新しい出来事
胃もたれするような朝の出来事が終わった。ただでさえ朝ごはんをお父さんと一緒に食べられず傷ついた心には苦しかった。
「お疲れさま、暗野さん」
そんな傷ついた心を癒してくれるかのように日向くんが話しかけてきてくれた。
「…………その、やっぱり私の対応はダメだったんですかね……?」
日向くんの評価が気になる。他のクラスの人のはあまり気にしないで居られるが日向くんは別だ。
「別に良いんじゃない?」
と私が気にしていたものをまた日向くんはさらっと流す。そんな日向くんに安心してしまう。
「………………ありがとうございます」
日向くんの私に対する対応に思わずニマニマしてしまう。常に私の味方に居てくれている、そんな風に思えて嬉しかった。
でも日向くんの前ならともかく、学校でこんなニヤけ顔を見せるのは恥ずかしい。それどころか前の坂本さんのように何を言われるか分からない。
(こんな顔を見せるのは日向くんと二人のときだけにしよう……)
俯いてニヤけた顔を隠す。
(放課後ご飯も誘おう)
浮かれた気分で決意する。
朝の憂鬱な出来事が日向くんのおかげで引きずることなく過ごせそうだ。
楽しみ思いを馳せていると授業開始のチャイムが鳴った。
そしてしばらく何事も無いまま授業を受けお昼のチャイムが鳴った。
私はお昼をいつも一人でそれも人目のつかない屋上で食べている。
(一人は寂しいし日向くんと今度一緒に晩御飯食べよう)
慰めながらいつも通りお弁当を持って行こうと席を立つときに少し気になることが起きた。
「なあ、日向」
そう日向くんを呼び止めたのはいつも彼が絡んでいる席の近い斎藤秋人くんでもなく、高橋葵輝くんでも無かった。
この二人は私が普段人の名前や顔はあまり覚えていないのだが、日向くんが学校で良く話しているということで覚えていた。
そんか二人でもない、日向くんを話しかけた人を私は少し知っていた。
「松田どうしたー?」
と日向くんが彼の名前を呼びフランクに話している。
その松田と呼ばれた彼は私が一年生の頃、一緒のクラスだったと思う。
そのせいか嫌な予感がしていた。
話の内容が気になり机に伏せて寝たフリをして盗み聞きをする。
私はいつも周りの話を聞き耳をたてて聞いていたので聴力には人一倍の自信があった。
「日向も大変だよな、こんな奴と隣の席になって」
そんな話が小声で聞こえてきた。ソイツとは私のことだろう。
(ああ、やっぱりか……)
嫌な予感が的中してしまった。
「ん? どうして?」
「どうして? ってそりゃあソイツ根暗でブツブツ言ってて聞き取れないし、何考えてるか分からなくて危なそうじゃん」
(根暗な私はクラスからこんな風に思われてたんだ……)
あまり気分の良い話ではなかった。ご飯を食べに行ってれば聞かずに済んだと後悔する。
でも日向くんが何て言うのか気になった。
「そう? そんなことはないと思うよ?」
日向くんはこんな私でも気にせずに接してくれるらしい。
「いや、危ないって、それに根暗が移るって」
「大丈夫、大丈夫」
と松田と呼ばれた男の子は日向くんを何度も止める。
「てかさ、声大きいし聞こえるからやめとけって、普通に悪口だし」
日向くんもまた彼を止めていた。
(全部聞こえてるんですよね……)
悪口も含まれていたが、日向くんが私の味方をしてくれているので気分が良かった。
「いや、寝てるから平気だって」
と松田と呼ばれた男の子が続行する。
「いや、そういう問題じゃ」
そんな日向くんの返事に割り込み松田と呼ばれた男の子は続けた。
「まあ、でも日向のおかげこいつの隣の席って貧乏くじ引かなくて済んだかもしれないしそこは感謝かもな」
「はぁ……」
呆れた返事で返していた。日向くんにとっては別に気にすることではないらしい。
(私はそんな日向くんの隣で人生最高に幸せだよ……)
そしてしばらくすると話が終わったのか多分ご飯を食べに松田と呼ばれた子は消えて行った。
日向くんもいつもの二人とご飯を食べ始めたので私も屋上へ向かおうと伏せた状態から動く。
すると──
「暗野さん、起きてた?」
と斜め前の前田美冬さんに話しかけられた。彼女はいつも日向くんが仲良くしている斎藤秋人くんにメロメロな女の子だ。
そんな彼女から突然、こんなことを聞かれたので動揺して本心のまま頷いてしまう。
「なら、あの松田ってヤツも最低ね」
そう言って松田という人の席に向かって中指を立てていた。
「…………えっ?」
彼女の野蛮さに驚いていると急に前田さんが私の手を握ってきた。
「ねえ、暗野さん、一緒にお昼食べましょう? 私ずっと暗野さんと話したかったの!」
突然私にとってとても甘美で辛いお誘いをされた。
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