カレーと触れあい
二人で手を合わせた後食べ始める。
最初はやっぱりカレーだ。
「凄く美味しい」
今までで食べたカレーの中で一番美味しかった。
家庭で作るカレーではなく外食のようなスパイスの効いた味だ。
「……本当ですか? ……良かったです」
彼女は満足げに笑みを浮かべていた。
「家で食べるのとは全然違う」
「……私がスパイスを使ってアレンジしてるんです。口に合ってくれて良かったです」
二人でゆっくりと会話をしながらご飯を食べ進める。
「……あの、日向くん口にお米が」
彼女の指摘で顔に手を当てる。
しかし空振りが続いた。
それを見かねた彼女が「……じっとしててください」と言い俺の顔に付いたお米を取ってくれた。
お互いの顔が急接近し見つめ合った。
恥ずかしくなり二人で顔を逸らす。
「……あの私、いらないことしましたね……」
「いや、その、助かったと思う」
お互いに気まずい沈黙が起きた。
「取ったお米なんですけど、……私が食べるとその、間接キスというか、それに捨てれないので日向くん食べてください」
そう言って彼女が手を伸ばしてきた。
彼女の細い指の先に米が付いている。
「……あ、その私が触ったお米は、その汚いですよね……すみません……」
「いや、料理してもらってるし汚い訳じゃないんだけど……」
実際彼女が料理するのに何度も野菜などを触っている。
それを考えれば今さらだ。
「……その、じゃあ、あの……私の指ごと咥えても舐めても私は文句は言いませんから……」
と再び彼女が手を伸ばす。
ここまで言われては逃げるという選択肢は無い。
意を決して食べる。
彼女の細い指が俺の口に当たる。
同級生の指を口で触るそんな不思議な状況に、何故か身体の脈が激しくなった。
「……あの、その変な感じになっちゃいましたね……私がその変なこと言っちゃったから」
「えっ、そう──」
「……おかわり食べますか?」
俺が言葉を返す前に割り込まれた。
「うん、その食べたいです……」
しかしまた沈黙が訪れる。
「……お皿の方ですよね?」
「も、もちろん」
訳の分からない雰囲気にお互いに顔を赤く染めながら会話していた。
「……今ご飯よそってきますね」
と彼女が勢い良く飛び出したが、動揺していたのか机の足に引っ掛かり今度は俺にダイブ。
今度は彼女方からたわわな胸が俺の顔に飛び込んで来た。
前と同じように彼女の柔らかい胸に包み込まれる。
「……あ、あの! お怪我は無いですか……?」
申し訳なさそうに聞く彼女。
幸いにも当たりどころが良く、お皿も持っていく前だったので俺も彼女も怪我は無かった。
「怪我は無いんだけど……そのちょっと苦しいかな」
彼女が俺の上に乗ったままあまり動いていなかったのでアレが俺を包み込んでいるままだ。
「……え? あ、そのごめんなさい」
彼女がことに気付き咄嗟に離れる。
しかしまた慌てたのかバランスを崩しそうになる。
今度は俺が手を取り転けないようにした。
「……ありがとうございます」
このドタバタ騒ぎで彼女はシュンと小さくなっていた。
「……私は今日、日向くんに迷惑かけてばかりです……」
「まあ、そのさっきのは迷惑というよりかは」
と咄嗟にフォローするように言ったものの尻すぼみになっていく。
「……迷惑というよりかは?」
言いにくいものを彼女は普通に聞いてきた。
これには俺も返す言葉に頭を抱える。
しかし彼女は俺をじっと見つめ返事を今か今かと待ってくれていた。
「その、えっとご褒美……みたいな?」
それを聞いて木陰は顔を赤く染める。
言ったこっちは申し訳ない気持ちがいっぱいだ。
「……ご迷惑じゃなければそれでいいです……こ、今回は私の方から飛び込んだので、そんな、その申し訳なさそうな顔しなくていいですし……ご褒美だと思ってくれるなら、その、そっちの方が嬉しいです……」
彼女もまた尻すぼみになりながら話す。
「……そのありがとうございます」
「……えっと、あのどういたしまして……」
お互いに動揺から訳の分からない言葉を言い合う。
「……その、おかわりよそって来ますね」
そんな雰囲気を変えるよう木陰が言った。
しかし今の彼女に任せられる状況に思えない。
「俺がよそって良いなら俺が行くよ。その、また俺の顔にダイブされても危険だから」
俺はここぞとばかりに少し煽りを入れてしまう。
ずっと秋人と煽り合っていた癖が今出てしまった。
それを聞いた彼女は俺が聞き取れないような小さな声で何か言っていた。
「えっ!? ……あ、これが『いじり』なんですかね……でも日向くんにならこれも本当に悪い気がしないですね……」
何を言っていたか分からないが、彼女がニヤニヤとしていることが分かった。
「……日向くんこそ、私の胸にまたダイブすることになりますよ? ……次の命令は何にしましょうか?」
と彼女もまた徹底抗戦に出る。
「お返しです」と言わんばかりのどや顔を彼女はしている。
俺たちのノリに彼女は少しずつ適応してきていた。
お互いに譲らず戦いが始まる。
そんな戦いを二人で笑い合い、楽しみながらしていた。
そして少し煽り合った後で木陰の方が
「……二人でよそいに行きましょうか?」
と提案してくれたことでこの戦いは休戦となった。
◇◆◇◆◇◆
面白いと思った方、続きが気になると思った方は
下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらえると、作者が踊り狂い更新頻度が上がります!!!
(っ'ヮ'c)ウォッヒョョョオアアァァァ!←こんな感じに
それとブックマークもお願いします!!!!!