初めてのメール
今日初めて友達がてきた。
髪は少し茶色が混じり、垂れた優しい目が特徴の男の子だ。
まさかの男の子!
私、暗野木陰にとって小学校、中学生そして高校二年生にしてようやくできた念願の友達だ。
交換した連絡先にある成田日向の文字を見て、私は思わず気持ちが浮き足だってしまう。
(初めてのメールは何を送れば良いのかな……?)
対人経験の無い私には分からなかった。
どんなメールの内容か決めるために今日起きたことを一つずつ思い出していく。
頭の中を恥ずかしい気持ちが埋めつくし、思わず私は自分の部屋へ走りベッドへ飛び込んだ。
でもそんな照れ隠しじゃこの気持ちは消えなかった。
(大人以外の人と話すの久しぶりだったな……)
学校の先生は上手く馴染めない私を気にかけて、話しかけてくれたり励ましてくれる人が多かった。
だけど、あまり大人たちと上手く会話をできているかと言えば、そんなに上手く話せてないと思う。
それなのに私は今日、こんなに多くの会話をしたのだ。
(上手く話せてたよね……?)
スマホを触り、メールを送ろうと文章を作ったけどすぐに消してしまった。
スマホをベットに投げ捨て寝転がる。
自分の鼓動が分かるぐらいに、心臓が高鳴っていた。
その原因は明白だ。
(胸を触ってパンツ見るなんて……)
手元にあったクッションに顔埋める。
ただでさえ対人経験が無い私にとって、男の子と話した経験なんて片手で数えるほどだ。
(む~~~~)
罪悪感が私の心を支配していた。
バランスを崩して倒れそうになった、成田くんを助けに入ろうとしたのは私の方だ。
それでたまたま手を伸ばした所に私の胸があった。
倒れた成田くんへ駆け寄ったのも私。
パンツを見られたのは私がマヌケだから。
つまりこれは私が悪いのだ。
(なのに私は被害者づらして、家に連れ込んだ……)
はぁ、とため息を吐いた。
弱みに付け込んだ。
(ズルいな、私……)
どうしようもないモヤモヤから離れるために再びスマホを手に取った。
(成田くんに謝罪のメールしよう……)
メールを打っては消してを繰り返す。
「またダメ……」
そう呟いて再びスマホを離す。
どうしてもメールの内容が決められない。
(やっぱり最初は明るい話題が良いよね……)
そう考えたのは自分のやってしまった問題から目を逸らすためだ。
単なる都合の良い言い訳に他ならない。
(成田くん、ご飯美味しいって言ってくれたなあ……)
思い馳せるのはご飯を食べてくれたときの出来事だ。
お父さんは会社に住んでると言えるぐらい、家を空けることが多いので料理の感想を言ってもらえるのは久しぶりだ。
それも血の繋がりの無い、成田くんにだ。
(また作ったら食べてくれるかな……)
そんな妄想をするだけで幸せを感じた。
(次はどんなメニューにしよう、あ、成田くんは好き嫌いとかあるのかな?)
私にとって楽しい話題であり、このことを考えいる間は嫌なことを忘れられた。
しかし、すぐ壁にぶち当たる。
(次はどう誘えばいいの……? メールで? それとも直接?)
どうやって家に誘っていいのか分からない。
(やっぱり全部正直に、謝ってそれから?)
結局、回り回ってメールを送るに帰って来た。
(正直に話そう……)
そう思いメールを打ち込む。
けれど不安が心をよぎる。
(もし、本当のことを話したら──私は弱みに付け込んだ人でなし……。友達を辞められるかもしれない…………)
そう思われても仕方ない。
でもせっかくできた友達を失いたくなかった。
(ここは本当のことを言わずに穏便に話しを進めよう……)
ひとまず問題を先送りにしよう。
そう決意し、今度こそメールを打つ。
(えーと、ビンタの謝罪とご飯のお礼と……)
思い付いたものをひたすら打ち込む。
とりあえず文脈のことなど無視だ。
時間をかけてできたメールを今度は推敲する。
誤字はないか、文章がおかしくなっていなかを真剣にこれも時間をかけて進めた。
一時間は経っただろう。
ひとまずメールができた。
言いたいことを詰め込んだメールは、五十行ぐらいの長文過ぎるメールとなったが、どうにでもなれと完成とした。
(あとはこれを送信っと!)
最後は勢いに任せて送信ボタンを押した。
画面を見るのが怖く、スマホをベッドに投げ捨てて放置することにする。
それでも返信が来ないか気になって落ち着かない。
(こんな気持ち初めて……早く返信来ないかな……)
待ち遠しいとはこのこと言うのだろう。
私は初めての気分を味わいながら、ただ彼からの返信を楽しみにしていた。
◇◆◇◆◇◆
タグにヤンデレを追加しました。
まだ要素は薄いかもしれませんが将来のために
なので、ヤンデレ期待! や面白いと思った方、続きが気になると思った方は
下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらえると、作者が躍り狂い更新頻度が上がります!!!
それとブックマークもお願いします!!!