異世界ガリバー②
ここは25m四方の小さな島だった。周りは見渡す限りのはてしない海。
住人は増えたり減ったりをしているが、500人から1000人くらいだろう。
個体の成長はとても早く、彼らの寿命は長くて40日前後。
文明レベルを考えると1日で1年のようなイメージになると思う。
新天地を目指し、島を離れて海を渡ることを考えたこともあるが、
島から海に足を1歩踏み出すと、そこは僕の足でも底につかない絶壁になっていた。
無様に溺れ、必死に島に手をかけて這い上がり、
そのときの津波で、住人たちの村を壊滅近くに追い込んだ。
世代交代は激しいが、憎悪の炎は消えることがない。
死にたくないから住人の畑から作物を奪って食べる。家畜を殺す。
彼らにとって、僕は略奪者であり、天災だ。
彼らは仇敵である僕を殺すために、散発的に襲撃をかけてくる。
僕は彼らを殺したくないのだが、襲撃のたびに事故や偶然によって必ず住人に死者が出る。
こうして、彼ら自身の手によっても新たなる燃料が追加されているのだ。
この世界では、どこまでいっても僕はひとりだ。
いっそ死んでしまいたいと思っている……でも、死ぬのは怖い。
矛盾してるのは分かっている。
だけど、自分から死を選ぶことが僕にはできない。
だから
僕は、彼らが僕を殺せるようになることを待っている。