キャラメイク
木陰と二人で座椅子に座りゲームを始める。お互いに肩が当たるぐらい密着した距離だ。
そして木陰に何故かまたぬいぐるみを押し付けられた。
「このゲームキャラクター作らないとダメなのか」
「……はい、キャラメイクしましょう」
目の前に写っているのは男のアバターだ。
どうやらそのキャラクターの顔や身体、性別などを自分の好きなように変えられるらしい。
「うーん、いざ自分の好きなようにするとなると迷うな」
「……確かに悩みますよね」
しばらく考えても良い案は浮かばす何も変わらない姿のままでいた。
「木陰はどんな感じにしたの?」
「……そうですね……私は男の逞しいキャラクターで進めましたよ」
「意外だ」
「……そうかもしれませんね」
木陰が何故男のキャラクターで進めたのか、どんな見た目なのか気になってしまう。
「どうして男なの?」
「……うーん大した理由は無いのですが、戦いとなれば男の方かなと」
「なるほど、どんな感じなの?」
「……もしかして私がどんな見た目の男を作ったのか気になるんですか?」
図星だ。木陰に完全に見抜かれていた。
そんな木陰はイタズラな顔だ。
「うん、まあ、そうだね」
「……正直ですね?」
「嘘も隠し事もしないって約束でしょ」
そう俺が言うと木陰が嬉しそうにしていた。約束事をしっかり守ったからだろう。
「……良いですよ。……正直な日向くんにだけ特別に見せてあげます。……凄く恥ずかしいですけど」
そう言って木陰が操作を代わり自分の作ったキャラクターを見せてくれた。
「なかなか厳ついな」
目の前にあるのは大男で傷が多いキャラクターだった。
ゲームのキャラクターで言えば見るからに歴戦の男だ。
「……そうですね」
見せた木陰は恥ずかしそうにしていた。
「……はい、見せたので日向くんも作ってください! 女の子で! 女の子でお願いします!!!」
木陰が急に言い出した。それも女の子のキャラクターでとオーダーを付け足して。
「え、嫌……」
木陰のとなりで女の子のキャラクターを好きなように作るのは恥ずかしと思って断る言葉がずくに出た。
「……そう言わずに!」
それでも強引に引き留める木陰にしばらくの間、説得されて仕方なく女の子のキャラクターで始めることになった。
「……私、女の子の衣装とかちゃんと見れてなかったのでちょうど良いです」
「そこまで言われたから、しょうがなく女の子にしただけだから」
「……別に女の子選ぶの恥ずかしがらなくても…………」
また痛い所を突かれた。何も言い返せなかったのでそのままキャラクターを弄る。
「女の子か、何をどうすれば良いのか分からん」
これに関しては男のキャラクターを作るよりも難しく思えた。
「……日向くんの好きなようにすれば良いんです。……例えば自分の好きな女の子の理想像とか?」
確かに木陰の言うとおり女の子のキャラクターを作るならそれが一番なのかもしれない。
しかし、それをとなりに女の子が居る状態でするのは恥ずかしさが勝る。
それに木陰にそんなキャラクターを見られるのがなんとなく嫌だった。
「それもそれで嫌だな……」
「……じゃあどうします?」
「このまま初期のまま進める!」
「……ズルい、それはズルいです!」
初期の状態ままはつまらないと駄々をこねる木陰を余所に進める。
少し木陰が不機嫌になっているように思う。
そのまま進めていると最後のところで手が止まった。
「これ、キャラクターに化粧とかもさせられるんだ」
このゲームには最終行程に化粧やほくろ、痣などいろいろと弄れる部分があった。
「……そうですよ、私のやつが傷まみれなのはここで弄ったりしたからです」
「なるほど」
そう言って知的好奇心からかいろいろと触ってみる。
するとまたあるところで手を止めてしまう。
「そばかすも付けられるのか」
「……えっ、まあ、有りますね」
画面に写っているのは初期の状態からそばかすを付けただけのキャラクターだ。
「……そばかすなんて付けてても良いことないですよ……私の人生から導き出した確かな情報です」
「え、良いじゃん。付けとこうよ、オシャレだし。付けるだけ得だよ。付け得」
「……得でオシャレですか……なら、まあ、日向くんが好きならそばかすを付ければ良いと思います…………思いのまま好きなだけそばかすを付ければ」
そう言っている木陰の口元は緩んでいた。言葉の方もふにゃふにゃな感じだった。
「よし、これで行こう」
「……良いと思います」
女の子の初期状態にそばかすを付けただけだがさっきとは違い、木陰からの許可も降りキャラクターはこれで完成として進めることにした。
ただそばかすを付けただけで、木陰の機嫌も凄く良くなり後はゲームをするだけだ。
しかし、すぐに詰まってしまう。どうやら最後に名前を付けないといけないらしい。
「名前か、面倒だし、日向で良いや」
「……ダメですよ! ……その、上手くは言えないですけど、本名はなんとなく止めましょう!」
木陰が頑なに本名で進めるのを止めてきた。
「え、でも思い付かないし……」
「……何か考えてましょう」
そして木陰に言われるまましばらく考えても良い案が出なかった。
「じゃあ、日向と勝手に木陰から取って日陰で」
「……それはかなり良いです!」
木陰も決めた名前に上機嫌に答える。
そしてキャラクターにお互いから取って決めた『日陰』という名前を付けてやっとゲームを始めた。
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