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第23話 将来の姿(sideマリア)


目の前には成人姿になったクリスがいる…

私は何が起きたのか分からない…

見惚れてしまって頭が空っぽになってしまった…



き、綺麗…



ただその一言に尽きる。

こんなに綺麗な男性がいてたまるものですか…と文句を言いたくなる…


私は聖女として常に余裕ある女性を演じなければならない。

はずなのに…




「あ…あの…く、クリス…その姿は一体?」



「あ!言い忘れてましたけど獣王剣は身体強化に特化してまして成人くらいの背丈になるのです…」



「あ、あの…驚いてしまって…急にかかか」



「かかか?」



「か、格好良くなるなんて…」



マリアは自分でも信じられない…

今まで多くの男性に言い寄られたことはあったが、まさか気になる男性の成人姿にときめくなんて…



「ず、ずるいわよ…」



ついつい頭の中で考えていたことが口から溢れる。




「え?」



「な、何でもないわ」




とにかく格好良くなったクリスをそのまま直視できないでいる…

元々綺麗な顔立ちをしているなとは思っていたが、まさか成人したら更に素敵になるなんて思いもしない。



こ、これがクリスの5.6年後なの…?



心臓が高鳴って張り裂けそうに苦しい。

経験したことのない感覚に陥り動揺する。

そんな時にキャロルが声を発した。



「す、すごいな…

 ちなみに何分くらい保つのだ?

 魔力使うんだよな?」




「す、凄い勢いで減ってるんでこのままだと3分くらいですかね?」




な、な、なんですって……

3分後には元に戻ってしまうの?

するとこの姿は見納めってこと?



途端にガッカリしてしまい落胆してしまう。

今日はクリスのせいで振り回されている。

だが聖女として余裕を持ち、せめて今日の時間を有意義にできるような質問を振り絞ってみた。




「あ、あのクリス…この姿は残り時間も短いです。その時間でやりたいことないの?」




「やりたいことですか…

 そうですね…

 マリア様と手を繋ぎたいです…」



は?

な、な、なにを言い出しているのですか…

この姿のクリスと手、手を…



「て、て、手ですか?」



「は、はい…

 魔力を送ってみてどうなるか見てもらいたいです…」




クリスとしてはこの姿で魔力を送り、

マリアが回復魔法を唱える。

そしてその後に休憩スキルを発動したらどうなるかを試してみたくなったのだ…




「そ、そういうことですね…

あ、あ、でも心の準備が…」



まさかの事態に思考が追いつかない。

そんな時に追い打ちをかける人物がいる。



「マリア様、早くしないと時間がなくなりますよ」



キャロルである。

前までは散々反対していたのに、

先日騎士団に協力し成果を立ててから、

クリスへ信頼をし始めたのだ…

手のひら返しとはこの事だ。




「キャロル、で、でも…」



「マリア様…ここは一気にいきましょう!」



そう言ってクリスとマリアの手をつなげる。

まさに強引である…



「ぁっ」



は、恥ずかしい…

何だろう今聖女らしからぬ顔をしている…

クリスに見られていないよね?




「マリア様…ゆっくりいきますね…」



「あの…クリス…」



クリスは魔力を送る。

マリアへなるべく負担のないように優しく…



「あ……くりす…」




何だか幸せを感じ始めてきた。

好きな人と手を繋いでいるってこんなにも嬉しいことなんだ…

いいな…こういうの…




「あの…マリア様…回復魔法をお願いします…」




「あ…」




一瞬我を忘れてしまった…

レベル3よね…

我ながら惚けてしまった…



「き、キュア!」



回復魔法レベル3が発動されて、

クリスに魔法がかかっていく。

魔法の発動は成功している。



「マリア様、ありがとうございます!」



「き、気にしないで!」



「そしたら休憩を試しますね!」



「……」



そう…時は残酷である。

3分とはあまりに早い。

クリスの成人姿の時間が終わり休憩スキルを発動していく。

その姿を名残惜しそうに見つめるマリアだった…

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