお礼を言えず、店を出てしまい後悔していた…
「うーん、まだ起きてそうだし行ってみようかな…」
カートの泊まる部屋に行ってみることにした。
クリスが泊まる部屋からは少し離れている。
外を見渡してみると、路地のベンチに座って酒を飲むカートを見つけた…
「カートさん、お酒ですか?」
「あぁ、クリスか…
ちょっと眠れなくてな…」
「俺もです…」
クリスはカートが好きだ…
しかし、それには大きな理由がある。
クレアを亡くした時にカートが現場にいた。
守れなかった責任を感じ、それ以来親身に接してくれたのだ。
当初はカートが母親代わりになると言い出した時もあった…
正直どうなることかと思ったが、
そんなカートが大好きだったのだ…
「クリス…お前悩みでもあるのか?」
「え?」
「いや…何故なのか、
お前見てると悩んでるかどうか、
分かる気がするんだよ…」
カートさん……
「……………
もし、カートさんは…
大切な人が死ぬと分かっていたら、
どうしますか?」
「それは病気か?」
「いえ、違います…」
カートは呑んでいた酒を一旦止めて、
笑みを浮かべながら口を開く。
「俺なら…
足掻き続けるだろうな…」
「え?」
「お前が俺に聞くって事は、
助けられる可能性が無いわけではないのだろう?」
そういえば…前にカートさんが、
俺に教えてくれた言葉だ…
俺自身が凄く好きだったのに忘れてた。
「なら、最後の最後まで足掻き続けろ」
カートの一番好きな言葉を聞くことができて、
クリスは改めて迷いを捨てる覚悟が出来た…
「そうするしか、この先の未来を掴めないなら、
全力でやるしか無いんだよ…」
カートさん…
やっぱり貴方に出会えて本当に良かった…
俺は貴方が大好きで仕方がない。
「ありがとう…
カートおじさん…」
「お、おい
やめろ!俺はまだ20代だ…」
「ふふふ、あはははは」
クリスは気づいたら涙を流しながら笑っていた。
過去に遡ってもカートは変わらず、
クリスの好きなカートだったのだ。
そしてまた自分に大切な事を教えてくれた…
間違いなく、母上とユーリに何かが起きる…
でも、未来は誰にも分からない。
必ず死ぬとは決まっていない。
この日俺は一大決心した…
母上とユーリを救ってみせる。
そして未来を変えてやる!
叶えられるまで…
俺は、最後の最後まで足掻き続ける…
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