36 パラドクス
マデェールは赤の炎を左手に、黄の鞭を右手に持つ。
一体そんな小物で何をする気だ。
最強の魔女ならもっと魔力を最大限にぶつければいいものを。
「強い者同士が本気で戦うと、その魔力を相殺しあう、そんなリスクはいくら女神の総大将マスヴェイユの祝福を受ける私でも避けたいものよ」
「女神マスヴェイユだと……?」
創造神カミュレットの妻、女神クレイシニーやシェゴルダンの母とされる知らぬ者は誰一人としていない。
それが悪魔崇拝、魔女であってもだ。
「マスヴェイユ、お前は魔女のくせになぜ女神の祝福を?」
「さあね、私が最強の魔女なのはマスヴェイユの加護があるからと言っても過言ではないわ」
「なるほど……」
――――――――――――
「どこいったんだろラウル」
「がうがう」
「暇だし、トランプでもしましょうか」
「トランプと言えば好きなマークはなんだ?」
「私はトランプよりハナフダのほうが好きかしら」
「ハナフダ?」
「ヘイアンヌでは主流のカードゲームよ」
「へー。私はハートかな」
「らうがう」
「あら、ラウル君はトランプじゃないわ」
「シャーレアちゃんもガー子ちゃんの言葉わかるんだ」
「ええ、でもこの子ドラゴンじゃないの?」
「ラウルがドラゴンのほうがカッコイイって……」
「ダイヤ!ダイヤはな、クラブより偉いんだよわかったかミドリムシのドロウノ」
「ははは。ダイヤは知能を司るんだぞ」
「私はスペードが好きです」
「クリア!」
「げっ……なんでここにいるんだ」
「知り合いなんだ?」
「ああ、やつはオレ達を脅す極悪て……」
「降れ、透光槍者!!」
「ギャアアアアア」
「グアアアアアア」
「クリア……人の家で神羅槍なんて降らせちゃだめじゃない」
「さて、なんのことやら私はただの皇子の側近ですよ?」
「ラウル、大丈夫かな」
「がう…」




