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霊感少女・かや子さん01  作者: 柊波
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①「今日はかや子さんと初めてのお泊まりだ!」

①「今日はかや子さんと初めてのお泊まりだ!」


幼馴染みだったかや子さんと付き合って早くも明日で5ヶ月目突入になる。

一年前に告白した時は「アンタ女々しいから嫌い、消えて」と言われて涙で枕を濡らしたが、弟に励まして貰いつつ男を磨いた結果、ようやく「…ッチ、付き合うからには私の言う事をよく聞いて行動する事。女々しい事を言ったら即サヨナラするから」と了承してくれた。

僕もまさかOKして貰えるとは思ってもいなかったのでその日も今日と同じく喜び過ぎて浮かれていたし自転車に乗ってたら落ちたけど今日は転んでない。そもそも歩きながらかや子さんのバイト先へと向かっている。

いつもは暑苦しい夏の夜の風も今日は僕を応援してくれるような熱風に感じるし雨も小ぶりになったし良い事ばっかりだ。


「かや子さん喜んでくれるかな?」


かや子さんが好きな梔のミニブーケを見ながら僕は小さく笑う。一番好きな花だと言っていたから買ってみたんだけれど店員さんに「彼女さんへのプレゼントですか?」と声をかけられた時に羞恥心に耐えきれずろくに返事が出来ないままそっぽを向いてしまった。

恥ずかしい思いをして買ってきたし喜んでくれると言いけれど…。


「でもかや子さん最近少し優しいから大丈夫だと思うんだよね」


剣道のサークルにもかや子さん時々僕を見に来てくれるし順調な関係だと思う。

大学の授業を受ける時、隣へは座らせてくれないけど時々一緒に教室移動してくれるから幸せだ。

…けれど、けれどだ。正直僕としては5ヶ月経つし次の段階へと進みたいと思っている。多分ここが僕の男の見せ所だと思う。


「おでこに軽ーくちゅーくらいしても良いかな?ビンタされそうな予感もするけど…記念日だしOKしてくれるかも。」


…ひょっとしたら照れた顔のかや子さんが見れるかも?と想像すると顔がニヤけてしまう。

あー、やっぱりかや子さんは最高にカッコ良くて綺麗で頭良くて素敵だ!早く結婚したいなー。

もうすぐかや子さんのバイト先に着く。早く会いたくて口笛を吹きながらスキップしているとふと、街路灯の近くで浴衣を着た女性がうずくまっている事に気が付いた。

靴ズレでもしたのかな?下駄の鼻緒ってちょー痛いもんね。僕も苦手なんだよなー。

僕は心配になりゆっくりと歩きながら女性へ近付く。女性はやはり花火大会の帰りらしく長い髪に簪をさしていたが少し乱れていた。そして近づくに連れてザッザッと土を掘る音がする。

よく見るとその女性が暗い顔をして土を掘っていたんだ。何か埋めている最中なのか?


「あの…どうしたんですか?」

「…」

「…あ、れ?」


恐る恐る声をかけると女性がスゥーと足から消えてしまった。例えるなら映画が終わると画面が徐々にフェードアウトしていくような感覚でいなくなってしまったんだ。

…僕は夢を見ていたのか?

思えばアスファルトの道路なんだから土を掘っている訳がない。

腕時計で時間を確認すると針が0時3分くらいを指していた。モヤモヤした気持ちを抱きながら厚い雲を見ながら僕はまた独り言を言う。


「僕、いつも9時には寝ちゃうもんなー。今、12時過ぎくらいだし…寝惚けただけか。…あれ?もう12時過ぎちゃった!?かや子さん12時上がりなのに出迎えられなくなっちゃう!」


かや子さんの出待ちが出来なくなってしまうと焦った僕は走り出す。

スポーツバカなので走りには自信がある。多分全速力で走れば間に合う!

そう踏んで走ると少しの曲がり角に女性がニコニコしながら僕を見て拍手をしている。

よく見ると手の甲でパチパチと拍手しているけど普通は手のひらで拍手をするものじゃないかな?

疑問を持ちつつも今はそれ所ではない。今回はサプライズでかや子さんのバイト先まで来たんだ。

早くしないとかや子さん先に帰っちゃう!

何で拍手をされているのか分からないもとりあえず片手を上げて女性に挨拶をすると彼女とすれ違う瞬間、何故か僕の耳元で女性の低い声がした。


「櫛を探してたの」


…ここで僕の記憶は終わっている。



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