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毒虫陽炎  作者: きいち
1/1

腐った男達

饐えた匂いが鼻に着いた。

目ヤニが張り付いた瞼をこじ開けた。匂いが一層酷くなった。

湿気の吸った万年布団から身を起こし一番長いタバコの吸い殻を口に咥え火をつけた。

焦げ臭い煙を肺いっぱいに吸い込んだ。


相変わらずの金を貰っても、住みたくない部屋、築何年かも分からないボロアパート。

汚いアパートに負けず劣らず汚い部屋、見渡した。

散乱するビール缶、汁の残ったカップラーメンの容器、積み重なったエロ本、黄色く変色した丸まったティッシュ、散乱したゴミの中に敷いてある水っぽいせんべい布団、外に出ようと窓ガラスに打つかる馬鹿でかい銀蠅。

赤茶に変色した足のぐらついたテーブルから手垢でベタついた手鏡をとり顔を見た。

アパートや部屋に負けないくらいの汚い顔、剣山のような無精髭、5月だというのに連日30度越している。風呂に3日入ってない。臭いのはゴミだけではない。

ため息をついた。



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