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幼馴染のワタシとアイツ
いつもと同じ、夕暮れの下校中。
いつもと同じ、通学路。
いつもと同じ、並んで歩くワタシとアイツ。
根拠は分からないけど、今なら何でも言えるような気がした。
「あ、あのさ……。」
立ち止まったワタシの方を、アイツが振り返る。
この世界にはワタシとアイツしか居ない。
他に誰も居ないなら、ワタシが何を言っても平気。問題ない。
「ちょっとだけで良いから、抱きしめてくれたりしない……かな。」
自分で意味が分からない。
普段なら言わないようなセリフを、
普段では見せられないようなしおらしさで、
何で急にワタシはこんなことを言ってしまったんだろう。
夕暮れの逆光の中で、アイツは少しだけ笑うと、
両手を広げ……ワタシを……。
Pipipipipipipipi
いつもと同じ、起床時間。
いつもと同じ、目覚まし時計。
いつもと同じ、ベットの中。
抱き枕のように丸めた掛け布団に、両手両足で抱き着くワタシ。
「は・ず・か・しぇえええっ!」
朝からうるさいと、お母さんに怒られた。