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…………コンバーター作動まで10秒、コンプレッサー停止、リミッター解除。コンバーター正常に作動開始、精神拡張率の特異点に到達するまでおよそ2分。
…………2分経過、拡張率は∞に到達。プログラムに従い最終過程を実行。コンバーター停止。ジェネレーター5号機起動、6号機起動、7号機起動、出力最大。
…………精神のアップロードを開始する。
…………超深層精神領域に何らかの異常が発生、直ちにアップロードを中止する。中止に失敗。超深層精神領域を伝い周囲の精神領域に異常が干渉する恐れがあり。直ちに避難を開始せよ。
…………
*
「さようなら、またね」
そう彼女に別れを告げて私は家路に着く。静かな夕暮れ空のオレンジも青と混ざりあって黒に変わりそうだ。
…………があり、D地区、E地区、I地区は直ちに避難を開始してください。
デパートの電化製品店のテレビに映し出されているニュース番組のキャスターがそう言ったのが聞こえた。今私がいるデパートは……
E地区だ。
…………E地区にいる人は直ちに避難してください。
街中にアナウンスが鳴り響いた。何か様子がおかしい。
「まって! 唯!」
デパート中に声が鳴り響いく。
さっき別れたばかりだ、まだ彼女はいる。そう思った。確かに唯はエスカレーターの前で同じく放送を聞いて立ち止まっていた──
「ああああああああぁぁぁ!」
唐突に頭に激痛が走り、思わず叫んだ。
目の前で男がいきなり倒れ込んだ。なんだ?
あらゆる場所から奇声が聞こえる。何が起こっている?
目の前で嘔吐物と血が飛び散る。これは何?
そうだ、唯は何処にいる? エレベーターの前で座り込んでいた。彼女と2人でいたい。二人でいれば安心できる。その事で胸がいっぱいになった。
「唯!」
朦朧とした意識の中、彼女の元へ走ったが、彼女にたどり着く前に私は意識を失った。
*
私が目を覚ました時、あたりはもうすっかりと暗くなっていた。ここは……そう、デパート。先程のあれはなんだったのだろう。
もうここには人はいなかった。決して比喩的な言い方ではなく、目の前で倒れた男も、奇声を発していた誰かも。そして、
「唯、唯がいない……」
消灯後のデパートでは、避難経路の目印の緑色のライトしか見えなかった。こういう時にこのライトは役立つのだろう。私はライトを伝って何とかデパートの出入口にまでたどり着いた。
驚く事に、このデパートには人という人が全て消えていた。皆は何処へ行ったのだろうか……。
入口の自動ドアは正常に動作しなかったが、非常用に手で開けられるようになっていたので何とか手でこじ開け、外に出た。
外には、なんだろう。あれは……? 何かが群れている……? 何が群れているんだ……?
「ッ!」
目の前に広がっていたのは、ただ暴れ、たださまよい、我を忘れうめき声をあげている。
……まさにゾンビの様になった人達だった。




