Ⅲ 誤解
『青の魔王の城と黄の魔王の城を破壊してきた』
――テラネスは魔力のない星、そう言われているが、魔力を持つものは、迫害され隠れているだけだ。
オレは生まれながらに強い魔力をもっていた。
非科学的でその星で人間らしくない、物理とは外れた魔法は、恐れられた。
優等生の弟、オレを居ないものとして扱う塵。
なんとも不幸で痛わしき、生い立ちだろうか、才能溢れるオレは生まれながらに神からもジェラれていた。
そんなとき、異星から現れた魔法使い。
超絶最強たるオレをも惑わせた大人の女。
彼女は出会い頭に言った。
『キミ、いい魔力持ってるね!こんな星にいたら勿体ないよ』
そう、彼女は魔の神より授かったであろう眼の持ち主。
溢れんばかりの塵に埋もれなお輝き続けるオレ、他を圧倒するほどすさまじいオーラを放つオレの崇高で、完璧なる才能を見事、発掘した。
やはりわかる奴にはわかるものだ。
神に等しい若干4才のオレには、ホウキにまたがる眼鏡の魔女も、慈悲深い救いの女神に見えたのだ。
「最近、もうひとつの世界の新しい魔王ゼブルが暴れてるらしいのよ~」
「サクッと倒してくるか」
「そんなことよりーおちゃ入れてー」
「学園町。」「町じゃない」
なんでわかるんだよ。
「茶葉は?」
「ティーコレット」
全部の茶葉が混雑した味の大渋滞を引き起こしかねない。
別名チャンポン・アレンジャー・ディストピア・カオス・ブレンド。
「よくこんなものを飲めるものだ」
「それをキミが言うかー?」
「あ」
いつもは魔法で簡単にとどけるが、気が向いたので魔法を使わずに紅茶を運んで―――――
「ウワアアアアア」
さすがの魔女も熱には弱いのか。
「あっちい…」
学園長の頭に紅茶をぶっかけてしまった。
魔法で出した氷で冷やし
学園長の部屋から出るとすぐそこにラヴィーナがいた。
ジットリと変な目でオレを見ていた。
「あああ…あんた学園長とデキてるってホントだったのね!!」
ラヴィーナは顔を真っ赤にしている。
「は?何いってんだ
学園長があんなでもデキる女なのは、お前もしってるだろ」
さらにぱくぱくと口を魚のようにして、無言で去っていった。