待ち合わせと煽り
俺は急いで秋人との待ち合わせ場所へ向かう。
そこには秋人と美冬が仲良く待っていた。
一応、お互いに決めていた待ち合わせ時間には着いたのだが、秋人たちがどれぐらい前に着いているのか分からなかった。
「悪い、待った?」
恐る恐る聞いてみた。
「いや、さっき来たことろ。それにコイツが付きまとって来たからちょっと遅れた」
そう言って秋人は美冬を指差す。
「え~、別に間に合ったから良いじゃん」
話しながら抱きつこうとする美冬を秋人は華麗に回避した。
「来んな!」
「秋、悪いことは言わないから、一生前田さんに付きまとわれとけって。きっと幸せになれるぞ」
「さすが日向見る目ある~~」
俺の発言に気分を良くしたのか、秋人に対してのスキンシップが激しくなる。
学校でも夫婦と認識されているだけはあるだろう。
「悪いが俺は小川緑子派だからな」
小川緑子さん、俺たちの学年でマドンナと言われているぐらい人気のある人だ。
黒髪ロングに綺麗な顔立ち。それに成績優秀、性格も優しく欠点など一切ない。
そりゃモテるだろうな、その一言に尽きる。
「それに俺たち今年同じクラスになったんだ! 運命だよ、運命」
聞き捨てならなかった。
「え? 一緒のクラスなの?」
「日向、お前マジか。普通真っ先に確認するだろ!」
さっきまでの秋人とは勢いが明らかに違う。
「悪い、悪い。昨日はクラスメイトの確認してる余裕なかったから」
課題のチェックシートでも見逃しているぐらい、昨日の俺は相当に動揺していた。
「確かに」
秋人が納得して頷いた。
「そういや日向、お前昨日あれからどうなった?」
「それ私も気になる!」
今日一番の食い付きだ。
「う~ん、まあいろいろと」
昨日のことは例え親友と呼べる秋人にも話したくない。
二人だけの秘密としたい。
「日向、動くなよ」
そう言って秋人は俺の身体を触ったり服を捲ったりし始めた。
「急になにすんだよ!」
いきなりイカれた行動を取った秋人に驚く。
「そうよ、秋人! ここに私も居るんだし、それに男が好きなら好きって最初から言いなさいよ」
「いや、俺の恋愛対象は女だ!」
ツッコミを入れた後、秋人は俺の身体を調べるのを止めた。
「秋、これ何だったんだよ」
親友の理解できない行動に理由を尋ねる。
「ん~、いやさ。お前昨日あの子の胸触ったじゃん? だから報復で見えない所アザだらけされたのかなって」
なるほど、秋人の行動が府に落ちた。
「いや、そんなことはされてない」
秋人には、暗野さんがそんな風に見えてるのだろうか。
(ん、待てよ)
答えてから気づいたのだが、それに近いことはされた。
(顔におもいっきりビンタされたな。でもその後に膝枕を……)
「日向、顔キモいぞ」
「えっ、嘘マジ? てか、人の顔キモいとか言うなよ!」
顔に出てしまった俺も悪いが、簡単に人にキモいと言うのもどうかと思う。
「お前ホントなにされたんだよ」
「ナニモサレテナイヨ」
動揺が言葉にまで影響してきた。
「「怪しい」」
夫婦揃って俺を畳み掛けて来た。
尚更、言える訳がない。
「じゃあ、先生にチクられたとか?」
美冬が他の可能性を探りだした。
「それで喜んでたら、コイツ相当なマゾたぞ」
「ん~、確かに。それじゃ問題になってないのね。私が触られたら半殺しにするけどなあ」
(揉んだ!?)
ダメだ。動揺も合わさり正常な思考ができない。
「それより早く学校行こうぜ」
誤魔化すように学校に向けて歩き始める。
「分かった! 弱み握られて何かされたんでしょ?」
美冬の読みはほぼ正解だ。
(くっ、鋭い……)
「待て、美冬。それでコイツがあんな顔してるとか、本当にマゾになっちまうぞ」
「え~、もうマゾで良いじゃん」
「でも、他に思い付かないしな……」
秋人が真剣な顔で考えている。
その集中力を他に使えよ! と思ってしまう。
「あ~、分かんね。日向答え合わせしてくれ」
「うーん、ってナチュラルに誘導するな!」
まんまと乗せられるところだった。
「チッ、惜しかった」
悔しがりながら指をパチンっと鳴らす秋人。
「まあ、良いや。お前がマゾだろうが、学年で胸を揉んだ大変態だろうが親友は親友だ」
秋人から思わぬ言葉をかけられた。
「秋、お前良いやつだな」
「ああ、良く言われる」
それを聞いていた美冬が呆れたように呟いた。
「良い感じに言ってるけど、同意も無く胸揉むのは最低よ」
「「確かに」」
二人で同時に納得する。
こんな事をやっていたので時間が気になり、時計を確認すると遅刻の時間がかなり迫っていた。
「時間ヤバいって」
俺が急いで走りだす。
「マジか」
「ホントだ」
二人も時間を確認したらしい。
「日向テメェ、今度はしっかり何があったか教えろよ!」
全力で走りながらも、俺から聞き出そうとしているらしい。
とんでもない執念だ。
「誰が言うか!」
「ああ、なんだと!? 絶交だ! 絶交!! この胸揉み野郎」
「テメェ次それで呼んだら俺から絶交してやる!」
「何度でも呼んでやる! この胸揉み野郎!」
それもしっかりと胸を揉むジェスチャーまでしてきた。
「ああ、絶交だ! 絶交! 俺の後ろに付いてくんな!」
首を切り中指を立てるジェスチャーで返す。
「仕方ねーだろ! ここは俺の通学路だ!」
「いーや、俺のだ!」
そんな俺たちの会話が面白かったのか美冬は爆笑しながら走っていた。
「ちょっ、なんで高校生にもなって小学生みたいな喧嘩してんのよ。今走ってるから笑わせないで」
そんな感じで三人は遅刻しないよう学校を目指した。
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