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熱のせい

 

「……あ、ありがとうございます……こんなわがまま聞いて貰っちゃって……」


 私のわがままで日向くんがまだ私と一緒に居てくれる。それも私が眠るまでだ。


「別に気にしなくていいよ、俺も木陰心配だし」


「……嬉しいです」


(どうしてこんなに私に優しく接してくれるの……)


 私がかけた迷惑と日向くんに返せたものそれを比べると、私から渡しているものが足りない気がする

 私にそれだけのものを返せるのか不安になってしまう。


「……そ、その寝る前に少しだけ会話していいですか」


「うん、いいよ」


 そんな不安を少しでも取れるように会話を始める。


「……あ、あの、どうしてここまで、私の、わがまま聞いてくれるんですか……?」


「友だちだからだよ」


「………………友だち」


 それだけで、その答えだけでよかったのに、心の奥にあったものが漏れてしまう。ずっと聞きたかった本心を尋ねてしまう。



「…………友だちだけですか?」



「……あ、いや、い、今のは、その、心の声が漏れたというか……そ、その、熱のせいです……全部熱の! ……まだ私、顔熱いですし……」


 必死に熱のせいにして見苦しい誤魔化をする。


「そ、そうだね、熱のせいなら仕方ない」


 苦しい言い訳を受け入れてくれる。それでひとまず安堵する。


「……し、仕方ないですよね」


「そうだね……」


 どうにか私の心が漏れた発言はなかった、というふうに誤魔化せた。しかしそれでも日向くんの中には残ってる訳で。


「「…………」」


 かなりの沈黙が二人を包む。


(気まずい……)


 きっと日向くんならここで有耶無耶にしてもそのまま変わらず居てくれるだろう。でもどうしても聞きたくなってしまう。


(……誤魔化さずに聞けばよかったな……)


 こんな気まずくなるならいっそそもまま返事を聞いた方が楽だったと思う。


(それに日向くんが他の友だちにもこんなことするのか気になっちゃいますし……)


 言葉に出してしまったの分だけ恥ずかしく、それにもったいなく感じてしまう。


(……こんなチャンス無いしやっぱり聞く……? 今なら行ける……?)


 心臓が高鳴る。誤魔化してしまった後悔が勇気に変わる。


「……あ、あの!」


 あまりの声量に日向くんが驚く。


「え!? どうかした?」


「……そ、その……こ、これも……たぶん……きっと熱のせいなんですけど……やっぱり……さっきの質問に……答えて欲しいです……」


 熱のせいと銘打って尻すぼみになりながら聞いてしまった。日向くんはそれを聞いて一度取り消したのに再び私が聞いたことに驚いている。


「……ほ、本当に友だちだけですか……?」


 畳み掛けるようにさっきと同じことを聞く。今度は口から漏れた誤魔化しのない覚悟を持ったものだ。


「その質問無かったことには……」


「……もうしないです」


 日向くんも受け止めて、悩んで考えてくれる。


「……すみません……でも教えて欲しいです……友だちだけでこんなに良くしてもらえるか……私には分からないですし……」


(……日向くんの本心が聞きたい……そして聞いて安心したい……)


「もし『俺がただの友だちだし、他の友だちにも同じことするよ』って言ったらどうする?」


「……そ、それは…………」


 日向くんもまた私の反応を見てどうするか、何を言うか考えているのだろう。


(そんな言い方しなくても……でもそれがお互いに傷つかないんですよね……)


 お互いにお互いの傷を負わない心の距離感を探ってる以上仕方ないと言える。

 それに私ももしここで日向くんの答えが『ただの友だち』なら私の心は────


 きっと粉々に打ち砕かれてしまうだろう。でもそれなのに聞けてしまった。熱なんて大義名分があっても打ち砕かれるのなら絶対に聞けないのに。


 その答えはとっくに分かっていた。日向くんが私に好意があることが分かっているから。私はそれが日向くんの口から聞きたい。


「……日向くん、ちょっと顔触って良いですか?」


「え、顔? いいけど、急にどうして?」


 そうは言うものの私が顔を触れるように近づいてくれる。


(……こんなこと許してくれてる時点で分かりますけどね)


 そんなことを思いながら日向くんの顔にてを伸ばす。


「……触りますよ」


「うん……」


 手を通して日向くんの体温を感じる。


「……日向くんも熱っぽいですね……顔が熱いですよ……」


「は!? 木陰、何言って──」


「……熱があるなら全部熱のせいですよね!」


 私の強引な理論で距離を詰める。


「……熱があるなら変なことを言っても許されますし、それに熱が出てるときの会話は忘れますから……」


 そんな苦しい言い訳を日向くんは少し笑いながら受け止める


「熱のせいなら全部仕方ないってことでいいの?」


「……はい、仕方ないってことです」


 あまりにも強引な理論だがこれでお互いに本心を隠さなくてもいい。


「……例えばそこに……本心が漏れても……仕方ないってことです」


「……もう一度だけ質問させてください……本当に友だちだけですか?」



 ◇◆◇◆◇◆

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