第02話 女神現れる！けど新人？
ここは自室。
いつものマンションの一室だ。
目の前にベッドにうずくまる自分が見える。
まさか自分を上から見下ろす事になるとは。
やはり自分は亡くなったのだと認識した。
俺は死んだのか…
いざ死んでしまうと呆気ないな。
結局、俺に彼女はできなかった。
そして30過ぎれば魔法使い。
残念ながら一流も一流だ。
だが、転職を手伝ってくれる僧侶がいなかっただけなのだ。
そんなくだらない事を考えていると、
突如、目の前に時空の歪みが生まれる。
その中から人影が見えた。
そして少しずつ光が強まっている。
死んでいるため錯覚かもしれないが眩しいと感じる。
それを察してか声をかけてきた。
「ご、ごめんね〜
今、弱めるから待ってて〜」
目の前に現れた人物は、信じられない美貌を持つ金髪の美女。
おそらく女神だ。
まるで彫刻のように整った顔をしており、
白を基調としたローブを身につけている。
身体の周りには虹色に輝くオーラを纏い、
神聖な雰囲気を醸し出している。
しかし、とても焦りながら光を杖で調節している姿を見るとやっぱり女神じゃないのかもと思い直す。
「あの、女神様ですか？
それとも天使様？」
「ご、ごめんなさい！まだ慣れなくて…
でも、超難関の女神試験にも合格した、
れっきとした女神様だからね！」
そう胸を張って若干偉そうに主張する女神。
ようやく少しずつだが光は収まってきた…
「貴方は自分を犠牲にして他人を守っていた
けれど、その健気な姿に神が憐んで、
私達が導くことになったのさ」
神様も憐れんでいると聞いて苦笑いする。
一応、自業自得と思ってはいるけれど。
「そんな貴方に転生を言い渡します！
新たな人生で幸せになってね！」
「て、転生ですか…
正直あれだけ働いたのだし、
天国でゆっくりしたいのですが…」
「残念だけど、天国はないの！
魂をリセットして生まれ変わる
輪廻転生か、魂をそのまま
異世界に転生させるかの2択よ」
「それなら転生しか選択肢は無いのか…」
「転生を選んでくださいますね！
良いスキルを授けますよ！！
絶対後悔させません！！」
前に身を乗り出してくる女神。
一瞬、胡散臭さを感じる…
異世界転生ノルマなどがあるのだろうか。
「ちなみにスキルって、
どんなスキルを授けてくださいますか？」
「それは強力なチートスキル！
瞬く間に貴方を伝説にしてあげる！」
「ど、どんなスキルです？」
「えへへ、それはね〜〜
あ！！ちょっと待ってて！」
とまさに女神からのスキル説明がされる直前で急に女神に電話がかかってくる。
女神がどこからか携帯電話を取り出し通話をし始めた。
人間が使っているスマホのような物だ。
え！女神にも電話ってあるの？
しかも上司からの電話。
めちゃくちゃ謝っている。
この新人女神、何かやらかしたな。
そんなやり取りを見ていると、
俺も上司からの電話を無視していたのを思い出してしまった。
死んでしまったので関係ないど。
「ごめんね〜
急遽また他の転生者のアポが入ってさ
スキルは私が決めておくね〜」
いきなりとんでもないことを言い出した女神は瞬く間に光を強めて消えてしまった。
唖然と見つめながら、その光に俺自身も飲み込まれる。
そして恐らくここから世界を移動していく。
そう、俺は新人女神に適当にスキルを決められてしまい異世界に転生するのである。
せめてスキル名を教えてほしい。
女神にクレームを言いながら新たな世界へ旅立つのだった。
