85 コエマドゲルポと弟
次のチームがリンクにあがる。
紫ががった銀髪の女と思春期の中学生のような黒髪。
「ディモンデ&アルディラvsヨウヅキ&チセイ!!」
「がんばろうな姫!」
「当然よ!」
あいつら多分プルテノ星人同士か、あそこはテンプレお上品王族貴族がいる国だ。踊りはできるんだろうな。
「ヨウヅキ、顔まっ青だよ」
「……」
まあ陽尽<やつ>はダンスはともかく戦いならオレに当たるまで負けないのは目に見えているので流し見でいいか。因縁のバトルに道筋、それがセオリーってやつだしな。
退屈な戦いが始まった。
プルテノ星人が無難なダンスを始める。陽尽が踊るのを躊躇したため変わりにチセイがリードしている。こういう踊りは男がリードするようにできているのにな。
両チーム仲良く踊りながらゆるゆる競うかと思いきや、アルディラが宝石のギラギラついた杖をふり、魔法を発動させると幾多の宝石が落下して足場を宝石まみれに変えた。
だが、あまり効果がなく邪魔になったそれをディモンデが慌てて蹴りながら器用に踊っている。
どこかで似たような光景を見たきがするのはなぜだ?
ヨウヅキが踊りをやめ物理な走ろうとする。そういやあの二人は魔法使えないんだったな。別に踊り続けないといけないルールはないが、趣旨に反してるだろ。
「つまらない。幸、対戦カードはどうなっているんだ?」
「残っているのがルサッデ&リコト、グレド&グラヴィティア、ヴィサナス&メイセイ、、エルシス&エアリ、ぺルディ&プライデア、ヴィアグラン&ポワリディヌ
次のステージにいけるのはいまのところラウルくん達とアライヴェ&テュシューだね」
「特に気になるのが表裏<ひょうり>対戦だ
ヴィサナス星の表上公国、裏下の皇国の次期主の争いが見物だぜ」
「私はポワリディヌとエアリの戦いが気になるな~」
「誰だ?」
「まああとでわかるって~」
ヨウヅキが刀でアルディラを斬る。これはさすがにまずいんではないだろうか。
しかしアルディラは無傷だった。
「ふっふっふ……私がコエマドゲルポになることよ!!」
ジャラリとした硬貨となりアルディラが散らばる。
こんな面白いことが起きるなら真面目に観とけばよかった。もったいね。
「ちっ!」
「コエマドゲルポなら使っちゃえば勝ちじゃん」
チセイのアイディア。
「愛は金で買えないほど高いです」
「金で買えないものなんてみとめたくなーい!」
人型に戻るアルディラ。
「勝者・ヨウヅキ&チセイ!」
リンクを去りながら、やつがこちらを視ている。
宣戦布告ともとれるが、この戦いで勝ったところで婚約を牽制する意味も、兄より強いと示されることもないのに必死だな。
「いやー死人がでなくてよかったよかった~」
というかあれは相手がコエマドゲルポになれなかったら大会中止になってたな。