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寝顔と写真

日向視点です(一応

 

「……これで安心して熱を下げられますね」


 熱にうなされながらも木陰が優しく微笑む。


「……その……それじゃあ日向くん……私は凄く安心したので……私は……寝ますね」


「…………」


 少しの沈黙が2人を包む。


「……言ってた通り……あの私が……寝付くまで一緒に居てくださいよ」


「うん、寝るまで居るから安心しなよ」


「……ありがとうございます」


「……あの……」


「ん?」


「…………いや……その」


 木陰が言いづらそうに言葉を繋ぐ。


「……その……まだ欲張って良いですか?」


「まあ……良いけど。何して欲しいの?」


「……えーと……その………………手を繋いでください」


 熱のなか聞いた事を思い返せばこれぐらいはお互いに臆さずにしても良いのかもしれない。

 差し出された木陰の手を握り返す。熱の影響か熱く感じる。


「…………ありがとうございます」


「…………その……それと……もう一つ……」


「欲張りだね?」


「……えぇと、これは……アレです。……熱のおかげで色々と頼みやすくなったというか…………甘えても良いと思えたので……」


「良いよ。好きなこと頼んで」


「…………寝付くまで頭撫でてください」


 上目遣いでお願いされると断る理由なんか無い。


「……いや……これは……その、前に膝枕してもらいながら頭撫でてもらったのが……その…………幸せだったので……」


 木陰が恥ずかしそうに補足していく。


「……今日……今日だけです……熱のある今日だけ」


「……その……学校ではこんな事は頼めないですし……日向くんとこうやって会うのも毎日は無理ですし…………」


「……またその幸せが欲しい……というか……今日だけ……今日だけは……日向くんに甘えたい……です」


「うん。いいよ」


 頼まれた通り片手で手を繋ぎ、もう片手で木陰の頭を撫でる。熱の影響か少し湿っぽかった。


「……ありがとうございます」


「……私は幸せ者です」


「……日向くんも逆に私に何か頼んで良いんですよ?」


 病人に何かさせるのもと少し考えた後、さっきのことで気になった事を聞いてみる事にした。


「じゃあ、質問しようかな」


「……はい。……答えられる範囲でなら何でも答えますよ」


「木陰の写真のフォルダに有った俺の寝顔は何かな?」


「……えっ? ……え?」


「……何で? ……その知って…………?」


「さっき木陰のスマホでノートの写真撮るときに見えたんだけど」


 ノートの写真を撮る際に前の写真が表示されていた。その写真が俺の寝顔だった。


「……えーとそれは事故というか…………日向くんが寝てたのを見てつい……撮っちゃいました……」


「それって盗撮」


 こっちの言葉を言い切る前に焦って訂正をしようと木陰が言葉を紡ぐ。


「……お、お願いします。……今回は見逃してください……どうか削除だけは……」


「……誰かに見せることも無いです……日向くんの寝顔は万病に効くんです……」


「万病って、病人にそれ言われると」


 消させるつもりはないが病人にそんな交渉されると消せとも言えない。


「……次からは交渉します……だからお願いします……」


 木陰も流石に盗撮という事もあり反省している様子だしどうするか。


「うーん」


「……あの……どうでしょうか……?」


「うーん、嘘を付かない約束だし正直に言おうか」


 熱のおかげもあり関係が進んだとして、こっちも正直に少し攻めてもいいだろう。


「…………お手柔にお願いします」


「木陰だけ写真持っててズルい……というよりちょっと羨ましいかな」


「……そ、そっちですか!?」


「まあ、黙って撮ったのは良くないけど、そっちの気持ちの方が大きいかな」


「……それって日向くんは私の寝顔の写真欲しい……ということですよね?」


「木陰から言葉にされると恥ずかしいかな」


「……欲しがられてる私も恥ずかしいですよ」


「でも木陰はもう持ってるじゃん」


「……うっ、それを言われると……」


「……と、盗撮したのは本当に悪いことしたと思います……なので…………」


 恥ずかしそうに言葉を紡ぐ。


「………………私が寝付いたら撮ってください」


「……できるだけ可愛くお願いします」


 照れながら小声で呟いている。


「……それで……おあいこという事にしてください……」


「ありがとう。じゃあ寝たら写真撮るね。それでおあいこだ」


「……これが目的でしたか?」


「うん。だからそんなに膨れなくても」


 幼い子どもみたいに顔を膨らましていた。


「……しゃ、写真は撮っても良いです……というか寝顔写真の交換です……なので他の人に見せちゃダメですよ。……私も日向くんの写真を誰にも見せません」


「もちろん、俺も誰にも見せないよ」


「……私の寝顔を見て良いのは日向くんだけです、日向くんだから見せるんです……これを覚えててください」


「覚えておくよ」


「……じゃ、じゃあ、私……本当に寝ますからね……」


「……寝付くまでちゃんと手を繋いて頭撫でてくださいね」


「うん。おやすみ、木陰」


「……おやすみなさい、日向くん」



 ◆◇◆◇◆◇



 しばらくして木陰の寝息が変わった。


「木陰、木陰?」


「ちゃんと寝たかな」


「…………」


「手離すよ?」


 返事が返って来ないので本当に寝たらしい。


「って、手握るの強いな」


 離そうとしても簡単には離れないぐらい木陰から握られていた。

 木陰が手を繋いだまま眠りついてるのを無理やり離すのは申し訳なく感じてしまう。


「繋いだまま撮るか」


 さっきまでの起きているか確かめる話し方とは違い、起こさないよう優しく語りかける。


「じゃあ……写真撮るよ」


 パシャッと音が鳴ったが木陰は起きる事なく無事写真を撮り終えれた。

 今撮れた写真を確認してみる。


「確かに……これは消したく無いな」 


 思わず独り言をいってしまった。

 さっき木陰が写真を消したく無いと拘った理由が分かるほど、寝顔が可愛く撮れていた。


「じゃあ、帰るね。おやすみ」


 言われた通り鍵を借りて戸締まりする。そしてその鍵を郵便受けのところに入れて無事頼まれ事をすべて終えた。


 エントランスを抜けて今日の事を思い返して夜道を歩く。


「まったく……告白禁止の罰ゲームって……」


 木陰から告げられたとんでもない罰ゲーム。けど嫌な気持ちは無かった。


「まあ、気長に待つかな」



 ◆◇◆◇◆◇



来年は更新頑張りたいと思います。


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