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笑顔と先生

 

 突如、青木先生の襲来により慌てる私と日向くん。

 とりあえず日向くんを私の部屋に匿い先生を家に招き入れることにした。


「……青木先生が帰ったら呼びますからね」


 そう日向くんに言って私は玄関の方へ向かう。


(日向くん、勝手に部屋の中とか探らないよね……?)


 心配だが、今は自ら監視することはできない。

 しばらくして家のインターホンが鳴った。

 私が玄関を開けて青木先生を迎える。


「よ、暗野。夜遅くに悪いな」


「…………こ、こんばんは、い、いえ、その、先生もお忙しい中私のためにありがとうございます」


「ああ、こんばんは」


 軽い挨拶を済ますと先生が私の服を見ていた。


「悪い意味じゃ無いんだが、暗野結構明るい服着るんだな。似合ってて可愛いと思うぞ」


「…………その、ありがとうございます」


 先生に私服を褒められるとは思っていなかったので、気分が浮き足ってしまう。


「…………その、上がって行ってください」


「助かるよ」


 と青木先生が家に上がるために靴を脱いだ。



「それで日向はどこに居るんだ?」



 まさかの発言に思わず取り乱す。


「…………え、その、ひ、日向くんですか、その、居ませんよ」


 必死に誤魔化すも、明らかに動揺してるように見えただろう。


「いや、だって暗野、玄関に靴あるだろ。まさか父親があれ履いてるのならその、悪かった」


 玄関に目をやると、確かに日向くんの靴が置いてあった。

 靴を回収するまで気が回って居なかったので、玄関に日向くんが居る証拠が置きっぱなしだ。


「…………し、知らないですね…………」


 まだ苦し紛れに言う。


「そうか、日向はその扉の向こうに居るのか」


「…………えっ!?」


 どうやら私が無意識に日向くんの方向を見ていたらしく、それを青木先生は見逃さなかった。

 なら、もう堪忍するしかないだろう。


「……日向くん、部屋から出てきてください」


 私が日向を呼び出す。

 それが日向くんに伝わり部屋から出てきた。


「こんばんはです、青木先生」


 ハハハと苦しそうに笑いながら日向くんは挨拶した。


「こんばんはだな、日向。夜遅くまで女の子の家に居るとは良いご身分だな」


「それにはいろいろと訳があって…………」


 とかなりつらそうに言っている。


「…………その、リ、リビングでお話ししましょう。…………お茶淹れます」


「そうだな、コーヒー頼んで良いか?」


「…………はい、だ、大丈夫です」


「ありがとう、助かるよ」


 ハプニングはあったが三人でリビングに移った。



 ◇◆◇◆◇◆



 お茶を淹れて、青木先生を対面に日向くんと隣に座って話が始まった。

 私は緊張で喉が渇いたのでお茶を手に取り飲む。


「あ、うちのクラスは交際オッケーだから安心しろ。まあ問題を起こさなければだが」


 いきなりの発言にむせてしまった。


「い、いきなりなんてこと言ってるんですか!?」


 日向くんもかなり動揺していた。


「いや、お前らが今の状態を後ろめたく感じてると思ってな」


「なるほど、って納得はしましたけど友達ですよ!」


「そうか、まだ友達か」


 と小さな声で青木先生が呟いた。かなり小さな声だったので、対面の私には聞こえて、話をしていた日向くんは何を言ってまでは聞き取れなかったと思う。


「なら日向、お前から見て暗野はどうなんだ?」


「そんなプライベートなことズバズバ聞かないでくださいよ!」


「そうか、残念だ」


 二人が仲良く会話して私は取り残されていた。

 それにまだ私から話を切り出すような勇気を持っていなかった。


「それで日向、なんでこんな夜に暗野の家に居たんだ?」


「あ、それは今日木陰と遊んでて晩御飯も一緒に作ってもらってたんですよ」


(正直に言うんだ……確かに言わないとダメか……)


 日向くんの方はハキハキと話している。それに対して私はまた自分の殻に閉じ籠ってしまう。そしてまた脳内での会話が始まる。

 私は日向くんと二人で居るときだけなら、ハッキリと意見を伝えられるのだと今自覚した。


(会話に入れない……)


 三人以上で話すのは私には無理なのかもしれない。


「日向、お前本当に良いご身分なんじゃないか?」


「い、いや、それは、その」


「だって暗野に手料理作らせて、日向は座ってるのは確実にそうだろ。もしお前が暗野の善意を利用してるなら私は容赦しないからな」


「違いますって」


 日向くんが助けを求める目で私を見ていた。


(い、言わなきゃ、ちゃんと)


 面と向かって話をするのは緊張する。

 それでも日向くんのためだ。声を震わさないよう、詰まらないよう、伝わるようハッキリと言わないと。


「…………私がお願いしてます、一人でご飯食べるの寂しいからって……それで一緒に食べてもらってます」


「そうか誤解だったか、悪かった」


 とすぐに生徒に謝ってくれるあたりこの先生は凄く優しい人なんだろうと思う。


「暗野、友達と食べるご飯はどうだ?」


 そんな先生からの質問に私はまたハッキリと伝えたくなった。


「……日向くんと食べるご飯は凄く楽しいしご飯も何倍も美味しく感じます!」


 話して行くうちに自然と笑顔になっていた。

 そんな私の顔を見て先生も笑顔で返してくれる。


「良かったな」


「……はい!」


 私は嬉しくなっていつもより大きな声で返事をする。顔もどんどんと緩んできているのが自分でも分かる。


「暗野、良い笑顔するようになったな、性格も少し明るくなったんじゃないか?」


「……ほ、本当ですか!?」


 そんな風に言われてまた顔がニヤニヤしてしまう。


「ああ、私は本当に明るくなったと思うよ」


 先生も嬉しそうに言ってくれた。

 私のことで喜んでくれる先生が嬉しかった。


(私、ちょっとは根暗な性格から変われてるんだな…………それに私のこと思ってくれるの嬉しい)


 そんなこと考えるとどうやら顔に出ていたらしく、日向くんも先生も私の顔を見て微笑んでくれる。

 誰からも求めることのなかった私を、ありのまま受け入れくれる人たちが目の前に居る。


 そんな二人と少しずつ明るく変われている自分が心の底から嬉しかった。



 ◇◆◇◆◇◆




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― 新着の感想 ―
[一言] 日向くんは、木陰さんにとって番の夫になる大事な人です。木陰さんは、日向くんによりこの先は先生が驚くような美しく明るい女性に成長すると思います。好き合う二人が成長する姿を楽しみにしております。…
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