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第118話 暗闇

クリスは死の山の夜道を走り続けている。

賢者は通信機器で助言したいところだが、

一時的な故障により助言出来ない。

そして通信が繋がらなくなり賢者達も騒いでいた。



「こ、こんな時に故障だと…」



「け、賢者様、大丈夫ですか?」



マリアも不安で仕方ない。

もしもクリスの身に何かがあったらと思うと胸が張り裂けそうな程に苦しい。



「あ〜、いつもルミナスの技師達は、

 詰めが甘いんだよ…」



通信機器を依頼したルミナスの技師に不満をならべている。

過去に賢者はルミナスの魔法技師に仕事を依頼した事を思い出した。



「どちらにしても修理には時間がかかる…

 マリア、お前は精一杯魔力を送りな」



「賢者様は?」



賢者は一瞬考え事をして口を開く。

その表情は、いつもよりも険しい。



「今は少しでも時間が惜しい…

 隣でクレアのための準備をする

 何かあったらすぐに知らせてくれ」



賢者はそう言い残すと隣の部屋に移動してしまった。

残されたマリアは、心細くなるが直ぐに気持ちを入れ替える。




「クリス…

 絶対に死なせない…」




そして賢者が隣の部屋に移動して様子を見渡す。

するとクレアは、今も賢者の本と葛藤していた。



「クレア、進んでいるかい?」



「し、師匠…」



どうやらあまり芳しく無い様子がクレアの表情から読み取れた。

賢者は数日後に行うはずだったクレアへの手術を前倒しにしようと考えた。



「それなら理論よりも先に力を与える

 無理矢理だが実技で覚えてもらう」



「へ?」



賢者の予測では、魔王軍は聖剣の儀式の最中に襲ってくると予測した。

契約の腕輪を奪われているため必ず襲ってくるとしてそのタイミングを予測したのだ。



「今からお前に手術を施す…

 息子達を救うためだ…

 一応、了承を取りたくてな…」



クレアは、賢者がどんな手術をするのか気になって仕方ない。




「し、師匠…

 一体何を…」




「それはな…」



その言葉を聞き、クレアは驚愕する。

予想外だが成功すれば確かに強力な力を得られる。

以前遭遇した強者に打ち勝つためにも、

クレアは賢者の提案を受け入れた。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





クリスは今も死の山の夜道を歩いている。

雪の上を歩くと沈む音が聞こえるようになった。

先ほどよりも積もっており更に動き難い状況となっている。



「くそ…

 麻痺してきやがった…」



靴に入り込んだ雪が溶けて靴の中を濡らしてしまう。

そして時間が経つと体温の低下と共に指先の感覚が無くなる。




「でも、後少しのはずだ…」




数時間歩き続け、迫るモンスターを倒し続けた。

クリスの精神はそろそろ限界を迎えようとしていた。




そしてその苦労が報われる瞬間が訪れる。

ようやく第三の回復の結界を発見した。

クリスは無事に辿り着いたのだ。




「良かった…」




そして回復の結界に入り安心したのか、

目の前が真っ暗になり倒れ込んでしまった。












どれくらい倒れていたのだろうか…

それとも俺は夢を見ているのだろうか…









俺は死の山にいたはずだ…

見えているのはルミナスか?

でも城は今よりもずっと綺麗で美しい。

まるで建設して間もないようだ。





赤い髪の男が見える…

その男が呟く…






「もうすぐだ…

 世界を救える…」





話しかけられているのは…

俺の敬愛する、賢者だ…





「あぁ、お前のおかげだよ…」





今よりも若い賢者は、美しい笑みで男を見つめる。

そして一言呟く…








「レオン…」








その赤い長髪の男は銀色の鎧を纏い呟く…







「いつか…

 俺の意志を受け継ぐ奴がいたら、

 必ず、渡してくれ……」








そして初代国王が言葉を発したところで、

世界が消えていく…











「クリス、しっかりしろ!」




「おい、クリス!」




賢者の呼ぶ声が聞こえる…

そして俺は目を開けていく。




「賢者!」




クリスは目を開くと結界の中で気絶したと気付く。

そして賢者が通信機器の不具合を直して戻ってきた。



「良かった…

 俺の方が壊れてなくて…」



クリス側の通信機に不具合が起きていたら、

直すことは不可能だった…



「クリス…

 今はもしかして三つ目の結界か?」



「たぶんそうだと思います…」



賢者は少し悩んだような声を出している。

そしてこれから先の助言を呟く。



「実はな、もう4日目だ…

 お前はずっと気絶していたんだ…」



クリスは衝撃を受けている。

まさかそんなに寝込んでいたとは思いもしない。



「クリス…

 念のためステータス見せてみろ」



賢者の言葉に従って鑑定の腕輪を使用する。

すると目の前にステータスが表示された。



名前:クリス・レガード Lv.124

MP:70400

取得スキル:

休憩 Lv.3

覇王Lv.8

聖剣技Lv.2→Lv.3

獣王剣Lv.9

強化格闘術Lv.9

強化格闘術・極Lv.1→Lv.3

地獄の業火Lv.8

神速Lv.6 →Lv.7

従属化Lv.6

探知Lv.7



取得魔法:火魔法Lv.1→Lv.2

    回復魔法Lv.3

    水魔法Lv.8

    融合魔法Lv.6

    幻惑魔法Lv.5→Lv.6

    封印魔法Lv.5→Lv.6




クリスは死の山で遭難しそうになりながら、

敵を倒し続けてスキルもレベルアップしていた。



「呼びかけに応じない時は、

 どうなる事かと思ったが…

 これなら予定通りに進めるか」



賢者はクリスのステータスを確認して、

次の回復の結界を目指せると発言した。




何とか吹雪の中、夜道を抜けて回復の結界にたどり着くことができた。

残りの結界は後二つ。

二日間で最後の結界に辿り着かなければならない。

クリスは聖剣技によってマリアと繋がっている。

そして、マリアの魔力は優しさと愛情に溢れており、

クリスは心地よく癒されるのであった…

いつも小説をお読み頂き心から感謝致します。

皆様のおかげで毎日投稿継続出来ております。

もしブックマークの登録や評価をして頂けると、

今後の執筆の励みになります。

宜しくお願い致しますm(_ _)m

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