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羞恥心と火照る身体のうなされて

 

 玄関から日向くんを見送る。楽しかった時間は終わりを告げた。


(ああ、やっちゃったな私……)


 一人になると今日のことを思い出してしまう。過去一番の失敗だ。

 日向くんの前では平然と居ようとしたが、緊張の線が切れた今はもうネガティブなことしか出てこない。


(明日どんな顔して会おう……しばらく話せないかも……)


 一度期間が空くと一から距離を確かめないと不安だし、それに今日のせいで話しかけるチャンスを失ったらと悪い思いだけがかけめぐる。


(今日のことが尾を引いてもし疎遠になったら……)


 最悪だ。


「……もう、せっかくいい感じだったのに…………」


 だって今日は雨に降られた私を家に送り届けてくれたんだよ。それも相合い傘で、手も繋いで帰った。


「……あああ、もう、もぉう!」


 むしゃくしゃして自分の部屋の布団に飛び込む。なにか行動してないと羞恥心で死にそうだ。

 とりあえず手元にあったぬいぐるみを抱きかかえて平静を取り戻そうとする。

 ちなみにこのぬいぐるみは日向くんが”私のために“取ってくれた物だ。それに私の好きなダイオウグソクムシのキャラクターで『完璧』それ以外の言葉が出てこない宝物だ。

 そんな宝物を抱きかかえて悶える。


「……うぅ、ぁあ、、、ぁ」


 羞恥心で声にならない声が出る。かろうじて理性を保っているのは日向くんがこのぬいぐるみを抱きかかえてた、というスペシャルな付加価値があるからだ。


「……リラックスのためにお風呂……って入ってたか……」


 いつも考え事をしたり、落ち着いたりするお風呂ももう済ませていた。


(いや、まあそれが原因なんですけど…………)


 結局何もせずに布団に(くる)まる。


「……明日……明日の挨拶か…………」


 とりあえず明日、なんとしてでも日向くんと話さなければいけない。そのキッカケとなる挨拶に力を入れなければ、そうじゃないと今日の最後にした約束のカレーどころか会話すらできない。


「……あぁ、やっぱり無理だ…………」


 そもそも顔を見て挨拶できない、イメージした未来すべてが失敗する。


「……ど、どうしよう………………」


 何をしても上手くいく気がしない。そんなときに妙案を思いつく。


「……そ、そうだ日向くんにメールしよう……!」


 メールで日向くんとの距離感を保って明日の会話をスムーズにする、我ながら良い考えだ。

 メールにはあまり馴染みがなかったが日向くんとの大切な連絡手段だ。存分に活用しよう。

 スマホを片手に送る内容を考える。


「……えぇと、まずは……今日のお礼に…………」


 お風呂場のことは気にしないで、あとは次のご飯のことと、明日よろしくね。そんな感じの内容にしよう。


「……ま、まあいい感じかな……文字数を除けば…………」


 伝えたいことを書き留めるとかなりの文字数になった。


「……ここまで長いのは迷惑かな……ちょっとだけ削ろうかな……」


 文字数を削っても長いものは長いままだった。


「……あんまり変わんなかったな……え、えぇい、もう知らない!」


 やけくそで送信ボタンを押す。そのままスマホを枕に投げる。


「………………」


 チラッとスマホを横目で返信が来てないか確認する。


「……いや、そもそも読みきれてないか……あれは、まあ……読むのに時間がかかるし……」


 送ってから冷静になっていく。もっと良いメールにしとけば良かったと後悔がかさむ。


「……ってあんなに長かったらメールのやり取りどころか一方通行じゃん……」


 ほんとにならメールのやり取りを三十分、いや一時間ぐらいしたかった。


「……今日はなにをやってもダメだ…………」


 やることなすことが裏目に出てる気がする。


「……身体も凄く火照ってるし……もう寝よ……」


 布団に身を任せて眠りにつこうとする。


「……あぁ、そういえば日向くんの写真撮ったんだ……」


 眠りについた日向くんを盗撮してしまった。罪悪感が今頃になって出てくる。


「……罪悪感が……でも……日向くんの写真……最高」


 撮ってしまったのならしょうがないと割り切ろう。撮ったあとすぐに起きたから気づかれていないか心配だ。これは絶対にバレないようにしなければ。


「……頑張れ明日の私…………」


 すべて明日の私に投げて寝ることにした。

 明日は日向くんとの会話、食材の買い出し、日向くんとの会話、日向くんとの会話をしよう。

 そんなことを考ええながら眠りについた。



「……ん、朝……?」


 窓から入る光で目が醒める。外の天気は昨日に引き続き雨だ。


「……お弁当……あぁ、今日は購買部だ」


 昼のお弁当作りをしないと、とも思ったが今日は必要なかった。

 昨日の日向くんとの食事で家の食べ物がなくなっていたので、今日は珍しく購買部に行く。


「……なんか身体が寒い…………」


 それに身体もダルいし重い、顔が火照ってる気もする。久しぶりに体温計を取り出して体温を計る。


「……えっ、38.4℃……なんで……」


 原因を考えれば昨日雨でずぶ濡れになって、身体を冷したのが原因だろう。


「……学校に連絡しないと…………」


 スマホを開くと日向くんからの返信があったが今はそれどころではない。最優先にしたい気持ちを押し殺す。

 そして学校に慣れない電話する。

 青木先生に一通り説明すると、電話に慣れてなかったせいもあって疲れがどっと出た。

 とりあえず今日は休むことにした。


「……ご飯無いし……外雨だし……」


 こんな体調では雨の中を買い出しどころか病院すら行けない。


「……しんど……寝よ……」


 ベッドで日向くんからの返信を確認する。

 日向くんからの返信は短った。内容は私のメールへの返信8割で、雨で濡れたから体調気をつけてね。といったものだった。


(あぁ……日向くんと話す機会が……心配してくれたのに熱出てるし……)


 こんなときに限って熱を出してしまった。


「……もう最悪だ…………」


 一人っきりで熱にうなされたまま眠ることになった。



 ◇◆◇◆◇◆



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[良い点] ぐるぐると思い悩む木陰ちゃんとても可愛いです [一言] もし疎遠になんてなってしまったら この小説のブックマーク件数分の肩パンが日向くんを襲う(•̀ω•́)
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