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第22話 王都にて


マリアとの訓練のために城を訪れているが、

その前に騎士団へ挨拶に来ている。

白狼族救出の際にいなかった人物に久しぶりに会いに来た。

ゲイルの息子であることから一部の騎士団の者とは親しくしている。

目の前にいるカートとは幼少の頃から親戚のように良くしてもらった。

カートは30代の男性でゲイルとは幼馴染だ。

珍しい大楯スキルを持っている。




「カートさん、久しぶりです…」



「おう!クリス!

 昨日は大活躍だったな!」



「ありがとうございます!

 昨日はいらっしゃらなかったですね…」



「あ〜最近王都に出る不審者が多くてな…」



最近の騎士団は多忙を極めている。

マリアを狙った誘拐事件以来、王都内での警備に兵士をかなり割いている。

聖女誘拐は絶対にあってはならないことだ。

騎士団の中でも最大の優先事項である。

しかしそれと同時に手薄になった王都外での犯罪に対処できなくなってしまっている。

それが先日の白狼族襲撃なのだ…



「最近特に多いのが子供の誘拐だな…

 それも貴族を狙ってる…」



「貴族ですか?」



「ああ…それも騎士学園、魔法学園の子供だ…

お前も魔法学園目指してるんだったら気をつけろよ」




王都では貴族の子供を狙った犯行が多い。

通学路で1人になった隙に攫われる。

その後は捜索しても全然見つからない。

痕跡自体見つからず攫われた子供の親は藁にも縋りたい気持ちで必死に探している。

そのため王都では兵士が日夜交代で警備、捜索しているため疲労がピークに達しているのだ。



「そんなことが王都で起きてるなんて……

 確かに父もかなり忙しそうですが…」



「ああ〜アイツはいつも苦労を背負い込むタイプだからな。

全く弱音は吐かないだろうぜ」




ゲイルは自分に厳しく人にも厳しいタイプだ。人に厳しくするには常に自分を律する必要があると考えている。

そのため普段からも弱音や不満は一切吐かない…




「父は強いですからね…」



「まああんな奴にも弱点はあったけどな…」




ゲイルの弱点と聞いて驚く…

あの完璧主義者に苦手なものなど無いと思っていたからだ。




「あはは…亡くなったクレアにだよ!

クレアはそれはそれは気が強くてな…

いつもゲイルを尻に敷いていたぞ…」



「あ、あの父上がですか?」



鳩が豆鉄砲を食ったような顔とは正に今の俺の顔だろう…

クラスの女子に変な顔と指をさされて笑われても言い返せないくらいだ。



「お前とアリスは小さかったからな…

 だがクレアは強かった…

 性格も…実力もな…」



最強の魔道士クレア…

父が言うには宮廷魔術師の序列一位だったらしい。



「母上がそんなに凄腕の魔道士だったなんて知りませんでした…」



「なんか通り名があったな…

 クレアを表す名前…何だったけか…

 爆炎の?いやいや…そんなじゃなかった…」



そんなものがあったのか…

通り名があると言うことは戦い方に特徴があったのか?




「まあ思い出したら教えてやるよ…」



「あはは…ぜひ知りたいです…」




そしてカートの部下が大事な報告をしに来たようだ。

そろそろ忙しくなりそうなので邪魔をしていけないと思い別れの挨拶をする。




「じゃあ、そろそろマリア様のところに行く時間なので失礼しますね!」



「あ〜本当に気をつけろよ!クリス!」



「わかってますよ!カートおじさん!」



「ばか!その呼び方で呼ぶなって言ってるだろう」



昔の懐かしい呼び方で呼ぶとカートは照れ臭そうに嫌がるが表情はどこか嬉しそうだ…

昔からカートはいつも優しく接してくれた。

クリスにとっては良い親戚のおじさんなのだ。

また一緒にゆっくりご飯でも食べたいと思っている。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「マリア様…おはようございます!」



「おはよう!聞いたわよ!

 昨日は大活躍だったらしいじゃない!」



もうマリア様の耳まで昨日の件が届いているのか。

城内での伝達網すごいな…



「私がお伝えしたのですよ…」



騎士団に所属しているキャロルが言う。

忘れていたがキャロルは騎士団の中でも手練れの騎士だ。

それでなければマリアの専属にはなれない。

騎士団からの情報であれば納得だ。




「そう言うことですね…」



「クリス…早速私との訓練の成果が出て嬉しいです…」



そう…マリアの授けてくれた回復魔法がなければ俺もベルも確実に死んでいただろう…

マリアへの感謝を改めて痛感する…



「本当に…マリア様から回復魔法を教えていただかなければ死んでいました…」



「ふふふ…クリスが頑張ったからですよ…

 あれからスキルに変化はありますか?」



「あれから回復魔法と火魔法はそれぞれレベル2まで上がりました…」




回復魔法と火魔法共に休憩スキルで回復した時にレベルが上がっている。

回復魔法レベル2でアンチポイズンが使えたことも伝えておく。



「す、凄いじゃないですか…

まさかこの短期間で2つのスキルをレベル2にするなんて…」



マリアは信じられないと言った表情をしている。

まさにスキルのレベル上昇は年単位で取り組むものだ。

しかしクリスの場合、この3、4日間で達成している。

まさに休憩は規格外の成長を促すスキルなのだ。



「そして実はですが…もう一つスキルを手に入れまして…」




「あ、新しいスキルですか?」




新しいスキルは基本的には手に入らない。

儀式で手に入るのは多くても2種類のダブル。

3種類のトリプルは特異的な存在と言われている。

それが今になっては4種類目なのだ。



「獣王剣と言いまして…

 実はこのスキル…ちょっと反動が強過ぎる可能性がありますので、休憩スキルを使える状況で試したいのです…」



「なるほど…物凄く仰々しい名前だものね…

警戒するのは分かるわ…

そしたら今日の訓練は一旦そのスキルの確認にする?」




「是非お願いします…」




いよいよ俺も獣王剣を使うことになる。

反動が起きた時にマリアが傍にいると安心なのだ。

なんと言っても回復魔法レベル5の使い手なのだ。

そんな現金な考えを思いついてしまったクリスだが、この後クリスの閃きによりマリアを混乱?へと陥れるとは思いもしなかったのである。

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