表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/593

Ⅳ 電波ジャック


「本日は電子魔法の授業です」

――何が電子魔法だ。


機械に作らせた電気を流しているだけで、魔法なんて使ってないだろ。


雷を落として機械を破壊してやろうか―――――。



{はーはっはっはっは!!}


―――――なんだ、機械から間抜けな笑い声が聴こえたぞ。


画面にはデカ布巻き頭の優男がドアップでうつっている。


誰だこいつ。耳障りな声出しやがって潰すぞ。


タブレッツィオを窓ガラスに叩きつけた。


「あいてっ!」

誰かにあたったようだが、男だしいいか。



「助けて!!」

なにやら真下のグラウンドから女の悲鳴が聞こえるような。


気になったので、ホウキに立ち乗りし、窓から下に降りる。


「ラウル!!」

どういうわけかラヴィーナがゴツい野郎共に捕まっていた。



「タブレットの持ち主はキサマか…フーン。ランダムに侵入した相手がまさか噂の全界の覇者ラウルとは」

「オレはそんなに有名になったのか、当然だな」


雑魚の分際でオレを品定めするようにジロジロみやがって気色悪い。


「なんだそのタンコブ」

「さっき上からタブレットが落ちてきてな…」


「お前、オレのサインでも貰いにきたのか?」


「そんなわけあるか!!

我はドルゼイ、惑星ドルゼイのトップだ」


惑星ドルゼイは塵の輪にかこまれており、古くから暗黒魔法を使うダークエルフのような奴等が住む星だった。


いまや、マフィーアの住む星と化しているらしい。


「ドルゼイ星は我が創った」


こいつが…マフィーアのボスにしちゃ弱そうな奴だな。チビだし。


「…そいつを放せ」

こいつらが人質をとっていなければ、目の前に現れたときにヴィサナス産の硫酸の雨をぶっかけてやれるのに――――。


「断る」

「何故だ」

オレは慈悲深い。ワケを話す時間は与えてやることにした。


「我はプリマジェールを頂きにきたのだ」

「プリマ…誰だ?」


「キサマの学園長の名すら知らんのか」

「あ"?お前…学園長に何する気だ?」


伝説の大魔女マデェールの弟子の学園長は、魔女として一流の力を持つ。


こいつらはその力を星大戦スターダストラグリオンに利用するに違いない。


手に闇の力を溜めた。


「おいまて人質が…」

「ちょっとラウルううう!?」


「ちっ…」


高位魔法でラヴィーナが即死してしまうと治癒魔法をかけられない。


死者を生き返らせる技は、使えるが死を生に変えるなど世の理に反することは嫌いだ。


「わけを話す!はなせばわかる!!」

ビビるドルゼイ。


「だったら最初から言えよ」

手間とらせやがって。


「…プリマジェールに会いたいと言うんだ」

「誰が」

「チセイ・ウチカワがだ。キサマは…知らないだろうが」


―――どこかで聞いた名だ。


「チセイ…ウチカワ!?」

ラヴィーナが反応した。


ああ、あれは惑星ジュプスに小旅行していたときだ。

たまたま目についたゲームエリアで、シューティング大会があった。

ランキング一位の女がそんな名前だった覚えがある。


「チセイ・ウチカワってプラネターの?」

「プラネター?」

「惑星の管理者の一人で、旧テラネスから救世主として持ち上げられた狙撃担当の…」


どうでもいいが、こいつをどうするか。


ラヴィーナを人質にはとられたが、それだけで特に損害はない。


―――なんて心が広いんだ。オレ。


「あいつは我に惚れている」

「…妄想か?」

哀れなやつだ。


「へーアンタその子にパシられ…頼まれてきたのね」


とらわれているのにラヴィーナがニヤニヤしている。


「まあな」

「でもさ、プラネターって惑星ドルゼイみたいな悪業三昧の星を規制する人たちじゃない?」


「ああ、だがいつの日かアイツを奴等から引き離す!!

ゆくゆくは我の伴侶にするのだ!」


なんだこのフワフワした空気。

ムカつくぜ。こいつらまとめて爆破魔法で消し飛ばしてやりてえ。



「学園長はオレの(ことを拾った恩人の)女だ」

「ならば仕方がない…もう帰るとしよう」


「いいの?ラウルーおチビくんの恋を助ける気持ちでさ、ちょっと話くらい聞いてあげたら?」

「恋…?」

馬鹿馬鹿しい。


さっさとこいつらを帰らせて――――


「見つけたぞドルゼイ!!」

「げっ」

あれがプラネターか。服の系統や髪の色まで全員バラバラ。戦隊ヒーロー気取りかよ。


「ドルゼイ!!観念しなさーい!」

頭の悪そうな女が、両手にハンドガンを持ってドルゼイの後ろの雑魚集団を発砲した。


デタラメに撃つだけかと思いきや、正確に心臓を狙ってやがる。

なんなら真っ先にボスであるドルゼイのドタマをぶち抜けばいいのに、わざと外しているのか。


隙をついてラヴィーナが、こちらへ飛んでくる。


転びかけていたので、受け止めた。


「やあ、なんだか面白いことになっているね?」

向こうからスカしたロン毛野郎が手をふっているのが見える。


「あれ、アディール王子じゃない?」

「アディール…プルテノの王子か?」



プルテノは確か何十年か前に滅んで、以来復興中だったと聞いたことがある。


「アディール王子はプルテノが滅んでから宇宙テロ組織のトップになったらしいわ」


王子が宇宙パトロールの宇宙船に捕まってる時点でおしまいだろ。


「こいつらは無視して帰るぞラヴィーナ」

「う、うんっ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ