表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/129

第12話 儀式を終えて

少しずつ歓声が薄れていき観客は帰宅していく。

その中でも小さな女の子がクリスの元を訪ねる。



「お兄ちゃん、頑張ってね!」



無邪気な笑顔に癒される。

応援してくれる人がいる。

精一杯頑張ろう…



「応援してくれてありがとう!」



「うん!ばいばーい」



そう言って満面の笑顔を向けて女の子は去っていく。

光のように輝いた笑顔だった。

そして更に俺の元に鑑定士が声をかける。



「不明スキルの研究機関だが、

 魔法学園に進学すると良い」



予想外の単語が出てきた。

正直俺だけではなく父上やアリス、

居合わせている王女たちも驚く。

俺が剣術に固執してきたからだ。



「魔法学園で不明スキルを研究している

 其方の役にも立つだろう」



「それでは私は…

 剣の道には進めなくなるのでしょうか?」



剣術スキルが出なかったとはいえ、すぐに剣術を捨てる事は到底できない。

俺の気持ちを察したのか鑑定士が口を開いていく。



「其方の資質は剣術、魔法なのか不明だ。

 そのため魔法学園で魔法を学んで、

 剣術に関しては自ら鍛えると良い」



「ありがとうございます!

 父とも相談して決めて参ります」



鑑定士は笑顔で去っていった。

無能力者と判明した場合突き放す場合もあるが、

今回はそんな事もなく最後まで親切にしてくれた。

そして鑑定を終えて俺は王女2人に挨拶をしに行く。



「今日は会場にお越し頂き、

 ありがとうございました」



2人に向かって話しかけると、2人とも薄らと目が赤く腫れているように見える。



「とっても素晴らしい剣舞でしたよ!

 思わず見惚れてしまいました…」



マリアも俺の剣舞を讃えてくれる。



「べ、別に感動とかしたわけじゃ…

 ないんだからね!」



シャルロットが慌てて目を擦りながら言い訳をした。

熱でもあるのだろうか。



「クリスさんなら絶対大丈夫。

 これだけ誠実に向き合っているのですから!」



マリアもじっと見つめてきて、

こちらも照れ臭くなる…




「お兄様なら当然です」



アリスまで被せてきた。



「レガードの家に恥じぬよう、

 皆様に貢献できるよう頑張ります」



俺が2人に締めの言葉を言い、

挨拶もそろそろ終えるところでマリアが更に聞いてくる。



「ところで私を救ってくださったお礼ですが、

 何が宜しいですか?」



「お礼だなんてそんな…

 お会いできただけで幸せです」



「そんな絶対ダメです!

 あなたは生死を彷徨ったのです。

 お礼は受け取って然るべきです」



マリアは絶対に引かない様子だ。

流石にここでは言い返せない…

不敬にあたるからだ。

俺はしばらく悩んでいると…

先程の鑑定士の言葉を思い出す…



「あのそれでは魔法を、

 教えてもらえないでしょうか?」



俺は魔法については素人も素人だ。

休憩スキルが魔法に関係している可能性があるため、

魔法を学ばなければならない。

そして魔法の家庭教師を紹介してもらおうと思った。

しかし言葉というのは誤解を招く。



「お、お前、それはマリアに、

 魔法を師事したいということか?」



シャルロットが盛大に誤解したのである。



「わ、わ、私ですか?」



いきなりマリアが慌て始めた!

予想外すぎる要望だったのだろう。

お礼と言えば金銭やら武器、宝石だ。



「いや、いや王女様にお願いするなんて…

 申し訳ないです。」



俺もフォローの言葉が悪かったのかもしれない。

こんな感じに言い返すと当然に反論してくるのだ。



「嫌だなんてそんなことありません!

 むしろ私も教えたいくらいです…」



マリアが頬を赤くしながらも答えてくる…



え…

嘘でしょ…

これはマリア様が家庭教師になるの?



「え?でも、王女様が魔法の先生というのは、

 お許しがでるのでしょうか?」



素直にそう思っているのだ。

と言うよりもこの場に居合わせた者はみんなが思っている…

父上やアリス、使用人たちは開いた口が塞がらない。

父上なんてこのまま気絶してしまいそうな勢いだ。



「私たちは王族だが仕事も許されている。

 そのため今回も許可されるだろうな」



シャルロットはそのように言う。

シャルロットは騎士団マリアは治療の仕事もしているのだ。

お礼として金銭も必要ないため経費もかからない。

本当に許可されてしまうかもしれない…



「そ、それにクリスさんは命の恩人です。

 私自身が恩返ししたいのです」



マリアは頬を染めながらそう言い切ってきた。

こ、これは引き返せないところに来てしまった…

俺は運が良いのか悪いのか、それとも口が災いを生む運命なのか…



「よ、宜しくお願い致します。」



俺も腹を決めてマリアへと挨拶をする。

あれよあれよと予想の斜め上の展開になっている事に思考が追いついていけない。



「ま、まさかクリスの要望が、

 マリアへの師事だとはね…」



シャルロットが若干も睨みながらも見てくる。

それに対して苦笑いしそうになるが愛想笑いするしかない。



「ひとまず魔法学園に入学するまで、

 基本魔法は使えた方が良いので

 定期的に王都に来てもらいますね」



マリアがそのように言ってくる。

今は10月になったくらいだ…

あと半年で俺は魔法学園に転入するのだ。

それまでの間は剣術学園に通いながらマリアに師事する事になる。



「はい!魔法に関しては素人ですが、

 精一杯頑張っていきます。

 宜しくお願い致します」



そんなこんなで俺に魔法の先生が出来ました。

それも第二王女にして歴代最高レベルの回復魔法使いマリア・ルミナス。

歴史上でも超一流の魔法使いになるのは間違いない。

その事実に俺は驚愕している。

同じ思いを抱いている人はこの場に多いはずだ。

なぜなら父上、アリス、使用人たちの表情が物語っている…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ