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VSピーマン

 

「……さあ、さあ、日向くん食べてください」


 木陰が俺を急かす。お互い椅子に腰掛けて対面している状態で彼女の様子が良く分かった。

 そんな木陰を尻目に豚汁から食べる。


「美味しいよ」


「……ありがとうございます」


 やはり木陰の料理は絶品だ。

 そのままの勢いでメインに手を出そうとしたが、卵焼きの方へ手が伸びる。

 どっちも美味しく白米が進んだ。


「……日向くん?」


「何でしょう?」


「……まだ一口も付けてないですけど」


 木陰がメインのピーマン料理を指して言った。

 彼女の言うとおりまだ俺はピーマンの料理に手を付けていない。


「……ほら、凄く美味しいですよ?」


 と木陰が目の前でピーマンの肉詰めを頬張って言った。

 実際彼女はその料理を美味しそうに食べている。


「なるほど」


 そう言って俺はレタスのサラダを頬張る。

 食べたことのないドレッシングがかかっていたが、とても美味しかった。


「このドレッシング美味しい」


「……それは私が配合したものですね。……ありがとうございます、嬉しいです」


 さっきから美味しいと褒められたのが嬉しかったのか、木陰は照れ笑いを浮かべて顔が赤くなっていた。

 そんな可愛い木陰を堪能しながら、食べるご飯は美味しい。

 美味しいのだが、今日のメインが強敵だ。

 そして再び豚汁に手を付ける。


「……あ、あのそろそろピーマンの方を…………」


 と俺が明らかにメインを避けている姿を見て木陰が指摘する。


「いや、なかなかの強敵だね」


「……そうですか…………」


 木陰が悲しそうにしている。その理由は俺が彼女の手料理を食べないからだろう。

 そんな木陰の姿は見たくないので、意を決してピーマンの肉詰めに手を伸ばす。

 しかし、途中で諦めてしまった。


「……ダメでしたか」


「うん、勇気が足りなかった」


「……うーん、どうしましょう」


 木陰が俺のために悩んでくれている。

 たかだか目の前の野菜一つ食べられないたげなので恥ずかしい。


「……そうだ!」


 と木陰が急に声を出した。その顔は何やら妙案が浮かんだ顔をしている。


「……私が昨日見たいに、あーん、ってしてあげますよ?」


 とんでもない提案だ。

 そんな木陰の発言で昨日の記憶が蘇る。お互いにあーん、し合った記憶だ。

 それを思い出したせいで顔が熱くなってしまう。


「……どうですか?」


 と木陰の方はやる気満々らしい。


「そんな幼稚園児みたいなのは遠慮しとくよ」


 そう、まるで好き嫌いをごねて手を焼く母と子だ。


「……残念です。……じゃあ一人で食べてくださいよ」


 何故か残念がる木陰。


「うん」


 返事をしてもう一度対峙する。

 そして戦闘の行方はかなり膠着していた。


「……もう、しょうがないですね。……日向くんこっち向いてください」


 そう言われて木陰の方を向く。

 すると木陰は本当にあーん、と俺の口へピーマンを運ぼうとしていた。


「……ほら、あーんしてください」


「そんな無理やりな」


「……昨日は私無理やりお店の中に連れられましたね、それもあんなオシャレな店初めてなのに……無理やり……」


 と言ってさらに近づけて来た。お箸はもちろん木陰の箸だ。

 しかし、そう木陰に言われると断れない。


「……はい、あーん」


 木陰にされるがまま食べる。数年ぶりのピーマン料理だ。


 その味は意外にも美味しかった。


「美味しい……」


 驚きのあまり口からそんな言葉がこぼれた。


「……本当ですか!? ……良かったです!」


 と彼女がまたピーマンの肉詰めを俺の口に運ぼうとする。

 またも断れないのでされるがままにいただく。

 さっきのはまぐれではなく、本当に美味しかった。


「……じゃんじゃん食べてくださいね! ……私のも食べて良いですからね?」


 木陰に言われたとおりご飯を食べ進める。どの料理も美味しくかなりの速度で箸が進んだ。

 そんな俺の姿を木陰は楽しそうに、幸せそうに見つめている。


「……本当に良かったです」


 小さく、本当に独り言のように木陰が呟く。

 俺は何も聞こえなかった振りをすることにした。

 ご飯を食べ進めていると、白米を食べきってしまった。それもまだピーマンの肉詰めが残っている状態でだ。


「おかわり良いかな?」


「……もちろんです!」


 木陰が凄く嬉しそうに返事をする。


「……それじゃあ、また一緒にご飯よそいに行きましょうか?」


「そうだね」


 前回から何故かおかわりの度に、二人で一緒にご飯をよそいに行くのが決まりとなっていた。

 しかも、木陰はおかわりをしないし、俺も盛られた白米を運ばないのにだ。


「……いっぱい食べてくださいね」


 木陰が山盛りのご飯を盛る。そしてそれを彼女が運んでくれた。

 かなりの量で木陰からおかずをもらいながらもなんとか完食することができた。


 ちなみに前と同じように俺が食べている最中、ずっと木陰が俺の食べている姿を見ていた。

 木陰はなんとも満足した表情だった。


「ごちそうさまでした」


 苦手意識のあったピーマンだったが、木陰の料理が上手く最後まで美味しく食べられた。


「……はい、ありがとうございました」


 木陰が嬉しそうに返事をする。

 時刻は13時前だ。


「……ご飯も終わったところで二人で遊びますか。……日向くん動けますか?」


「うん、平気だよ」


 お腹はいっぱいだが動けなくなるほど食べた訳ではなかった。



「……それじゃあ、私の部屋で一緒にゲームしましょう」



 そんな彼女の発言に驚く。何故なら人生で一度も女の子の部屋に入ったことが無いからだ。


「木陰の部屋で?」


「……はい、嫌でしたか?」


「いや、全然。ちょっと驚いただけ」


 木陰が部屋に向かって歩き始めた。俺はその後ろに付いて行く。

 女の子部屋なんて一度も入ったことがないので、すでに緊張し始めていた。


「……それじゃあ、晩御飯までの時間、一緒にゲーム楽しみましょうね」


 木陰に連れられるまま、人生初の女の子の部屋に入った。



 ◇◆◇◆◇◆




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