十七 テラネスへ
「あ…あのねラウルくん!」
また幸がもじもじしている。
「どうした」
トイレットか、と聞くのは飯時で女相手なので自重する。
「私の科学研究がテラネスで賞をとったんだって……!」
幸がタブレッティオの画面を見せ、嬉しそうに語る。
「すごいな、お前は魔法科のオレとは畑が違うからな、科学の最強として認めてやるよ」
「ありがとう…!」
さて、食事もすんだ部屋に戻って寝るか。
翌日、教師の授業の声を効果音にしつつ、タブレッティオをいじる。
時間も軽くつぶれ、昼食時になる。
いつものように昼飯をとりに庭園にいった。
ドラ子がそこらの草場にでゴロゴロしている。
さて、飯はまだか――――
五分ほど待っても幸がこない。
一体どうしたというんだ。
また好きな女をいじめる小学生のような奴等に絡まれているのだろうか。
学園全体を探してみるが、どこにもいない。
「ラウル!」
「なんだお前か」
息をきらせて走ってきたラヴィーナ。
よほど疲れたのか、かなり長く肩を上下させる。
「ふー、あのね…ユキちゃんがテラネスに帰ったの!!」
「留学生だからな、いつかは帰ってもおかしくなかっただろ」
大袈裟なやつ。だが、帰星したとなるともうあいつのテラネス弁当が食えないんだな。
少し惜しい気もする。
あいつの弁当を食べにテラネスにでもいくか。
このオレにかかれば、惑星移動などまばたきする間に済んでいる。




