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お家と木陰の策略

 

 木陰の家のベルを鳴らす。

 すると数秒も待たずに扉が開いた。あまりの速さに驚いてしまう。

 開いた扉からチラッと木陰が覗いていた。


「…………」


 お互いに何も言わずに様子を伺っている状況になってしまう。


「あの、入って良いかな?」


 沈黙を破るように俺が言うと木陰が小さく頷いた。

 木陰の家に入る。そこで確か昨日は挨拶をしていなかったことを思い出す。


「えっと、その、こんにちはかな」


「……こんにちはですね」


 普段はおはようとしか挨拶を交わしていなかったので変なかんじだ。

 すると木陰が俺の目の前で服をヒラヒラとさせた。


「……どうですか?」


 木陰が今着ているのは昨日俺が選んだ服だ。

 しかし、木陰が恥ずかしがってか試着はしていたものの、俺や店員さんに見せることの無かった服だった。


「良く似合ってて可愛いと思うよ」


「…………ありがとうございます!」


 木陰は褒められたのが嬉しかったのか、ニヤつきながら言っていた。


「……あの、すみません、玄関でこんなことさせてしまって……」


 確かに彼女の言うとおり玄関に居たままだった。


「そうだね。あ、これお菓子持って来たから後で食べて」


 と木陰に持参したお菓子を渡した。


「……あ、ありがとうございます」


 そして木陰に案内されたので後ろを付いて行く。

 たどり着くのはいつものリビングだ。


「……日向くん、ご飯今から作っても良いですか?」


「うん、お願い。朝食べてないからかなりお腹空いてて……」


 今日は木陰の作ってくれた料理を残さないために朝を食べていなかった。

 なので今とてもお腹が空いている。


「……分かりました。……それじゃあすぐに作るので日向くんは座ったりして待っててください」


「ありがとう」


 そして木陰がキッチンに向かう。

 俺もキッチンを正面から覗ける位置にある机のところに腰掛けた。


「……今日はいきなり私のこと見るんですね」


 エプロンを着けようとしている木陰に指摘されて気づいた。

 確かに今まで最初から木陰の料理する姿を見ていなかったので、彼女からしたら迷惑なのかもしれない。


「ごめん、見られるの嫌だったんだよね。ソファーの方に行くよ」


 前回、木陰が料理している姿を見ていて恥ずかしいから止めて欲しいと言われたことを忘れていた。

 なので俺はソファーの方で時間を潰そうと思い向かう。

 しかし、それを木陰が止めた。


「……いえ、そういう意味ではないです。……その、そこに居てても良いですからね?」


「あ、じゃあ、遠慮せずに居とくよ」


「…………その、私の料理姿を見たいんですか?」


 見たいか、見たくないか、で言えば確実に見たい。

 クラスメイトの女子がオシャレな服を着て、そこにエプロンを着けて料理をしている。

 そんな家庭的なクラスメイトの姿を見れる機会などこれから先見れない可能性が高い。


「いや、まあ、見れるなら見たいなと……」


 木陰の顔が一瞬で赤くなった。


「…………分かりました。……もともと服を見せてあげる約束でしたし、好きなだけ見てて良いですよ……」


 そんな恥ずかしそうに言われると、こちらまで見てはいけないものを見ている感じで恥ずかしくなってしまう。


「まあ、じゃあ、その、そうするよ」


 しばらく二人とも無言が続いていた。それでも木陰は黙々と料理をしている。

 すると木陰ついに俺の宿敵のピーマンに手をつけ始めた。


「……ほら、日向くんの嫌いなものですよ?」


 と木陰の頬の近くまで持ってきてニコニコとアピールまでしてくる。

 わざわざ俺に見せびらかすようにだ。


「後でお前は俺に食われて無くなるから覚えてろよ」


 木陰の手にあるものに宣言する。


「……ピーマンに喧嘩売ってる人なんて初めて見ました……」


「確かに」


 さっきまでの無言が終わり少しずつ会話が増えていく。


「……できるだけ美味しく作りますからね」


「うん、ありがとう」


 今までよりもさらに木陰の料理に注目する。


「……そんなに見て楽しいですか?」


 俺の前のめりの姿を見て木陰が聞いた。


「うん、憎いヤツが刻まれて、(はらわた)を取られ、痛めつけられる姿を見れるし」


「………………それピーマンの話ですよね? 確かに切りますし、ワタも取りますし、炒めますけど……」


 と木陰が笑いながら言っていた。


「……今日はピーマンの肉詰めにしようと思ってます」


 木陰が今日の献立を教えてくれた。


「あれ、俺なにか木陰怒らせたっけ?」


「いえ? 何もないですけど……? どうかしましたか?」


 ピーマンの肉詰めなんて姿、形がそのまま残っている料理だ。

 苦手意識のある俺には拷問のように思えた。


「いや、ピーマンの形がそのままだし、もっと形の残ってない食べやすいものだと思ってたから」


「……それも考えたんですが、誤魔化さずに食べてもらおうと思いまして。……それに日向くんは食わず嫌いをしていると言っていたので平気かと」


 そう言われたら何も言えない。


「できるだけ頑張るよ……」


 しばらくして木陰の料理が出来上がった。


「……今から運びますけど、もちろん、日向くんは運ばなくて良いですからね?」


「ありがとう。大人しくしとくよ」


 そして木陰が食事を運んでくれる。

 メニューは


 豚汁

 ピーマンの肉詰め

 レタスのサラダ

 卵焼き、だ。


「……それじゃあ昨日は私の苦手なことを克服しましたし、今日は日向くんが食わず嫌いしてたものを一緒に克服しましょうか」


 と木陰が笑顔で言う。


 木陰による俺の苦手克服作戦が始まった。



 ◇◆◇◆◇◆




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― 新着の感想 ―
[一言] ピーマンは人類の敵です!肉詰めとかまじドSじゃん!!
[一言] さあ、今までの対応が親友たち(青木先生含む)も見開くほど(想像)の二重マル対応の日向くんですが、強敵(ピーマンの肉詰め)相手に平静を保てるのか… 木陰チャン、土Sなのか、天然なのか
[良い点] えっ何この同棲初日のカップル感笑 控えめに言って最高かよ笑
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