第2話 おじいちゃんのお店
1ヶ月前まではホットコーヒーばっかり飲んでたけど今はもうアイスコーヒーしか飲んでません。夏だね。(現在5月)
◎喫茶ベリーザ
「カランカラン」
「いらっしゃいませ。なんだ佐野さんか…」
「なんだとはなんだ。」
最近は作業に行き詰まるとここに来てしまう。それと……。
「だってほぼ毎日来てるじゃないですか。」
つまりほぼ毎日作業に行き詰まってるって事だ。
藤野さんともあれから会ってない。バイト先の書店にもあの日以降からっきしだ。
「カランカラン」
「ふ、藤野さ……」
「あ!佐野くん!やっぱりいた!久しぶりだね!」
来店してきたのは江中だった。
「なんだお前か、」
「なんだとはなによ!せっかく佐野くんに用があって来たのに。」
「よく俺の場所が分かったな。」
「ま、まあね。佐野くんならここかなって。そ、そんなことどうでもいいの!」
そういうと江中は手に持っていたレジ袋を差し出した。
「佐野くん今忙しいでしょ。…だから差し入れ。プリン買ってきた。まあまあいいやつ…。佐野くんプリン好きだったでしょ!」
「あ、ありがとう…。」
「それだけ。じゃあね!」
「ち、ちょっと待てよ!…珈琲くらい飲んでいこうぜ。奢ってやっから。」
「え、いいの?…ありがとう!」
「カランカラン」
「いらっしゃいませ…って美雪ちゃん…!?」
「え、藤野さん!?」
「こんばんは。佐野さん来て………すみませんやっぱり帰ります。」
「あ、ちょっと待…」カランカラン
そういうと彼女は帰って行ってしまった。
「今の人って、誰?知り合い?」
「知り合いというかなんというか……はあ、なんて間が悪いんだ。」
「……今の私、感じ悪かったな…。」
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今からの話は藤野美雪という1人の女性の話である。
◎15年前の喫茶ベリーザ
「おじいちゃん!珈琲って美味しい?」
「美雪も珈琲が飲みたいか?」
「いやいらない!だって苦いじゃん!」
「ほっほっほ。時期に分かってくるじゃろう。ほれ珈琲牛乳じゃ。」コトッ
「わー!ありがとうおじいちゃん!」
私のお母さんとお父さんは早くして亡くなっている。そんな私を引き取ってくれたのがおじいちゃんだった。おじいちゃんはお兄さんが1人いてお兄さんと2人で喫茶ベリーザを経営している。
「おじいちゃんのお兄さんは今日も来てないね。」
「忙しいのじゃろう。無理して来る必要はない。」
「優しいね!おじいちゃん!」
「……美雪。人には優しくな。いい行いは自分に帰ってくるからの。」
「うん!わたし優しい立派なお姉さんになるんだ!おじいちゃんに自慢できるくらいのね!」
「ほっほっほ。それは楽しみじゃのう。そうじゃ!珈琲の淹れ方を教えてやろう!」
「え!いいの!?ありがとう!」
「まずな、珈琲豆を挽くのじゃ。ここにあるコーヒーミルという機械を使っての。」
「いっつもおじいちゃんが使ってるやつだよね!」
「そうじゃよ。こうやっての…」ガリガリガリ
「よしこんなもんかの。…でこの後はペーパードリップで淹れていくのじゃ。サーバーとドリッパーを用意して……この上にペーパーフィルターを置くのじゃ。これで準備完了じゃの。」
「珈琲の匂いするね!わたし匂いは嫌いじゃないんだ!」
「ほっほ。そうかそうか。」
「この後はドリップポッドを使って珈琲を淹れていくのじゃ。こうやってのの字を書くようにな。」
おじいちゃんは私に珈琲の淹れ方を教えてくれた。15年前は嫌いだった珈琲も今では大好きだ。おじいちゃんのお陰で好きになれた。それでその後……
「……おーい。おーい!」
「…はっ!」
「なにぼーっとしてんの?もっと集中して!」
「あ!はい。す、すみません…。」
私は今コンビニでバイトしている。私、本当は今何がしたいんだろう。……
池田ケイです。今回は藤野美雪にスポットを当ててみました。次回はどうしようかな…。良ければブックマーク、コメント等よろしくお願いします!