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第39話 賢者(2)

エルフの里に到着した公爵達。

里の門で必死に訴えかけているが話を信用してくれない…

人間とエルフの溝は想像以上に大きいのだ。




「私はルミナスの公爵だ…

 頼む…話を聞いてくれ…」



「ダメだ、ルミナス国王からの正式書面を渡せ…」



里から逃亡を促すほどの内容であれば国王の正式書面は必要だ。

もし賊を里に入れてしまった暁には、里に住む者を捕えられてしまう。




「門すら入れないのか…

 何か、何か手はないのか…」




信用を失う原因を作ったのは間違いなく人間だ。

この場で信用しろと言っても中々難しい…




「どうすれば…時間がないのに…」





かれこれ、到着してから半日以上はこうしている…

このままでは貴重な1日を終えてしまう…

クリスに二手に分かれろと言った手前、

この場は何とか納めたい…




時間だけが経過していく中で、

一人の兵士が異常事態を知らせる。




「こ、公爵、西の空に

 ば、化け物が…」




「な、何だと…」




兵士が発見した空を飛ぶモンスター。

見つけた場所からだと、ここまで来るのは時間の問題。

そしてクリス達がいない状況では、戦力的に全く歯が立たない。




「お、おい頼む…聞いてくれ…

 空からモンスターが…すぐに来るぞ…」




本来オークの大群が来るまでの間、

数日間は猶予があるはずだった…

そのため交渉に時間を割いていたのだ。

空からの敵の襲来は、全くの予想外だった。




「そ、そんな馬鹿な…」




エルフ達も戸惑う…

人間の言うことだと、全く相手にしていなかったが、

まさか現実になってしまうとは…

敵を排除する戦力はエルフには無い。

長寿種族であっても良いスキルに恵まれなければ、

力を落としてしまう…




「私の船へ避難させろ…

 急げ!早くしないと全滅だ…」




公爵の船まで時間は20分ほどかかる。

危機迫る中で、逃亡時間を計算しても確実に間に合わない…

頭の中では絶望的な状況だと分かっている。




混乱するエルフ達を見た公爵は、

今、出来ることをするしかないと腹を括る…




「すぐに森に走れ!

 我々と船へ向かうんだ!」




男性中心に力の弱い者を誘導していくが、

行動し始めたのが既に遅かった…

オークに先行したワイバーン部隊が到着してしまったのだ。



「人間どもが逃げ出してるぞ!」



ワイバーン2体と操縦する魔族。

二人とも部隊に先行して遊撃する兵士と見受けられる。



「セト様が到着するまでに全て片付けるぞ!」



「手柄は俺たちのものってわけだな」




まだ逃げ始めて間もない状況で狙われるのは危険だ。

公爵は勇敢にも立ち向かう…

兵士と共に矢を放つ。



しかし、ワイバーンは上空に飛び上がり回避する。

そして矢は届かずに落ちてしまう…



「馬鹿め!

 ワイバーンの炎を味合わせてやるよ!」



そのように魔族の一人が言うと、ワイバーンの口から、

ファイアーボールよりも大きな火の玉が降り注ぐ。

エルフの民家に焼け移り燃えていく…



里にエルフ達の悲鳴が鳴り響いてしまう。

公爵の恐れていた地獄絵図がそこにあった…



恐らくだが、このままだと全滅は免れないだろう。

誰も強力なスキルを持ち合わせていない。

勝つ算段を見出せない公爵は、膝から崩れ落ちる。



「もう駄目だ……」



このままでは本当に全滅してしまう…

脳裏に自分の妻であるルミナ、娘のカリナが思い浮かぶ…

愛する者達へ二度と会うことが出来ない…

浅はかだったと、後悔の念に苛まれる…




二人とも幸せになってくれ…

死を覚悟したその瞬間…




クリスの飛び蹴りが、ワイバーンへと入る。




強化格闘術が可能にする蹴りだ。

吹き飛ばされたワイバーンと魔族は墜落していく。

落下速度からしてまともに生きてはいないだろう。



「クリス君!」



公爵は現れたクリスを見ると、歓喜の声をあげて喜ぶ…

もう駄目かと諦めかけた瞬間だったため、

現れたクリスへ泣きながら感謝をする…




「な、馬鹿な…」



「貴方も終わりよ…」



水魔法の弾丸を複数呼び出し連射する魔法。

水魔法レベル3、バブルバレットを発動。



「フィリア殿!」



背後から発動したフィリアの魔法により、

蜂の巣のように穴だらけになったワイバーン。

魔族も墜落して生き絶える…



二人ともエルフの集落にそびえ立つ木や家屋を足場に飛び立ったのだ。

強化格闘術が可能にする身体能力で空飛ぶ魔物を撃退した。



「ふ、二人ともありがとう…」



涙を流しながら感謝する公爵。

よほど嬉しかったのだろう、鼻水も出ている…



「喜ぶのは早い…

 早くこの場から逃げるのだ…」



「あ、貴方は?」



フィリアに似ているが、フィリアではない。

公爵は突如現れた人物を知らない。



「公爵…

 実はこの方、賢者様です…」



「な、なんだと!!」




500年前の偉人。

初代国王と共に存在したと言われる賢者。

童話や御伽噺の中だけだった人物を目の前にするが、

あまりに若くて信じられないでいる…




「まあ出会いを喜ぶのも生きて帰った後だ…

 まだ四天王が来ていない…

 今ならまだ間に合う…」





渡りに船である。まさに好機…

クリス、フィリア、

更に賢者までがいる、戦力としては十分。

この瞬間に全てを賭けて逃げ出すべき…



一瞬の間に公爵は考えた…




「皆の者…早く逃げ…」




そしてエルフを逃がすために必死に声を張り上げる。

たが、その掛け声をかき消すような飛行音が鳴り響く…





その飛行音の正体、ワイバーン一体が通過する…

その上に一人、異様な魔力のオーラを纏いし者が見える。





「…来てしまったか…

 お前だけは来てくれるなと思ったよ…」






黒の甲冑に身を包む騎士。

全身を包む鎧は漆黒の黒の色をしている。






「久しぶりだな…

 時の賢者ロゼ

 いや…魔界の裏切り者よ…」





「ふふ…ほざけ…

 お前達が私を裏切ったんだよ…

 四天王最強の男…

 黒騎士セト…」





時の賢者は黒騎士と言った。

その呼び名にふさわしい装いから、

ただ者ならない風格を感じる。




「クリス…絶対に奴には手を出すな…

 お前ではまだ勝てない…」




賢者がまずクリスに忠告する…

四天王は魔界の中でも最上位に位置する。

覇王を手にしたクリスでも、

まだ太刀打ちできる相手ではない。





「賢明だな…

 だが俺が生きて返すと思っているのか?」





「フィリア、すまない…

 お前…クリスの師匠だったな…

 クリスを逃すのを手伝うんだ…」





「賢者様?」




「な、何言ってるんだよ!賢者様!」




突然言い出す賢者に、意味が全く理解できないクリス…

当然賛同など出来るはずもない。




「ところでセト…

 お前、あの魔剣はどうした?

 大切な剣だったろ…」



「勇者に封印されて以来、使えなくてな…

 まあ使えずとも苦戦する輩もいない…」




賢者はその言葉を聞き、目を瞑る。

その後、賢者の空気が変わる…

目を開くと同時に魔法を発動する。



「クリス、すまないね…」



クリスの周りに時空魔法の結界が生まれる。

何人たりともクリスを攻撃も回復も出来ない。




「賢者様!何をするんだ!」




「こうもしないとお前はセトに向かっていくだろう…」




クリスは時の結界に閉じ込められてしまう。

何人たりとも出ることを許されない結界。

唯一消滅するのは賢者が死ぬ時だけだ。




「フィリア…この戦いは、いかにクリスを逃すかだ…

 私に全てを賭けてくれるね?」




「賢者様……」




真剣な眼差しでフィリアへと問いかける賢者を見た瞬間、

フィリアは悟る。

目の前にいる黒騎士は自分では到底足元にも及ばない規格外の化け物だと…

自分に出来ることは時間稼ぎくらいか。

そして他に何かあるのか。




「分かりました…賢者様

 私は何をすれば?」




「ふふふ…

 流石、私の子孫だよ…

 私の…最後の魔法を代わりに発動してもらうう…」




「け、賢者様…それは…」




賢者はフィリアの耳へ口を近づけて告げる。

賢者からの言葉を一つ一つ理解していくうちに、

フィリアは賢者の真意を悟る。

その意味を理解した時、フィリアの頬から涙が流れた…

そして決意する…




「分かりました…

 私は、クレア様の唯一の弟子。

 大切なものを守り抜く時…

 それが今です!」

 



「ふふふ…馬鹿弟子も良い弟子を持ったもんだね…

 いくよ!フィリア!」





「はい!」





賢者の周りに魔力のオーラが溢れ出す。

今まで見たことのない程の濃密な魔力。




「フィリア……

 私の魔法を受け取れ…」




賢者の子孫だからこそできる偉業。

発動中の魔法をフィリアへと受け渡す。





「よくやったよ、フィリア…

 お前なら出来る…

 そのまま魔力を魔法へと変換して、

 後は手筈通りに、発動するんだ…」






魔法を渡し終えた賢者は覚悟を決める。

そして目の前にいる四天王最強の男、

黒騎士セトへと向かう。






「魔界の裏切り者も、

 ようやく始末できるわけだ…」





黒騎士の周りに黒い魔力のオーラが溢れ出す。

今まで出会った者とは桁違いの波動を感じる。






「セト…随分と偉くなったじゃないか…

 私が、叩きのめしてやるよ…」





そして、時の賢者ロゼと四天王最強の黒騎士セトの戦いが幕を開ける。

いつも応援してくださり本当にありがとうございますm(_ _)m

明日も頑張って10時更新を目指します。

もし宜しければブックマークの登録といいねをしてくださると励みになります。

今後とも宜しくお願い致しますm(__)m

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