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布団に満たされます!

 

 身体が熱い。ただ日向くんが買って来てくれた物のおかげで少しだが体調は良くなった。

 それに一人っきりではなく隣に日向くんが居る。安心して横になれた。


(何か話さなければ……日向くんに申し訳ないよね……)


 頭はまだ回らないがなんとかして話題を振らなければ。それにここで話しやすい雰囲気を作っておけば学校でも顔を合わせやすい。


「……あ、雨どうでした?」


「結構強めだったよ、昨日と同じぐらいかな」


「……ありがとうございます」


 また天気の話しで会話を繋げるもそれだけで会話が終わってしまう。


(な、何か話しを繋げないと……気まずくなってしまう)


 オーバーヒートしてる頭では何も思いつかない。


「…………あの、えっと、その……」


 とにかく声は出したが内容まで出てこない。


「ん? 飲み物? どこか辛いとか?」


「…………あの、いや、その何か話してないといけないかなって…………日向くんの大切な時間もらってますし……」


 咄嗟のこと過ぎてありのままの本音が出た。


「そんなこと気にせず病人は寝とけ」


 そう言って顔にまで布団を掛けられた。


「……ぐふぅ」


 変な声が出て恥ずかしくなる。ただでさえ高い体温が高くなってしまう。


「…………でも、日向くんが凄く暇になりますよ」


「木陰は気にしなくて良いの。暇なら学校の課題でもやってるし」


 確かにそれなら私も少し気が楽になる。


「あ、そうそう。書類渡すの忘れた。ごめんごめん」


 掛けられた布団から少し顔を出して覗いていると、日向くんがカバンから何やら書類を出した。


「これ青木先生から頼まれたやつ。木陰のことに集中してて忘れてた」


「…………ありがとうございます。……机の上にでも置いておいてください」


 日向くんの口から嬉しい言葉を聞いてしまった。


(……私のことが心配で忘れてたということは、青木先生の用事よりも私の方が優先的だったと言える)


 つまり青木先生に勝ったということだ。


(って何を考えているんだ私は……)


 熱に侵され変なことを考えてしまっている。そして早くこのニマついた口を閉じなければ。


「…………あ、あの、暇なら前に一緒にしたゲームやってていいですよ」


 私が迷惑掛けているんだ、だからせめて何か楽しいことをと提案してみた。


「あー……」


 どうやら日向くんは何か考えているらしく、私の方を見つめて悩んでいた。


(は、恥ずかしいからあまり見つめないで……布団に包まってる変な姿だし……)


 そんな祈りが通じたか意外とすぐに答えを出した。


「せっかくの誘いだけど病人の隣で人の死ぬゲームはやめとこうかな。木陰が元気になった今度の機会で一緒にやろう」


「……そ、そうですよね……一緒に、一緒にやりましょうね」


 約束がまた増えた。


(だ、だめだ。布団に潜って顔を隠さなければ……熱を出しているのにニヤけ顔の収まらない変人に思われる……)


 モゾモゾと布団に包まって顔を隠す。ただ日向くんも気になるので少しの隙間から覗く。


「しんどいのか?」


「……ぅわあ!?」


 覗かれた。

 日向くんを覗いていた布団の隙間から。あまりの顔の近さに人生で一番レベルの声を出してしまった。


「あ、ごめんごめん。驚かすつもりはなかったんだけど、もしかしたら木陰が辛くて布団にうずくまってるのかなって」


「…………熱はあります……けど……それ以外は大丈夫です」


 焦って上手く話せない。


(顔近かった、近かった、凄く近かった……)


 それに超至近距離で見た日向くんの顔でいろいろといっぱいいっぱいになっている。

 とにかくイモムシ状態の弁明をしなければ。


「……ふ、布団に包まりたかった気分だったんです……」


「そっか。邪魔しちゃったね」


「……べ、別に、日向くんになら邪魔されてもよかったです…………よ」


 終わりにかけて言葉がどんどん弱くなっていった、たぶん伝わってないだろう。それに自分でも何言ってるのか意味が分からない。


「なんだそれ。邪魔しないから存分に堪能して、ほら」


 日向くんが私のために(めく)れた布団を掛けてくれた。それも顔まで埋まってさっきよイモムシ状態に戻った。


(……は、恥ずかしい。何を言っているの私は……ただ今は日向くんが掛けてくれた布団を堪能しよう……)


 少し熱いが許容範囲内だ。


「ただし、木陰の様子が分からないから何かあったらすぐに呼ぶこと」


「…………はーい」


 布団に潜って返事をする。私の心配に身の回りのことをしてもらえている。

 記憶にある限り初めての看病。それも日向くんの。


(……これが看病…………なんという幸福…………)


 満たされ過ぎて布団の中で悶える速度が上がる。

 落ち着くまでしばらくの間は日向くんの掛けてくれた布団に巻かれながら居よう。

 それから私が顔を出せたのはもう少し後のことだった。

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