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学校では許すのが正解なの?

 

「ほら、坂本」


 そう呼ばれた坂本さんが何か決意した表情をしていた。

 そんな彼女は前までの金髪を今は黒く染めて少しは反省している様子が外見から見てとれた。


「その、前はみんなのお金盗ってごめんなさい」


 坂本さんが深く頭を下げる。


(みんなは許すの……?)


 周りを見回すとみんなは比較的受け入れる表情に見えた。


(お金を盗んだこともひどヒドいけど私にしたことも問題だよ……)


 そう考えていると──


「暗野さん!」


 坂本さんが私を呼ぶ。


「その、前はあなたにヒドいこと言ってごめんなさい。凄く反省してます……」


 再び坂本さんが深く頭を下げる。今後は周りの注目が私に集まった。


(どうするの、許すの、私が、あんなにヒドいことを言われて、されて、それでも簡単に許すの?)


 自分の心に問いかける、その答えはあまり良くないものばかりだった。

 学校教育、学校生活のうえで私は彼女を許さないといけないだろう。

 しかし、心がそれを拒否する。


 長い沈黙のせいかクラスも少しずつざわついてきていた。早く許してあげろよ、そんな視線だ。

 学校では謝れば許すそんな風潮のせいだろう。


(私はどうすれば良いの……?)


 頭では許さないといけないそう思っている。でも心が反対する。


(本当に坂本さんは本当に反省しているの……?)


 坂本さんの見た目は変わった。でも彼女の心までは覗けない。


(許すの、それで良いの? 嫌だ! だって今まで私に意地悪をしてそれを謝った人はどうだった?)


 反省していなかった。私にヒドいことをした人は最初は先生や周りに言われた通りに謝る。

 でもまたしばらくすると同じことをし始める。


(それなのに許すの……?)


 頭と心で迷い長時間の葛藤をする。

 私の長い沈黙のせいでクラスが騒ぎだしていた。


「どうするのかな?」

「何考えてるんだろうね」

「ずっと黙ってるよ」


 そんな声が聞こえてくる。


(あぁ、またこれだよ)


 いつの間にか私が許すのを待つ、そんな雰囲気ができつつあった。

 悪いことをしたのは相手、それなのに私が許さない過去を引きずる私が悪い、そんな感じがざわつくクラスからする。


 たった一度謝ればそれで罪は無かったことに、か。許さない私が悪みたいな。


(不本意だけど……周りがそう言えって雰囲気……)


 同調圧力に飲み込まれ嫌々だが許そうと思ったとき先生の話を思い出す。


 ──許さなくても良い。


 先生はそんなことを言っていた。私は彼女をこの程度で許したくない。でもクラスはそう言わさない。


(…………)


 そんな葛藤の中、自分の中で折り合いのつく答えが出た。


「………………そ、その程度の謝罪で私は許したく無いです」


 私の言葉でクラスの騒ぎがさらに大きくなった。クラスのみんなも予想外だったのだろう。


「嘘でしょ」

「あんなに頭下げてるのにね」


 許さない、学校では喜ばれないそんな選択をした私に冷たい言葉が降り注ぐ。


「なら私はどうすれば良いの?」


 坂本さんが私に問いかける。


「………………く、口だけなら何とでも、何度でも言えます…………だ、だから信用できません」


 そんな私の告白にクラスは私を悪者のように扱う。そうなるだろう、許さないといけない場面で私は違う選択をした。


「………………だ、だから、ずっと行動でし、示してほしいです。『私は反省してます』って」


「分かった、行動でずっと示せば良いのか?」


 坂本さんは表情を変えずに私に聞く。


「………………はい」


「暗野さんに許してもらえるよう私は行動で示すよ」


 私の言った『ずっと行動で示す』これがあれば反省した表情だけ見せて、そのあとまた同じことをすることは無いだろう。

 これでひとまず二人の間で折り合いが付いた。

 しかし、クラスの方は私に対して言葉を投げる。


「なんか子どもみたい」

「大人みたいに許せば良いのに」


 冷たい言葉は私に向けられる。学校では謝れば許す、それが常識なのだろう。

 すると先生が割って入った。


「許す、許さないは二人の間の問題だ。周りが何か言うのはやめろ。それに悪いことをしたのは坂本で、被害者の暗野が責められる理由は無いぞ」


 そうハッキリと言ってくれた。これにより私に向けられた視線は収まりを見せた。

 今までに無かった先生という後ろ盾に嬉しくなる。


「話はこれで終わりだな」


 坂本さんが席に着く。そして先生はさっきまでの雰囲気を切り替えてホームルームを急ぎ足で始めた。


(坂本さんがこれで反省して、私にこれからずっと迷惑をかけないのならその時に初めて許そう……)


 と決意する。

 それに先生という新しい味方が居ることで比較的穏便に済ませれたうえに、万が一何かあっても私を守ってくれるだろう。

 これでようやく胃もたれするような朝の時間が終わってくれた。


(疲れた…………日向くんと話そう)


 そう思いながら一時間目の準備を始めた。



 ◇◆◇◆◇◆



学校って謝れば許すって風潮が謎にありますよね


木陰にとってはこれが辛く、今まではずっと嫌々で許してきましたが先生のおかげで初めて自分の折り合いがつけられました、進歩なのかな……



面白いと思った方、続きが気になると思った方は評価の方お願いします!!!



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(っ'ヮ'c)ウォッヒョョョオアアァァァ!←こんな感じに



それとブックマークもお願いします!!!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 同調圧力って厄介ですよねぇ。 この「謝っているんだから許せよ」という空気も、ある意味ではイジメだと思います。 こういう謝罪は本来ならば個別に行うべきだと思いますが、学校って場所は何故か公開吊…
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