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朝食の行方

 

 朝のまぶしい光で目が覚めた。


「……何時…………?」


 時計で時間を確認すると6時40分を指している。

 日向くんからもらったぬいぐるみを抱いて寝ることで、ここ最近の睡眠の質がはね上がった。

 そのおかげか目覚めがとても良かった。それだけでは無く学校を楽しみにしてるのも大きいと思う。


「……ご飯作ろ」


 上体を起こして活動の準備をする。


「……そうだ、今日はお父さん居るんだった」


 昨日久しぶりに家にお父さんが帰って来たので、食事は二人分だ。

 朝を一緒に食べられる。そんな久しぶりの感覚に心が踊る。


「……日向くんでも、朝ご飯は一緒に食べられないもんね」


 私がどう頑張っても日向くんと朝を一緒に食べられない。なのでもうずっと一人きりで朝を済ましていた。


「……誰かと食べる朝ご飯、久しぶりだな~」


 そんなことを思うと朝からご機嫌だ。


「……まず顔洗おっと」


 部屋を出ても他のところから音は聞こえてこがなかった。


「……お父さんまだ寝てるんだ」


 昨日はかなり疲れた顔で帰って来たので今の時間までぐっすり寝ているのも仕方ないだろう。

 そう思いながら顔を洗い終えて朝ごはんとお弁当作りを始めた。


「……まあ、だいたいこれで良し」


 と朝食を作り終えて呟く。

 メニューは簡単に、スクランブルエッグとウインナー、それにチーズとベーコンとトマトを挟んだサンドイッチだ。

 それをちょっとオシャレにワンプレートに盛り付けた。

 朝ごはんの準備を終えてお父さんを呼びに行く。


「……お父さんと朝ごはん食べるの久しぶりだし、お父さんを起こすのも久々だ」


 そう言いながらお父さんの部屋をノックする。


「…………お父さん、朝だよ。起きて」


 一回で起きなかったので何回か同じことを言ってみた。

 すると


「……うーん、何時……?」


 と唸り声と共に聞こえてきた。


「…………もう7時回ってるよ」


 時刻は7時を少し回ったところだ。時間を伝えてるとお父さんが飛び起きた。

 ドアを開けて覗くと寝癖の凄く付いたお父さんがそこに居た。


「……寝坊だ」


 慌ててお父さんが仕事の支度を始めた。服も着替え始めたので私も慌ててドアを閉めた。


「…………お父さん、朝ごはんどうする?」


 あることが心配になり、急いでいるお父さんに迷惑を承知で聞いてみる。


「……作ってくれてたのか。ごめん、食べる時間ないや」


 慌てた声がお父さんの部屋から聞こえてきた。私の心配していたことがまんま的中してしまう。

 せっかく久しぶりに誰かと一緒に朝ごはんを食べられると思っていたのに、それが叶わないと分かり心が痛くなる。


「…………うん、その、気を付けてね」


 咄嗟に気の利いたことを言ってみようとしたものの、少し上手く言えなかった。

 するとお父さんが洗面所に顔を洗いにドアを開けた。ドアの前に居た私をほんの少し見て、何も言わずそのまま洗面所に行ってしまった。


 少ししてお父さんが身なりを整えて部屋に戻ってくると、すぐさまスーツを着てカバンと共に家を出る準備をする。

 さっき準備してあっただけあり本当にすぐ終わった。


「……ご飯、ごめんな」


「…………気にしないで」


 お父さんが玄関の方へ向かって行く。私も見送るためにお父さんの後ろに付いて行った。


「……じゃあ、行ってきます」


「…………うん、行ってらっしゃい、気を付けてね」


「……ああ、あとまたしばらく帰ってこれないから、いつもみたいに良い子にしてお留守番してくれよ」


 革靴を履き終えてドアノブに手をかける。


「…………うん、私ももう高校生だしそれぐらいできるよ」


 それを聞いてお父さんは家を出た。私は見送ったあとドアを自分で閉めた。

 するとまた家の中が孤独の世界に変わった。


「……仕事だから仕方ないよね」


 そう自分に言い聞かせて玄関を離れる。そして朝ごはんを食べるためにリビングに戻って来た。

 テーブルの上に置かれた、二人前の朝ごはんを見て我慢していた寂しさが湧き上がってくる。


「……一緒に食べたかったな」


 そんなことを呟いても私以外の音は聞こえてこない。ただ無音の部屋が私に孤独感を強めた。

 もうずっと朝ごはんを誰とも食べていない。そんな事実が私の心を絞めつけた。


「……どうしよう、これ」


 さすがに朝から無理をしても二人前は食べられない。しかし、残して置くのもただ寂しさが湧き上がる。


「……晩ごはんにしよ」


 それでももったいないので晩ごはんにすると決めて冷蔵庫に入れた。


「……はぁ、朝からため息が出るよ」


 さっきまで浮かれた分、今の私はかなり沈んでいた。少しでも発散できればと言葉に出す。


「……切り替えよう…………」


 力無く呟く。


「……とりあえず、今日は日向くんとなにがなんでも話そう」


 この孤独感を埋められるのは日向くんだけだ。

 そう意気込むと少しだけ元気が湧いてきた。


「……今日は頑張るぞ!」


 日向くんと話すそう固く決意して一人ぼっちの朝ごはんを食べ始めた。



 ◇◆◇◆◇◆



やはり木陰の孤独感を埋められるのは……



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(っ'ヮ'c)ウォッヒョョョオアアァァァ!←こんな感じに



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[良い点] 日向を誘うんだ!!
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