表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/129

第122話 救う者(3)

水の神殿で、クレアは魔王軍副官ゼノに立ち向かう。

光の剣で交戦するがゼノは固有スキル、

血の代償により身体強化を強めた。


そして驚異的な速度でクレアへと迫る。

このまま待ち受けていては神速でも回避できない。

そう悟ったクレアは、切り札を使う判断をした。


クレアの左目から光が漏れていく。

そして少しずつ瞳に星のような紋章が浮かび上がる。


【時の魔眼】


クレアは魔眼を発動しゼノの攻撃を予知し回避した。

更に光の剣を全力を込めて放つ。

その剣はゼノの胸へと向かい貫いていく。



「魔王の副官よ、私が…

 クレア・レガードが、お前を倒す!」



ゼノに突き刺さる光の剣が消滅していく。

流石に苦しそうな表情をゼノは見せる。

しかし、また懐から液体を取り出し口に含むと瞬く間に穴が塞がってしまった。



「時の魔眼か…

 ロゼめ、やってくれる」



時の魔眼の効果は10分間未来を予知しながら戦うことができる。

そして賢者の指摘した通り今のクレアでは3回使うと視力が著しく落ちてしまう。



「しかも神速と組み合わせるとなると、

 これは厄介だな…」



時の魔眼で未来を予知し、回避できない攻撃と分かれば即座に神速で距離を開く。

そして逆に隙があるならば一気に加速して攻撃を仕掛けることもできる。


まさにクレアのための魔眼のようだ。



「副官よ、ユーリは本当に聖女では無いぞ

 無意味な戦いだと思うが」



クレアは交渉で戦いを終わらせたかったが、

500年ぶりに火がついてしまった強者には酷だった。



「ふふふ、冗談を言うな…

 せっかく面白くなってきたところだ…」



禍々しい魔力が溢れていく。

そして足元から黒い渦が出現し、

その渦の中に指先から血を流し込む。

すると渦の中から一振りの刀を生み出した。



固有スキル、血の錬金

自らの血を媒介に錬金術を行い希少なアイテムを精製できる。



「この刀を使うことになるのは、

 勇者以来か…」



刀身は黒く、窓から差し込む月の光が反射して美しく光る。



「幻魔刀を見た者で勇者以外には、

 生きて帰った者はいない…」



魔界の名工が作り出した伝説の刀。

使用した身体強化を更に上昇させる。

ゼノは更に高速移動をしてクレアに近づいていく。



「は、速い!」



クレアは魔眼がなければ既に死んでいた。

そして今も互角に戦えているのは、

魔眼の未来視があるからだ。

その瞳で適切な行動を選択していく。



「また、神速か…

 相変わらず厄介だな」



ゼノは地属性魔法を唱える。

地面から土の槍が飛び出してクレアを襲う。

しかし魔眼で既にその未来が見えており全てを回避した。



「やはり判断が遅れると未来が読めても、

 次の一手が遅れるな…」



ゼノは、全ての身体強化を施し急速に接近してくる。

その接近に気づいた時にはすでに遅い。

瞬く間に目前まで迫ってしまう。



「さぁ、幕引きとしよう」



ゼノの幻魔刀が振り下ろされる瞬間、

足元に魔法陣が生まれる。



それは祭壇から出て魔法が使えるようになった、

ユーリの氷魔法だ。

無詠唱かつ練度の高いコキュートスは、

あっという間にゼノの下半身を凍らせてしまう。



「あねごは…

 死なせない!」



決死の覚悟でユーリも戦いへ挑む。

その瞳は決意に満ち溢れている。



「ほう、これほどの魔法…

 確かに聖女ではないな」



回復魔法に全てを振り切った聖女であれば、

これほどの氷魔法は放てない。

クレアの言うことは正しかったと理解する。

しかし、ユーリの魔法もまたゼノにとって500年前を思い出すほどの実力だった。



「長生きはするものだ…

 まさか私がこれ程、興奮するとは」



再度、身体強化を施し氷を破壊する。

そしてゼノは、ユーリへと身体の向きを変えて、

急速に突進してきた。





「だが聖女でなければ死ね」





幻魔刀の能力は、どんなに屈強な相手でも防御不可能の攻撃となる。

幻魔刀の一撃必殺の刃がユーリを襲う。

まさかユーリに狙いを定め攻撃をしてくるとは思わず慌ててクレアはユーリの元へ駆けていく。





「ユーリ!」

 



クレアは大声で張り叫ぶ…

しかしこの距離と速度では間に合わない。

頭の中で計算してもユーリに届かない。




しかし、絶対絶命の状況の中で駆けつけた人物がいた。

そして、それはクレアと同じ魔法制御の才能を備えた人物だ。




突如として空中に雷の剣3本が現れる。

その剣はゼノに向かっていき、その身体を突き刺した。




「ま、まさか、これは…」




誰もがその現れた人物を見て驚愕する。

まだ剣の本数が少なくてもクレアの魔法を完全に再現して見せた。







「ふふふ、いつもお前には驚かされるよ…」







クレアはその人物を見て優しく微笑む。

そしてその魔法でゼノの速度は低下した。










「アリス、お前はやはり天才だ…」









ユーリの最大の危機に駆けつけたアリス。

ゼノに雷の剣を当てて麻痺を与えてみせた。

大一番の局面で最高の一撃を与えたことに、

クレアは歓喜している。

更にこの場に向かう者はアリスだけではない。

ここから魔王の副官を追い込む総力戦が繰り広げられる。

いつもお読み頂き心から感謝です。

読者の皆様と毎日一緒に冒険しているのが楽しくて仕方ありません(T ^ T)

次回も少しでも面白くできるよう努めます。


もし気に入って頂けましたら、

ブックマークの登録や評価をして頂けると幸いです。

今後の執筆の励みになります。

宜しくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ