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根暗でトーク

 

「……まあまあかな」


 自分で作った朝ごはんを褒める。一人ぼっちの私を励ますための自画自賛だ。

 そんなことを呟いても心の穴は埋まらず余計に寂しさが湧いてきた。

 切り替えよう、さっきそう言ったばかりなのに弱気な心が出てくる。


「……早く学校行こ」


 学校に行ってしまえば日向くんと会える。それも早く行けば日向くんが学校に来るのが早ければであるが話せる時間が増える。

 そしてこの孤独感を埋めてくれる日向くんと話す。


「……何話そう、ご飯に誘うのは絶対として」


 もう一つの壁が私に立ち塞がる。話かけるハードルそれに加えて話題だ。


「……今まで何話してた?」


 自分の過去に問いかけると当たり障りの無いものが多く、それでもお互いに楽しく会話していそうだった。しかし、それを学校で話せるのは別問題だ。

 根暗な私と日向くんが学校で仲良さげに話す、私からすれば桃源郷のようなものではあるが日向くんは違うかもしれない。

 いや、日向くんは私なんかが話かけても普通に会話してくれるだろう。


(ありのままの私を受け入れてくれる日向くん、最高……)


 しかし、そうは簡単にいかない。

 私と会話したことで日向くんに迷惑がかかるのは分かっている。他の男子生徒から茶化されるのは明らかだ。

 それも『うわ、日向のやつあんなのと話してる』なんて言われた日には私が寝込んでしまうかもしれない。


 私からすればそんなひどい言葉は言われ慣れているが、私のせいで日向が不幸になるのがどうしても嫌だ。私なんかと一緒に居てくれる日向くんを悲しませるのは辛い。

 私と居てくれる、私に好意を向けてくれる人、そんな人たちに私は心の底から幸せになって欲しいと思っている。


 だからこそ話す内容にはかなり注意しないといけない。

 仲良く話しすぎるのはご法度だ。


「……普通に、学校の私で話そう。……学校のときの根暗な私でも日向くんは私を拒まないし…………」


 結局、かなり根暗に見える私のまま話すことにした。

 もちろん明るくなりたい、そう思っている。でも今はこれが限界だ。少しずつ、少しずつ日向くんを通して学校の私も変えていこう。


「……それに話せるだけで幸せだし、でも絶対にご飯に誘う」


 根暗な私だろうと受け入れくれる最高の友達。そんな友達と一緒にご飯を食べたい。一人ぼっちのご飯は寂しいし悲しい。

 でも日向くんと一緒に食べるのは最高の幸せだ、そんな幸せのためにまずは少し頑張ろう私。


「……今何時……?」


 時間を確認すると7時40分、家を出るのにはちょうど良い時間帯だ。

 お母さんに挨拶を済ませて私は学校に向かった。



 学校に到着した私は何事もなく自分の席に座る。日向くんはまだ来ていなかった。


(早く来ないかな……)


 そわそわして待っていると教室の扉が開いた、日向くんだ!

 日向くんが友達たちと挨拶を終えて私の席の近くまで来た。


「おはようございます! ひ、な、成田くん!」


 危なかった、勢い良くみんなの前で『日向くん!』と、名前で呼ぶところだった。

 けれど挨拶は元気良くできていると思う。


「おはよう、暗野さん」


 日向くんが優しく挨拶を返してくれた。


(幸せ……)


 ただの挨拶だけで人はこんなに幸せになれるのか。そう思わされる。

 そんな幸せに浸っていると


「……」


(ヤバい、何か話さないと!)


 あまりにも幸せな時間に浸りすぎて、挨拶するだけして沈黙したそんな状況になっていた。


「……えっと、き、今日良い天気ですね」


 やはり会話の出だしと言えばこれだ。話題出せた、私偉い。


「そうかな? 外曇ってたような……」


 日向くんに言われて気づく。私が登校していたときも空は曇っていた。


「…………」


(マ、マズい……)


 これはかなり致命的なミスだ。次の話題も切り出せないどころかこれじゃ外すら見れない引きこもり女だ。


(どうしよ、どうしよ……)


「あ、もしかして暗野さんは曇り空が好きなの?」


 日向くんから神様のような話題の繋ぎをもらう。


「……え、はい。……そ、その直接日に当たらないですし、雨で濡れないので凄く生きやすいので好きです」


 危なかった、好きな天気と聞かれたら本当に曇りだ。奇跡的に助かった。


「生きやすい、のか」


 そんな私の理由に日向くんは少し笑みを浮かべてくれた。その笑みもバカにするようなものではなく優しい、微笑みのようなものだった。


(あ、幸せ……)


 そこからはなんとか迷惑にならない会話を繋げていけた。

 そして時間が経ち先生が教室に入って来る。


(ご飯はやっぱりみんなの前で誘えないな。後でメールで誘おっと)


 先生の登場で静まった教室のなか私は考えていた。


「よーし、朝のホームルーム始めるぞ」


 先生が慣れた手つきで始める。

 しかし、穏便なはずの日常に変化が起きた。


「ほら、早く入って来い。いつまでそこに居る気だ」


 そう呼ばれた誰かが教室に入ってくる。扉を開けたのは黒髪の女の子だ。


「ほら、坂本」


 先生が教卓の前に誘導する。

 あの女の子はどうやら私に前、罪を擦り付けようとした坂本さんらしい。



 ◇◆◇◆◇◆




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― 新着の感想 ―
[一言] 一歩を踏み出した木陰さん、少しづつでも日向君に歩み寄る姿が健気で良いです。 悪い女が帰ってきたことで起こる変化が危惧されます。
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