罰ゲームをかけた戦い
罰ゲームをかけた戦いということでお願いに気合いが入る。
「……ハンデなんですが私はアイテムを使いません」
このゲームはレースを優位に進められるアイテムというシステムがある。
それを木陰は縛るというらしい。
「確かにそれならチャンスありそうだ」
アイテムはこのゲームにおいてかなりの重要度を占める。それを縛るのならかなりの可能性が生まれる。
「……あと、開始してから10秒待ちます」
なんと木陰はさらにハンデをくれると言うのだ。
「そこまでもらっちゃうと余裕かもね」
「……そうです? ……私はまだ足りないと思いますよ?」
なんという自信に満ち溢れた発言なのだろう。
まるで罰ゲームさせられたいのか、と思えるほど木陰はハンデをくれた。
「勝っても知らないからな」
「……これでも負けることは無いかな、と思いますけどね」
そんな自信満々の木陰とのバトルが始まる。
「……私の勝ち!」
高らかと自身の勝利を宣言したのは木陰だ。
ここまでハンデをもらっても尚、木陰に勝つことができなかった。
「今のが練習みたいなところあるよね?」
そんな発言に思わず噴き出す木陰。
彼女の表情は楽しそうに笑っていた。
「……もうしょうがないですね、そんなに私に罰ゲームさせたいんですか?」
とご機嫌に言う木陰。
「いや、罰ゲームを受けたくないだけだから」
「……日向くんが言い出したことですよね?」
痛いところ突かれた。まったくもって木陰の言うとおりである。
「……良いですよ、もう一回ですね」
「次は負けない」
再び罰ゲームをかけた負けない戦いを始める。
「……二連勝~~!」
またも勝利して楽しそうに宣言する木陰。
「……今のもウォーミングアップですよね?」
木陰が助け船を出してくれたので、調子よくその提案に乗る。
「もちろん!」
三度目の罰ゲームをかけた戦いをする。
しかしその結果は何も変わらなかった。
「……三連勝、余裕ですね! ……罰ゲーム何にしましょうか?」
木陰が横目でニヤニヤしながら言ってくる。
ここまで煽られても腹が立たないほどに彼女は楽しそうにしていた。
「このゲーム、先に四回勝った方が勝ちみたいなルールがあった気がする」
そんな俺の発言にまたも噴き出す木陰、昨日とは違い今日の彼女はとても楽しんでいるように見えた。
「……もう、どれだけ私に命令したいんですか……? ……そこまでするなら素直に頼んでくれたら良いのに……まさか言えないような、本当にエッチな命令を!?」
「違うから! 負けたくないだけだから!」
「……本当ですか?」
木陰がジトッとした目で俺を見つめる。
「本当だって!」
「……約束しましたし信じますけど、別に日向くんのお願いの一つぐらいなら聞きますからね」
この会話の流れからかとんでもない発言に思えた。
罰ゲーム無しでそんなことを平気で言う木陰に驚くばかりだ。
そんな話しを誤魔化すように話題を変える。
「なんか今日の木陰は昨日より楽しそうだね」
「……そうですか? ……昨日も同じぐらい楽しかったんですけどね……」
木陰はそう言ったが今日は感情が良く出ている気がする。
「……多分、私の家だからですかね」
「木陰の家だから?」
聞き返しながら考えてみると、確かに引っ込み思案な木陰にとっては自宅の方が気が楽なのかもしれないと納得できた。
「……はい、人の視線を気にしなくて良いのが楽です。……あと日向くんにはわがまま言っても良いという安心感があります」
昨日木陰に友達でも甘えても良いよ、と伝えたその通り今の彼女はわがままを言っても良い安心感があるのだろう。
だから彼女は今、自分の素をさらけ出してくれているのかもしれない。
「なるほどね。じゃんじゃんわがまま言っていいから」
「……ありがとうございます、でも今のところわがまま言ってるのは日向くんですけどね」
鋭すぎる指摘に何も言い返せなかった。
「……すみません、ちょっと困らせたかっただけです」
木陰は表情を緩ませながら言う。
「じゃあ困らせられたお詫びに、四回目の戦いを希望しようかな?」
「……はい! ……もちろん負けませんけどね!」
彼女の言うとおり俺は四回目の戦いも勝てなかった。
「……完勝!」
「木陰が上手すぎるよ」
褒められて木陰がえへへと照れた笑みを浮かべる。
「……勝ちは勝ちです、罰ゲームは何にしましょう?」
「優しいのを頼む」
と彼女はかなり考え始める。なかなか決まらない様子だ。
「……みんなは何をさせてたんでしょう?」
「うーん、やっぱりご飯とかジュース奢るとかだな」
罰ゲームの内容は大体もう木陰に伝えていたのであまり助力できなかかった。
「……思い付かないですね」
木陰は考えて過ぎて困った様子だ。
「なら、また今度でも良いよ。良いのが思い付いたときにで」
「……なるほど。……つまり私は日向くんに命令できる権利をずっと握ってられるということてますね?」
「曲解すればそうなるね……」
木陰は困った様子からニヤニヤとした表情に戻った。
「……そうですね。……また今度にさせてもらいます、その時は私は命令を絶対に聞いてくださいね」
つまり木陰が言った通り、何か一つだが俺に命令できる権利をずっと握るということだ。
しかし敗者には何も言う資格は無い。
「内容にもよるけど、まあ罰ゲームだしその時は木陰の言うことに従うよ」
「……はい、ありがとうございます。……命令楽しみにしててください」
いたずらに笑う木陰、明らかに困らせるのを楽しんでいる様子だ。
そしてお互いに長い戦いが終わり休憩ムードになった。
「……お茶入れますね。……本当はもっと早くに淹れないとダメでしたよね? ……人を迎え入れるのに慣れてなくて……」
「いや、全然気にしなくて良いから!」
「……ありがとうございます。……日向くんの持って来てくれたお菓子とお茶で少し休みましょうか」
罰ゲームをかけた戦いを終えて木陰と休憩することにした。
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