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晩ごはんと電話

 

「じゃ、行こう」


「……あ、ありがとうございます」


 木陰と二人で歩く。


「……前田さんっていい人ですよね、その、話してみてなんとなくそう思いました」


 どうやら女の子が怖いと言っていた木陰でも美冬は受け入れられたみたいだ。


「ん、確かに良いヤツだと思うよ」


 美冬は明るい性格で気も配れる。それに嘘を付かないタイプだから裏切られるのに酷く怯えている木陰にとってもかなり付き合いやすいだろう。

 木陰の警戒心もだいぶ薄れてきている。


「……はい、また話したいです」


「それを前田さんに言ったら喜ぶよ」


「……なら覚えておきます」


 そんな軽い会話をしながら道を進む。


「……日向くん、私のパフェ食べませんでしたよね?」


 それはさっきのカフェのことだろう。木陰から差し出されたパフェを断った。


「うん、まあ前田さん居たし……」


 美冬の前で木陰に食べさせてもらうなんていろいろ誤解を生みそうなので断った。


「……なるほど、()()()()()()()()()()()()


 小悪魔的な笑みを浮かべて笑う木陰。

 実際、美冬が前に居らず二人きりなら食べていたかと言われたら別問題でもある。基本的に木陰に断る選択肢を潰されて食べさせてもらうことが多いので頻度が良くあるように思えた。


(居なかったら食べたのか……?)


 そんな疑問を持ったがひとまず答えが出ないして置いておくことにした。


「木陰は何でついて来てたの?」


 心の中にあったもう一つの疑問を木陰に聞く。


「……えっ!? まあ、その、アレです。……気になった、というかいろいろです! いろいろ!」


 明らかに動揺しながら言う木陰に何か隠していることがありそうだが、追及するのは止めておいた。

 なんとなくだが理由が分かったからだ。


 木陰は俺に好意を向けていると思う。それは今までの木陰と居て分かった。

 ただ、その好意が異性が好きというところから来ているのか、木陰にできた数少ない友達だから大切にしたいという気持ちから来ているのかで話が変わる。


(浮かれて違ったら恥ずかしい。今は気にしないでおこう……)


 それに今日は木陰に美冬という友達ができた。

 少しずつ変わっていく木陰をゆっくりと見守ろう、そう思いながら木陰と道を歩く。

 木陰を見送るために一緒に歩いていたがそんな時間も終わりが近づいていた。

 気がつけば木陰の家の前だ。


「……あ、ありがとうございました」


「全然、気にしないで。前怖い目に合ってたし言ってくれたらいつでも送るよ」


「……ありがとうございます。……そ、そのときはぜひお願いします」


 木陰を見送り帰ろうと思ったら


「……ひ、日向くん。……き、今日は時間的にも急でダメですけど、その、またご飯誘っても良いですか……?」


 と聞いてきた。


「もちろん! また誘ってね!」


 木陰が嬉しそうに手を振りながら最後に挨拶してくれた。

 それを見て俺も家に帰った。



 ◇◆◇◆◇◆



 送ってくれた日向くんに手を振って送り出す。すると日向くんも手を振って返してくれた。

 満足しながら私は家に帰る。玄関のドアを閉めると疲れがどっと出てきた。


 日向くんをご飯に誘おうとしていたが止めてしまったのもこの理由のそいだ。

 ただ日向くんに確認したところご飯を誘っても問題無さそうなのは嬉しい。


(でも今日は疲れた……)


 朝からお父さん坂本さんのことで疲れた。それに加えて前田さんのことで精神がかなりすり減った。


(日向くんが取られなくて安心……)


 まずは喜ぶこと一つ目だ。

 前田さんに誘われて一緒に帰っていたところを見たときは自分でも恐ろしいぐらい嫉妬していた。

 考えてみれば前田さんは他の人に夢中なので安心できる。なのに焦ってストーカーまがいのことをしてしまったことは反省だ。


(日向くんにも聞かれたしどうしよう……さらに追及されてれば日向くんに嘘を付きたくなかったし困ってた……)


 正直かなり焦ったが助かった。


 そして喜ぶこと二つ目は私に友達がまたできた。

 前田さんだ。最初の会話こそかなり緊張したし精神的にも疲れたが話してみると私に悪意を向けないタイプの人だった。


(女の子同士だし学校でも話せそうだから楽しみ……)


 そんなこと考えているとお昼ご飯を残していたことを思い出した。それにお父さんの朝ごはんもだ。


「……全部食べないとな」


 お弁当は少し口をつけてしまったので食べきりたい。お父さんのご飯も見ると悲しくなるので早く処理したい。


「……両方食べるか…………太るかな」


 パフェを食べてしまったので今日はかなりヤバい。それでも両方食べると決めた。


(また一人か……)


 家の中で感じる孤独が一番寂しい。

 さっき日向くんと前田さんが居るところで一緒に食べれて嬉しかった。その幸福感の差が私を苦しめる。


 一人寂しく連絡先を交換した前田さんから電話が掛かってきた。

 驚いたが意を決して電話に出てみる。


『あ、もしもし暗野さん』


「…………ももも、も、もしもし」


 電話をするのは久しぶりだ。最後は日向くんをご飯に誘ったとき以来になる。緊張で声が震える。


『今大丈夫かな?』


「……い、今からご飯食べようと思ってました」


『え、じゃあダメか』


「……い、いえ、礼儀悪いですけど食べながらで良いならぜひ! む、むしろ電話してみたいです!」


 対面には居ないが誰かと一緒に話してご飯を食べられるかもしれない、そう思って思わず食いついてしまった。引かれないだろうか。


『暗野さんは食べながらでも良いの? 怒られない?』


「……だ、大丈夫です!」


『じゃ、話そ!』


 一人で寂しく晩ごはんを食べようとしていたときに前田さんから電話がきた。



 ◇◆◇◆◇◆



次回で前半戦終わりかな。


なので


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