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葉月の病室にて

葉月の病室に着いた。

「葉月入るぞ」

中に入って俺の姿を見た葉月は、ベッドから起き上がった。

「こうちゃん。……えっと、その人達は?」

「よかった。やっと会えた。葉月ちゃん初めまして。あたしはソフィア。こっちの変な奴はマスク。あたし達は、葉月ちゃんを探しに来たの」

「あたしを……?」

「あたし達は、葉月ちゃんの高熱が出た原因を知ってる。治療法もあるの。その話を伝える為に来たの。……実はね。あたしとマスクは、アルファ星からやってきた宇宙人なの」


アルファ星?宇宙人……?

コイツら、何言ってやがるんだ。

葉月の治療法を知ってるとか言うから詳しい話を聞くつもりだったが……。

真面目な話だと思っていたのに。

余りにも突拍子もない話を突き付けられて、俺は怒りが込み上げてきた。


「おい、バカにしてるのか」

「さっきミステル見たでしょ?あんなの地球にある?」

「いや、それはそうだけど……。そんなの見たからって簡単に信じられるか」

「まあいいわ。葉月ちゃんにも信じてもらいたいから、もう一つアルファ星の技術を披露するわ」


ソフィアは、ポケットからさっきのミステルとは、色の違う小石のような物を取り出した。


「これはマグナ。変身装置ね。自分の好きな物に変身できるの。まあ二十秒くらいの間しか変身できないガラクタのやつだけどね」


そう言うと、マグナを手に取ったソフィアは、霧に包まれ、姿が見えなくなった。

そして葉月の姿が現れた。


「葉月でーす。いえーい。葉月ちゃん可愛いから、ちょっと変身してみたかったのよね。満足満足。まあこんな感じね。これがマグナの力よ。結構凄いでしょ?」


ソフィアは元の姿に戻った。

そのまま話を続けた。


「それでね。ここからが本題。どうして葉月ちゃんは高熱を出したのかって話。その話をする為には、順を追って説明する為にアルファ星で昔あった話を聞いて欲しいの」


ソフィアは語りだした。


二十年前、アルファ星で戦争があった。

アルファ星とベータ星の星同士で起きた大きな戦争だ。

戦争の中、一組の夫婦がいた。男性の名前はロイドさん。女性の名前はマリアさん。

マリアさんが子供を妊娠していた事がわかった。

マリアさんは、ロイドさんと喜びを分かち合った。

ロイドさんは、この子の幸せを何よりも考えようと言った。

だがロイドさんは、戦争で亡くなってしまった。

マリアさんは深い悲しみの中、せめて自分の子供だけは絶対に守ると強く誓った。

しかし自分もいつ戦争で命を落とすかわからない。

マリアさんは、ロイドさんと自分の遺伝子を持ったお腹の中にいる子を地球の女性の体に転移させて逃がすことにした。その子供が葉月。


間もなくして、地球で一人の女性が妊娠した。それがおばちゃん。葉月のお母さんだ。

アルファ星の女性と葉月は、見えない強い絆で結ばれている。

アルファ星にいながらも、葉月の生体反応を肌で感じ取ることができる。

葉月が一歳の時、アルファ星の戦争は終結して平和が訪れた。復興が開始された。

葉月が地球で生まれてから十六年間、アルファ星の女性は、葉月が生きている事をずっと肌で感じていた。

マリアさんは、ロイドさんと自分の遺伝子を持つ子が地球という星で生きている。ただそれだけで嬉しかった。


しかし葉月が十六歳の日。葉月は原因不明の高熱を出した。

アルファ星のマリアさんも生体反応を通じて異常を感じ取った。

彼女は、なぜこんな事になったのか調べた。

するとアルファ星人は、地球の環境で十六年以上生存することができない事が分かった。

知らなかったマリアさんは、自分のせいで葉月に苦しい思いをさせてしまった事を悔やみながらも、なんとか葉月を助ける方法がないかと探した。

方法は二つ見つかった。

一つ目は、アルファ星人として、アルファ星の土地で生きていく事。

二つ目は、アルファ星で地球適応体手術をして、地球人として生きていく事。ただし手術をして定期検診をしながら様子を見て、体が地球に完全に適応できるようになるまで十年の時間がかかる。その間はアルファ星で過ごさなければならない。

どちらの方法にするにしても、まずは葉月に、アルファ星に来てもらうしかない。

葉月が生きる為には、こうするしかない。

アルファ星の法律の中に惑星間の移動に関する事項がある。

惑星間を移動し、他の惑星で何らかの活動を行うには、専門の資格が必要であるというものだ。資格を持っていない者は、専門部署に必要事項等を記載して申請して、その惑星に専門員を派遣してもらう手続きを取る必要がある。


そこで申請をして地球に専門員が派遣される事となった。

無口不愛想だが腕の良いパイロットの若い男マスク。

葉月と同じくらいの年で明るい性格をした専門員の女の子ソフィア。


地球に到着したソフィアとマスクは、予めもらっていた資料(念写師に撮って貰った葉月と家族写真のみ)を頼りに、葉月の入院している病院と葉月の家族を手分けして探した。


ところがなかなか見つからない。

マスクは、不愛想で不気味。怪しすぎて住民から黒い男の不審者として警察に通報されて、職務質問された時も喋るのが苦手でその場から逃げ出したりして警察から追われていた。

ソフィアも人探しをしているんです。と色んな人に声をかけて回るが、なかなか上手くいかないまま、時間だけが過ぎていった。

そしてソフィアが、ついに葉月のおばちゃんを見つけた。場所は葉月の家の前。


葉月の家でおばちゃんに事情を話したソフィア。

ソフィアの話を聞いたおばちゃんも一緒に病院に行こうと誘ったが、少し考える時間が欲しい。後から必ず行くという事だった。

ソフィアは、マスクに連絡を取り、瞬間移動装置ミステルを使って合流した。

そして俺とマスクのソフィア、三人で病院までやってきたという事だった。

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