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十八 我等陰陽師なり

テラネスの奴等に顔がバレるのが面倒なので、姿を透明に変える。


幸の家を徒歩でさがし―――――



「死奴前荷碼藻理異化亜度野出位他ヲ気瀬!」


どこかの古屋敷から奇声が聞こえる。


陰陽師――――。


その歴史は古く、ヘイアンヌ時代から続いているらしいが――――



「あ、透明人間…」


生気の薄い少女が投げたペラいカードがこちらに飛んでくる。



オレが見えている……だと…?


「くせ者か陰陽師最強の俺が…」

青髪のキャラカブりでいけすかねえ野郎。


「やれやれ…習字の時間だというのに」

FUDEを持った緑髪ワカメ野郎。


「あー残業代出るんですかー」

紫髪タレ目野郎。



四人が投げた紙切れが舞い、ヒトガタの化け物があらわれる。


どうやら全員それなりの力を持っているらしい。


面白いじゃねえか、少し相手してやるか陰陽師ども――!



わざわざ変身を解除しなくてもいいか、外野に見つかると面倒だ。

透明のままでもどうせ奴等に見えているならフェアプレーだ。


テラネスの歴史ある建物を破壊するのは忍びないので自重するとして。


奴等に軽くダメージを与えてやるのも悪くないが、紙切れをぶつけられたくらいで攻撃するのは野蛮だ。


やめておいてやるか―――。

オレはなんて幅広い心を持っているんだ。



そもそもオレはあくまで正義の英雄様である。

悪役の真似事などやってられるか。


よし、折衷案で向こうが攻撃してくるまで待ってやることにしよう。

オレはなんてロングスペースなハートを持っているんだ。


待つが、奴等はポーズを決めたまま微動だにしない。



「いやー久々にカッコ良く決まりましたね」

「よし、帰って寝るか」

「名代さん、あいつから、西洋魔力というものを感じるんですけど」

「ほっとけ、俺達の仕事は妖怪退治だ」


戦うどころか、オレを無視して屋敷にぞろぞろ戻ろうとしているんだが。



「おい!!せっかく攻撃を待ってやったのにスルーしてんじゃねえ!」


なんなんだこいつら。



「いたの」

「いただろ」


まるでプリクウラを撮り終えて写真をゲットしたらプリクウラの機械の存在を忘れるような反応をしやがって。


「だって君西洋の妖怪でしょ」

「妖怪じゃねえ」


初対面の相手、しかもオレを妖怪扱いしやがってなんて失礼なやつらなんだ。


「冗談はさておき、何か用?」


死んだ目をした陰陽師の少女が、こちらを見ている。


「ああ、幸っていうやつを探しているんだが」

「そんなありふれた名前の子はたくさんいるけど…」


「最近科学大会のようなもので賞をとったらしい」

「あー知ってる。その子なら先祖がエミガミ様と結婚したってことで有名だよ」


「エミガミ?」

「幸福の女神。詳しくは向こうの神社で」


ひとまず陰陽師は置いておき、神社へ向かった。

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